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Kは何故死んだのか。


暑いわ。暑い。

多分世間は夏がはじまったぜぴーす!みたいな感じなんでしょうけど、私は6月と7月走りきってもう夏が終わってただ暑さだけを感じてます。暑いわ。プール行きたい。花火したい。…あれ、ちゃんと夏っぽいことしたいじゃん。あれ?

7月17.18日に林檎の君へ。「手紙。」が終わりました。あと2週間健康でいてほしいことやアーカイブ配信のこともあるので、正式には終わってないのですが、ひとまず。この作品は去年の5月にやる予定だったものが12月に延期しさらに今年の7月に延期という長い旅、いや戦いがあった作品でした。なげーわ。役者さんも大変だったと思います。やってると大体各自一度は迷走していくのでまた道を戻したりそのまま旅に出て行ってもらったりとかとか。私自身も作品の中に対しても表に対しても怒ったり泣いたりをよくして、私こんなに冷静に怒ることあるんやな…と発見した作品、また公演でした。しかし本当に役者さんに感謝。

観に来てくださいましたお客様、またアーカイブ買ってくださったお客様、あと気にかけてくださった兄さん方姉さん方ありがとうございました。人に支えられて生きてるぜと改めて思いました。

その一方、もっと沢山の人に見てもらいたいよ〜〜と思ったりももちろんするわけで。いや会場のことを考えたりアーカイブのことも考えたりそして座組みの人数も考えたりすればその比としてとても多くの方に見て頂いたのですが。もっと注目されるようになりたいしもっとぶん殴れる作品作れるようになりたい、と欲もちゃんと出ました。欲なくして成長無し。なので、今回アンケート取ってないのですが、よかったら感想を直接聞かせてほしいと思います。いいことも悪いことも。実は他の人にちらっと感想を聞いたら「え!そんな解釈してくれたんや!」みたいなことがあったのでなおさら。正直怒られることは本当に嫌なんですけど(みんな嫌でしょ…?)でも怒られないとわかんないこともあるわけで。怒ってくれというわけではないんですけど「わからなかった」と思ったら正直に聞きたいなとも思ってます。「できてよかった」だけじゃないので。

いやできてよかったよ!本当に!ありがとうございました!!!


で、まあ。タイトルに戻るのですが。ここからはネタバレ含むと思います。ネタバレしても観れる、また面白い、作品を目指したいので読んでもらっても大丈夫です。ちなみにネタバレしておもんなかったわ!というのも聞きたいです。でもこれは私の作品解説というより、今回「元になった作品」の私の見解です。つまりそんなにネタバレではありません。(どっちだよ

最初にこの話のプロットというかシステムを考えた時、「こころ」じゃん!とよぎって。じゃあそれならもっと「こころ」の台詞色々いれたろっと思って書いてる途中「城崎にて」もよぎってきたのでいれこんでみたら結構大事な言葉になってきて。つまりこの話は私の中では「こころ」と「城崎にて」のマッシュアップです。いやそこまで似てるわけではないしむしろ全然似てないっちゃ似てないしただお言葉ちょっと拝借しました、ぐらいになってしまったのですが、元になっているのは特にこの2作品。先人たちは偉大だ。偉大すぎる。

「こころ」も「城崎にて」も私は高校の授業で読みました。中高で習った現代国語の作品って、あの時は「なんのこっちゃ」だったのですが今読むと「あーーーーなんかわからんでもない。」みたいなことが多くて。例えば山月記もなんだよ虎になるって!極端!って思ってたんですけど、今だと うげ…私は虎…と思うわけです。いやまだ虎ではないはず。一歩間違えたら虎になり得る。そんな感じで「城崎にて」もあの頃はただグロテスクな話…と思いつつ、それでもテストではちゃんと答えていました。答えられるとわかるは大きく違う。

そんな中、「こころ」はあの時読んでてもまだ共感できる話の類でした。高校2年生の冬休み「下」を読んでくることが課題だったのですが、まあ馬鹿というか怠け者な私は読まずに1月登校して、なんとか授業中に読みながら事なきを得。(いや多分事は得てなかったと思う)で、授業進んでるうちに「なんで下だけしか授業でやらんの?最初はどうなってるん?」と思い、もう「こころ」の授業が終わりかけにも関わらず最初から最後まで全然読んだら意外と読みやすくて。時代のオシャレさにも惹かれたし「先生」に共感したんでしょうね。Kが自殺して苦しむ、という背景の前後をちゃんと知った方が下は読みやすかった。当たり前だけど。

で、ずっと思ってたんです。

Kはなんで自殺したんだろう。

先生にお嬢さんを取られたから自殺したの?ほんとに?人によって多分「恋心」って感覚が違うと思うので、わかんないんですけど。しかも当時「JK」だった私は(話それますが作品中JKという言葉を使うか最後まで実は悩んでました)「恋」の「こ」の字もピンと来てなかったのですが(というのは嘘でそれこそ当時の古典の先生が好きだったんですけど今思えば憧憬みたいなものではあったので)なんか違和感があったんです。先生が苦しむ通り、好きな女とられて自殺したとしたら、あっさりしてるなーって。私はやっぱり先生に共感を持ってしまうので、好きな女が自分のライバルというか友人といちゃついてたら絶望の淵に立たされて「お前の恋心はお前の向上心、道、を邪魔するものだ」と解いて奥さんに対しても「お嬢さんを私にください」と言ってしまうのはわかるし私もそうする。じゃあKはどうなの?

悔しさのあまり自分を殺して先生を後悔させた?好きな女を取られて絶望の淵に立たされて自殺した?

Kはそんな弱い人間だったのかな。先生が私にあてた手紙の中での表現でしかKはとらえられないから、わかんないですけど。もっとKは強いからこそ死んでしまったんじゃないかなと思う。

そしてもう一つは、Kは先生に「お嬢さんをとられた」と思っているのか。

Kは、お嬢さんと先生の結婚のことを聞いて、変な顔をしたんです。そして、冷静にしていた。これは私の論理の飛躍ですが、Kはもしかしたら「自分(K)の道のために友(先生)はお嬢さんと結婚した」って思っていた可能性だってあってもよかろうと。

なので私の解釈は「友が自分の道のために恋を捨てさせようと試みてくれたものの、それによって自分の本当の恋をより一層自覚し自責の念に囚われ、薄志弱行な自分と対峙しその自分を殺さなければ成長できないと感じ死に至った」

ま、結局、きっかけはきっとお嬢さんと先生ではあるだろうけれど、ただ単純にお嬢さんを取られたから、で言いきれないんじゃないかなと思うんです。だから遺書通りではある。

でも残された側は自分のせいだ自分のせいだって、思いますよね。こころでは先生が自分のせいだってバレることに対して恐れもしていて、そのエゴイズムも共感できる。

そもそも恋をしているKに対して追い詰めたのは先生です。だから結婚したせいで死んだっていうより、「向上心のないものは馬鹿だ」って言い返したことの方が原因なんじゃないかなーーって。Kは、「覚悟はないことはない。」って言ってたんです。だから「結婚によって覚悟を決めさせた」ってことではないかなと。先生のせいで…というより先生の言葉がきっかけで…死んだ。

どっちにしたって先生は「俺が殺した」って思うでしょうけど。

そんなことを考えます。ま、結局わかんないんだけどさ。読み取りきれてないところもあるしさ。

ただ、残された側しか語ることってできないから。死人に口なし。勝手に解釈していいご身分だ。なんて。


自分の作品の話に戻りますが、今回自殺をテーマにして、とてもセンシティブなものを扱うということでやはり悩みました。でも、私は、生きることも死ぬこともどちらも悪くないと思います。自然の摂理だから。人は死にます。生きてることは辛い。でも、それでもね。と思います。

たまたま座組みの予定的に7月17.18日になって。まさかのインディペンデントセレクションに被って笑、苦虫を噛み潰したような気持ちも味わいつつ作品作って。嫌な気持ちも悔しい気持ちも悲しい気持ちも抱えながらそれでも。

18日は国民的スターが亡くなった日でした。そのスターの曲は、私が辛い時に救ってくれた歌でした。そして会場のplaceboさんは、今の私がここにいるきっかけの兄さんがいました。

巡り合わせもありました。

やっぱりできたことに感謝です。

ひとまず2週間は元気でいたい。元気でいてくれよこのやろう。


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