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202208 雑記

わたしには海老が食べられた時代があった。

子供の頃、毎年夏休みに泊まっていた民宿で夜に出される大きなエビフライが好きだった。
夕方。海で遊び疲れた体、塩のベトベトをお風呂で洗い流してサラサラの洋服に袖を通したあとは宿に置いてある古ぼけた漫画を読んだり、碁盤にジャラジャラと黒と白の碁を散らかして怒られたりしていた。
蝉の声と波の音、明日もまた海に入れると思うとたまらなくワクワクした。

宿にいい匂いが漂ってくると、おまちかねの夕食タイム。

エビフライはとっても大きくて、どの店で食べるより美味しかった記憶がある。

小六で、海老アレルギーが発覚した。
小六の夏、わたしはエビフライを食べられたのだろうか。
どうしても思い出せない。
アレルギーがわかってからだとしたら、その夏に行った海は楽しかっただろうか。

大人になっても変わらずわたしは海が大好きで、30年前と変わらぬ風情でたたずむその民宿を眺めながら今年も海に潜る。
体が冷えるまでずっと、潜り続ける。


「海に入れるから」ただそれだけの理由でわたしは夏を愛している。




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