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[声劇台本]バイオハザード

みゆ「アキくん、待たせちゃってごめんね!」

アキ「あ、みゆ。あのさ……実は、この後急に仕事が入っちゃってさ。悪いんだけど、今日の約束はキャンセルさせてもらえないかな……本当に申し訳ない!」

みゆ「そんなあ……すっごく楽しみにしてたのに」

アキ「今度、絶対埋め合わせするから! ねっ!?」

みゆ「……しょうがないなあ。じゃあ、今度アフタヌーンティ奢ってね」

アキ「ほんとごめん! それじゃ、みゆも気をつけてね!」

******

みゆ「はあ、どうしよう…せっかく街に出たんだし、お洋服でも見にいこっかな」

男「おや、お嬢ちゃん。どこかへお出掛けかい?」

みゆ「え…なんですか?ちょっと、通して下さいよ」

男「おっと、そうはいかねえ」

みゆ「……!(怖そうな人に絡まれちゃったな。どうしよう…)」

男「こんな所にいたら危ないぜ。悪いことは言わねえから、お家に帰んな」

みゆ「森のくまさん?!」

男「はあ?」

みゆ「いえっ、ご、ごめんなさい。何かあったんですか?」

男「なんだ、知らねえのか。駅の方で通り魔だってよ。ナイフを持った男が逃走中らしい。パトカーも何台も走り回ってるぜ」

みゆ「ええっ、ほんとですか?!大変、友達が駅に向かったはずなんです。私行ってみます!!」

男「おい、待てよ。危ねえってば!!」

******

みゆ「ハアハア……やっと駅についたぁ。こんな昼間なのに、人が全然いない。やっぱりみんな避難してるのかな。……でも、いくらなんでも人いなさすぎない?」

男「はあっ、はあっ、ぜいぜい……やっと追いついたぜ!!おめえ足速すぎだろ!!!」

みゆ「あれっ、おじさん、追い掛けてきたの?通り魔に会ったら危ないよ??」

男「俺が教えたんだろ!!!しかもおじさんて何だよ、お兄さんと呼べ!!!!」

みゆ「でも、いくら事件たって、こんなに誰もいないなんておかしくないですか?」

男「うーん……確かにな。それになんか、いつもとちょっと感じが違うような」

みゆ「あっ、あっちにおじいさんが歩いてる。話しかけてみますね」

男「おっ、おい」

みゆ「おじいさん!あの、今通り魔がこの辺をうろついてる、って話知ってます?パトカーとかいっぱい走ってるって聞いたんですけど」

老人「あひぎぃいい、うりいぃいいぃ」

みゆ「えっ???!」

男「どうした??」

みゆ「い、いゃあああ……」

男「うわぁ、なんだこいつ!体にびっしり何か生えてやがる!!」

みゆ「た、助けて……」

男「うあああっ、ち、近づくなあ!!」

(銃声)パン!パンパン!!

みゆ「え??!」

男「な、なんだあ??」

女「大丈夫?!あなたたち」

みゆ「な、何なんですかあなた?まさか、通り魔?!」

女「今は説明してる暇ないです、早くこっちへ!!!」

女「ふぅ……とりあえずここなら大丈夫」

みゆ「ありがとうございます……。それで一体なんなんですか、あの人」

男「というかお前何者だ?その武器は何なんだよ」

女「あーー一度に喋らないで!
まず自己紹介しますね。私、塚本です。とある政府機関の研究者してます」

男「政府機関だあー?それで、何が起きたっていうんだよ?!」

女「バイオハザードです」

みゆ、男「「バイオハザードお?!!」」

女「つまり、表に出てはいけないものが出てしまったということ。
で、私たちが始末に駆り出されたの」

男「じゃ、通り魔っていうのは……」

女「カバーストーリー、つまりパニックを抑えるための作り話!
まったく、一般人には出てきて欲しくなかったから、大掛かりに道路封鎖したのにぃ」

みゆ「じ、じゃあもしかして、アキくんはもうゾンビに……うわああっ!」

女「いやべつに、襲われてゾンビ化するとかないから」

みゆ「へ?そうなの??」

女「被検体が数体、逃げ出してしまったのよ。でも植えてある菌は空気に触れると無毒化するから、襲われたとしても害はないわ」

男「そうか、なら安し……ってことはあのじいさん、人体実験に使われていたのか?」

女「ま、そういうこと。
という訳であなたたちには、記憶除去の処置を行わせて頂きます」

みゆ、男「「!!」」

******

みゆ「アキくん、お帰りい!」

アキ「ほんとに迎えに来てくれたんだ?今日はごめんね。あれからどうしてたの?」

みゆ「それがね、夕方くらいまで何してたか覚えてないの」

アキ「え!?何それ。記憶喪失?」

みゆ「でもなんかアキくんが心配で。だから無事帰ってきてよかった!!」

アキ「はは、ありがと。これからご飯でもいく?」

みゆ「うん!!お腹空いた」

アキ「俺も。あ、ここにしよっか。雰囲気よさそうだし」

男「いらっしゃいませ。2名様ですか?窓側のお席にどうぞ」


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