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202202 雑記

ブルーグレーの皿

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先日近所を歩いてたら「どうぞご自由に」と置いてあったので、ありがたく頂戴してきた。我が家にはそんな食器がたくさんある。
アンティークが好きとかそういうわけではなくて、単純に人の使用した痕跡みたいなものがあるのが好みなだけ。
ピカピカじゃなくて色はあせてるのがいいし、つるっとしてるより凹みや小さな傷があったりするのがいい。
手に取ると、焼き物のどっしりとした重みとブルーグレーの色味に一目惚れしてしまった。
そして家に持ち帰り、あることに気づく。
この皿には人の使用した痕跡どころか、明らかに手作りとわかる証拠があったのだ。

別所と前田

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裏を見ると、名前が彫ってあった。
別所と前田。どうやら二人で作ったようだ。
いくらなんでもこれが販売されていたものとは考えにくい。
これは想像だけど、陶芸体験的な場所で作ったように思える。しかもろくろを回す方じゃなくて、手びねりで粘土遊びの延長のような。
別所と前田が作ったことはおそらく間違いない。そして何年経ったかわからないがある日手放すことを決意した。
「どうぞご自由に」の箱にこれを入れたとき、別所or前田はどんな気持ちだったんだろう。

二人の過去

いや待てよ、と思う。
別所と前田が作ったものをその後ひょんなことから別の誰かが手に入れて、その人物を仮に佐藤として、最終的に手放したのは佐藤だったかも知れないし、作った時は別所と前田だったけど今は別所と別所になっていて、元前田・現別所が断捨離したのかも知れないし、えでも待って、作った当時の二人は苗字で呼び合うような関係だったの……?なんで陶芸体験行ったの?どっちから誘ったの?いつからお互いを名前で呼ぶようになったの?
そして何故そんな大事な思い出の品を「どうぞご自由に」にしちゃうの……?わたし、こんな大事なものいただいていいの……?

ベーグルと自家製マーマレード入りヨーグルト

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先日受講したあるワークショップで「想像力の大事さ」のような話を聞いた。
そのワークショップで講師が話していたことのすべてに納得したわけではないけど、日常のあちこちで他者を想像する眼差しは俳優にとって、いや、生きている人間にとって必須なんじゃなかろうか、と思うので「想像力は大事です」には同意する。
このお皿がどんなストーリーで我が家に来たのかはわからないけど、心なしか「どうぞご自由に」の箱に入れられていた時より喜んでいるようにも見えるのは気のせいだろうか。

話は変わって、大事な友人がnoteを使って声を上げた。


仮にも表現に携わる会社が、なんて想像力に欠けた行動をとってしまったんだろう、と思わざるを得ない。
彼女の痛みを想像してほしい。そしてその後ろに、これまで声を上げなかった何人もを。
何行か前に書いた言葉をそのままもう一度書く。

「想像力は大事です」

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