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高校球児だったけど、高校野球はみなかった

全国高校野球選手権大会、通称「甲子園」がいよいよ佳境を迎えている。本日ベスト4が出揃った。今年からはスポールブルというアプリで全試合無料放送が行われており、これがけっこうな高画質であるため、データ通信量がかさばって大変だ。

高校3年間、弱小高校の補欠とはいえ甲子園の舞台を夢見て練習していた身としては、出場中の選手のみなさんには尊敬の念しかない。「甲子園でヒット1本打った」と言われればそれだけでひれ伏す自信がある。

そんなぼくだが、高校野球をちゃんと観るようになったのは、大学生になってからだったりする。たぶん、その程度の興味関心だったから、まじめに練習しても補欠止まりだったのだろう。きっかけは、1冊の本だった。

『松坂世代』。スポーツライターの矢崎良一さんが、和田毅、新垣渚、小山良男、村田修一、小池正晃、寺本四郎、杉内俊哉、上重聡、そして松坂大輔といった、1998年の夏、全国を熱狂させた球児たちに綿密な取材を行い、それぞれの主観を集めて客観性を担保し、確かな筆力で書き上げた名作ノンフィクションだ。

野球とは無縁の生活を送っていた大学時代に、何かのきっかけで読んだこの本があまりにおもしろく、それからきちんと甲子園を観るようになった。そんな経緯もあるので、高校野球はいつも、松坂大輔のいた横浜高校を中心に観る。負けたら横浜に勝った高校を応援する。

というわけで残りの5試合は、金足農業を応援したいと思います。『松坂世代』、各人の証言や松坂をはじめとした横浜高校への思い。そしてあの夏から20年経ったいま、各選手がどこでどう野球と関わっているか照らし合わせて読むと最高なので、高校野球が少しでも好きという方はぜひ。文庫も出ています。

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