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きみは汚点紫を知っているか?

 汚点紫と書いて「しみむらさき」と読む、伝説のような町家ギャラリーカフェ・バーが、かつて京都、北大路堀川の一角にあった。
 くるりがシークレットライブを行なった場所として、10年ほど前に人が押し寄せたことを覚えているひともいるかも知れない。私はくるりをよく聴いていたが(立命館大学は地元だ)その日は「銀路さんの唄の方が良いな」と思った。それくらい、銀路さんは凄かった。
 しかし、大家さんとの揉め事が絶えず、汚点紫は一旦その幕を閉じる。

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 2019年2月仮オープン、2019年8月に復活した丸太町七本松(JRの最寄りでいうと円町駅から徒歩)の汚点紫は、マスターでありアーティストの銀路さんを亡くし、今日が事実上その店内を見る最後の機会となる。その大量の作品と気持ちが詰まった空間は、4月上旬に業者さんが入って引き上げると聞いた。

 フヨウフキュウの外出が禁じられた(自粛の要請などと云わないで欲しい、何故普通に禁止と云えないのか)週末、感染症の手立てをあれこれ考え相談しながら、今日を迎える。最初はドリンクを出してライヴをする筈が二転三転し、物販メインで短時間滞在をお願いすることになる。東京都から来ると云って聞かないひとに泣いたり、生前の銀路さんから頼まれていたCDやショップカードを作ったり、その合間に仕事の文藝誌のゲラを出したり、ぼんやりした1週間だった。

 消毒、マスクの着用、手洗いと嗽に気をつけて、体調の良い方はお越しください。店頭には消毒用アルコールなどがあります。また、密閉空間での混雑を避ける為、名残惜しいのですが店内の長時間滞在はお控えください。

 Googleマップならこちらを検索:京都市中京区聚楽廻松下町4-1



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極楽だ 極楽だ ああ極楽だ
遠い昔の思い出のあの子が夢に現れる
今から遠い思い出の夢の谷へいきましょうってさ
気づくと思い出の桜道をあの子と手を繋いで歩いてた
気がつくと思い出のあの川であの子と蛍を眺めてた

極楽だ 極楽だ ああ極楽だ

むかしの仲間が現れて 死んだあいつもやってきて
いっしょにセッションやろうぜって みんなでステージに上がるんだ
あのひとの凄いギターのうしろで おいらはヘタレな太鼓を叩く
遠くへ逃げてったはずのあいつがマイクを握ってうたってる
死んだはずのあいつが飛び入りでイカれたソロを掻き鳴らす

極楽だ 極楽だ ああ極楽だ
ここはあの世の夢かも知れないが
みんな無邪気な笑顔でわらってるよ
もう二度と会えないひとたちかも知れないけど
僕のこころがはっきりみんなを覚えてる
仲間だったみんなの笑顔を覚えてる

極楽だった 極楽だった 僕にも極楽があったんだ

 2020年1月に遊びにいったとき(尼崎住まいの私にとって汚点紫は京都のもうひとつの実家のような存在だった)珍しく、ライヴでもないのに銀路さんが歌ってくれた「極楽」。
 極楽で銀路さんは、先に逝った初代看板猫ギリさんと再会した頃だろうか。今の看板猫、まだゼロ歳のギリちゃんは、とっても愛されて過ごしているよ!

 ライヴもイヴェントも楽しかったけれど、何も無い日がいちばん良かった。何も無いが、あるんだよ──というのは違う場所についてのキャッチコピィだが、何も無い日の汚点紫にはすべてがあった。

 もう一生、あんなに美味しいチャイをのめる場所は無いだろう。
 おやすみなさい。

   

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 ありがとうね、またね。

   

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