【連載短篇】 アイネ・クライネ・ナハトムジーク(3)
(全4話・短篇小説 / 原稿用紙13枚)(2)へ ⇔ (4)へ
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朝はいつもだるい。白い寝具にかおを押しあてて頭痛を堪えていると、ノックの音がしていつもの声が聞こえた。
「赤岸さーん」
習慣化した呼び声。
「起きてくださいね、赤岸さん」
起きてるわ、と、あたしは心のなかで呟く。でも、のどが気持ち悪くて声が出ない。
昨日一緒のベッドに並んで手を繋いで眠っていた筈の蒼也くんは、朝にはいなくなっていた。音を立ててカーテンが開かれる。朝の光が窓ガラス越し