中国、2022年ゴールデンウイークの旅行動向

日本ではコロナ下で迎える3回目のゴールデンウィークでした。過去2年と違い、「緊急事態宣言」や「まん延防止措置」が出されず、各地で賑わいが見られました。
中国では、上海は今なおロックダウンで、北京では地下鉄や市バスが停まっているところもあります。

しかしながら中国のCtrip(オンライン旅行会社)がまとめたレポートによりますと、全体的に見ると、今年の連休期間に旅行に行った人は、2020年、2021年の同時期と比較して大幅に増加し、特徴としては「近場」「ご当地化」で、キャンプ、美術展見学、体験などの日帰り短期旅行が人気でした。

行先

引き続きの新型コロナウイルス感染症予防と制御を前提に、リスクの低い地域への旅行が顕著でした。行先トップテンは、広州、成都、深セン、重慶、長沙、珠海、汕頭、マカオ、仏山、貴陽で、いずれも地域全体的に見ると感染低リスクの都市が選ばれました。中でも、1位の広州周辺ツアーの1日平均受注数は、清明節(4月)に比べて123%増加しました。

キャンプが人気No.1

旅行各地で「省(行政区画)をまたいだ必要のない外出は控えてください」という呼びかけがされたこともあり、近郊の近距離ツアーが都市住民の旅行ニーズに応えた形になりました。 中でも「キャンプ」は、今年の連休の「人気No.1」で、連休初日にキャンプ関連へのアクセスが歴史的なピークに達し、検索も前の週より90%増えました。最も人気があったのは、広州、深セン、博羅のキャンプ場でした。珠江デルタ地域のユーザーは連休期間にどうしてもキャンプへ行きたい「鉄のファン」で、なかでも「広東地元住民」のキャンプ熱はヒートアップし、連休前の5日間のアクセス数は前期比で8割増しになりました。

文化的体験ツアーでご当地の新しい魅力を発見

郊外への近距離旅行に加え、今年の連休は、ご当地ツアーの動きが急速に高まりました。 昨今さまざまな旅行グループのニーズに応えるために、ご当地ツアーは深く掘り下げて開発されています。ご当地ツアーを選択するユーザーは、2000年代以降と1990年代以降に生まれた若者が6割を占めています。 市場見学や美術展など、地域における文化的体験が若いユーザーには新鮮と受け止められ、人気を集めています。 Ctripが最近始めたアートバザール企画「M-Art」を例にとると、連休中の地元からの見学者の割合は、2021年の32%に対し、今年は60%近くになりました。 また広東省美術館の来場者の90%以上が広東省内からで、中でも1990年代以降生まれの若い層が圧倒的に多く、30代以下が半数以上を占めました。

日帰り旅行も

また、この連休はご当地での日帰り旅行も盛んに行われました。 Ctripのプラットフォームでは、連休の日帰り旅行の注文の1/3近くが、住んでいるご当地からのもので、 商品別には、トレッキングや海辺などのアウトドア系の日帰り旅行が好まれ、西安太平国家森林公園や翠華山、深センの芝尾根などが売れ筋となりました。

写真で楽しむ

遠くへ行かなくても、家で画像のきれいな写真を見ながら旅行を楽しむこともできます。今年の連休中、Ctripの旅行写真の注文は前年比約50%増となりました。利用者の半数近くは30歳未満でした。

体験型も進化

また、Ctripは最近、旅行をより印象的なものにするため、人気観光都市で体験型の旅行写真の撮影を始めました。 例えば、西安では、プロの古式メイクアップチームが観光客に精緻なメイクアップをし、中国衣装のスタイリングを施し、お客様が古都の美しさに溶け込む姿をプロのカメラマンが撮影します。

終わりに

以上、中国の今年のゴールデンウイークの旅行動向を紹介しました。これはコロナ禍での中国国内の旅行動向なのですが、少しでも中国人観光客が日本へ来た時のヒントになれば幸いです。近い将来、インバウンドが復活した時に、今回の動向を踏まえ、人気のキャンプや美術館の見学に日本的な要素を加えたり、既存のトレッキング施設を活用するなど、できることはたくさんありそうです。中国人観光客を魅力ある日本へ呼び込める期待が膨らみます。

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