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宝くじがどれだけ運ゲーか、ナンバーズ3で可視化してみた

もう1週間以上前のことですが、9月2日は宝くじの日でした。宝くじといえば、高額当選金で知られる「ジャンボ宝くじ」が知られていると思いますが、当選確率2000万分の1と聞くと、ちょっと遠い世界に感じます。まあ、まさに夢のような出来事なわけです。

ところで、宝くじにもいくつかの種類があります。0から9までの数字3桁を選べば、当選確率1/1000で約10万円が当たる「ナンバーズ3」なら、なんとなく当たることがありそうだと思ったことがある方もいませんか?

残念なことに、この1/1000という確率ですら、かなり運がなければ「ほとんど当たることがない」というのが現実。そこで、今回はナンバーズ3を例に、確率の世界を可視化してみる試みをしてみました。夢のない話とは思わず、ご笑覧ください。

当選番号を可視化してみる

ナンバーズ3は、1994年10月7日にスタートし、月〜金曜日までが抽選日となっています。執筆時点の2021年9月10日で5778回実施されました。そこで、この当たり番号を可視化できないかと思い、過去データを収集して、下の動画を作ってみました。これは、ナンバーズ3で選ぶ3桁の数字の組み合わせ「000」〜「999」までの当たりがどのように変遷したかを100回ごとにビジュアル化したものです。

色分けは11段階。1回も当選が出ていないものを白とした上で、1回以上当選が出た番号については、最も重複して出た番号の当選回数を最大数とした割合で、10%ごとに薄い青〜緑〜黄色〜オレンジ〜赤〜紫の順にグラデーションで10段階で色分けしています。

例えば、最初の100回くらいだと、もちろん全然当たりが出ていないわけです。当たりが出たとしても、ほとんどが1回(緑のもの)。ただ、この段階でも、すでに2回当たったした数(168とか512とか紫色のもの)もあるのがわかります。

1000回に達する頃には、だいぶ埋まりそうな気がしますが、実際には以下の通り。パッと見で半分くらいがまだ1回も出ていないことがわかります。

2000回くらい回ったら、さすがに一巡するだろうと思いきや、実際には以下のような結果に。この時点で最も頻出した数字(638)は8回も当選番号になっています。

で、直近の5778回目の時点では以下の通り。

120、467、541、894の4つの数字はまだ1回も当選が出ていない番号になります。一方で、271, 355, 589, 679の4つの数字は13回当選が出ている最頻出数字になっています。これをみて、「均等に当選番号が出ていないのは直感に反する」とか「当選番号が偏っているのでは」と思った方もいるでしょう。中には、「何か当選番号の出方に法則性があるのでは」と思った方もいるかと思います。

それでは、これがランダム(無作為)に番号が出現している状態なのか、何か、作為的に偏りがあるのかを見分ける方法はあるのでしょうか。

実は、そのような問題に答えるため、「カイ二乗検定」という方法が理論的に確立されています。詳しくは割愛しますが、確率上の理論値から得られる出現度数との関係性を調べることで検証するという計算方法です。

実際に計算してみたところ、上記のような分布が偶然出現する確率は65.1%という結果になりました。これは、有意水準(今回の場合は、5%以下なら「理論値との誤差として片付けることができない」と仮定しました)よりも十分に大きいことから、統計上、「偶然に発生したものではない、と否定することはできない」ことが言えます。

シミュレーションと比較してみる

さて、上記で取り上げた検定というのは、確率が5%くらいの出来事が起こると「滅多に起こらないことが起きた」という感覚を利用して、実際の観測値が理論的に「滅多にないこと」がであったのか、「滅多にないといえるほどのことではない(≒誤差範囲にとどまる)」という程度の出来事だったかを調べる方法なのですが、計算方法も複雑なので、なかなかイメージしづらいところがあると思います。

そこで、正確な調べ方ではないのですが、コンピュータシミュレーションにて、0から999までの乱数ができるだけ一様に発生するよう5778回試行してみて、上記と同様にプロットしたものと比較してみるということをやってみました。

以下3枚が結果例なのですが、上で取り上げた実際のデータと非常によく似通ったイメージになっていることが、視覚的に理解できると思います。無作為に当選番号を抽出した場合、このくらいの出現の誤差は生じるものなのだということが、直観的に捉えることができるのではないでしょうか。

運が良い人は、確かに存在するけれど…

さて、ナンバーズ3の当選番号の出方について、いかに無作為であるかについて視覚的に見てきました。ところで、上の図を見ていると、「1000人の人が、毎回1枚ずつナンバーズ3を買ってみたときに、当たった回数の分布」としてみても良さそうな気がします(理論的な裏付けはありません。あくまでメタ的な思考実験です)。

そう考えてみると、1000人もの人がいれば、5778回も買って一度も当たらない人も数人出てくるかもしれないし、5778回のうち13回くらい当たっている人も数人出てくるかもしれないということも考えられます。とはいえ、仮に5778回も買えば115万5600円も投じていることになるわけですよね。

1回あたりの当選金が9万円(理論値)として、13回あたれば117万円になりますから、わずかに得をしたということになります。よほど運が良い人ですらこの結果ですから、普通は壊滅的に損をするわけですよね。なかなか考えものです。

ちなみに、みずほ銀行の抽選結果ページをみると、毎回の抽選結果で当選した数や販売金額を見ることができます。たとえば、直近の第5778回目では、販売実績額92,981,000円(=464,905口)のうち、ストレートが出たのは241口。241 ÷ 464,905 = 0.05% ですから、理論値の0.1%(1/1000)の半分くらいですね(実際にはボックスやセットといった当たり方もあるので、この限りではありませんが)。いやはや、当たらないわけです。

このように、宝くじは運ゲー以外の何物でもありませんので、大人の嗜みだと割り切って、くれぐれもハマりすぎないようご注意くださいね。

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