【こぼレビュー】Death's Door

作った人:Acid Nerve
やった:Steam(PC)

 要は、ダッジロールと攻撃手段が二つもあればゲームというのは成立する。

 本作は同作者のTitan soulsを拡張したかのようなゲームで、荒涼とした世界、死生観、そしてなによりダッジロールのようなものが似通っている。
 そもそもTitan soulsは名前からしてダークソウルのパロディで、一発ネタの領域を出ないものだった。初期衝動で作ったかのような粗削りのものだった。すこし物足りなかった。そのときのやり残しを補填した完全版ともいえよう。
 フレーバーは独特で、鴉だけで構成された死神協会や不死のジャイアントソウルたち、既視感があるようでちょっと面白さを感じさせるアセット、その作風からはどこか「新しいゲーム」を志したというより「こういうゲームがやりたい」と考えたデザイン畑の人が作った感じに思えるが…よくできている。悪くはない。

 このゲームは新しいものが何もない。
 ダッジロールと幾つかの攻撃手段があればゲームは作れるのだ。それ以上はない。
 だが、作者は恐らくゲームがうまい人間なんだよね。
 今の時代、基本的にソロ・デジタルゲームというのはプレイヤーへの接待が多いものだけど本作はギリギリ厳しい方にバランスを置いている。
 たとえば、HPの回復。
 Titansoulsが元にしたダークソウルシリーズ、またはハイパーライトドリフター(以下HLD)だって、戦闘中に回復できるところである程度バランスを取ってるわけだ。気軽に回復ができるから全回避というプレッシャーまでは負わずに遊べるように出来ている。というか、ダクソが「買い物の必要がない薬草」の発祥じゃない?言い過ぎ?それ”だけ”がよかったまである。今も多くの作品がこの形式をフォローしている。だが、ないんだよな~。
 戦闘中は何を食らっても1ダメージ。HPは4。これが本作の提案だ。もちろん長い道中に回復できるタイミングは結構あるんだが、リソースが必要となっている。この、戦闘中回復なしというのは結構きつい。
 多対一の雑魚戦は覚えゲーとは行かずどうしても事故ってしまう。ボス戦は完全パターンなので覚えて避ければ終わり…とはいえ、結構難しい方なんじゃないかな。このへんはHLDにすごく似ている。遠距離攻撃のリソースが近距離攻撃で回復するというのはモロHLDだしね。
 このちょっときつめな塩梅が真面目にやる必要がある感じになっていて、それが遊ぶ動機にちゃんとなっているのがよい。
 HLDより親切なマップで、基本的に一本道だ。たまにアハ体験未満の謎解きや自由に動けるフィールドがあり、適度なバランスで飽きさせなくはなっている。一本道の割に隠し要素は多く見つければうれしい。後から取ったスキルで開けるところが多いのはなんかPCエンジンとかメガドライブ時代のゲームやってる気分になったけど…。

 ま、本当に新しいものはなにもないんですよ。
 でも、ちょっとした演出、世界観、ゲーム的なメリハリ、デザイナー畑の人が楽しんでやってるなって感じで、結局8時間もかけてクリアしてしまった。内容的には3時間でもいいくらいなんだが…

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