DEATHLOOP

作った:ベセスダ
遊んだ:Steam(マウス+キーボード)

 シンプルなフラグを豊かに見せるのがデザインされたゲームである。 

 デスループはFPS版クロノトリガー+FPS版ムジュラの仮面(シルフェイド幻想譚、YU-NOでもいいけど…)ともいうべき、時間の繰り返しをテーマにフラグ立てパズルを解くゲームだ。好きな攻略順、膨大な脇道…こう書くと自由度が高そうだがクリアという一点においてはほぼリニアな構造を取っている。

 脇道に逸れることも必ず必要なYU-NOや多岐にわたる展開を組み込んだシルフェイド幻想譚に比べるとゲームの出来にはやや窮屈さが目立つところが厳しいが、全体的には筋が通っていてよくできている。ベセスダ節というべきか、前情報のないプレイヤーがついていけないような意味のわからないノリの導入は相変わらずだが。

 このゲームのループものとしてのポイントはメインとなるロケーションは4つしかなく、「時間」によってロケーション毎に微細な変化があり、例えばディスオナードなんかでは12ステージ分も必要だったロケーション(=レベル)作成のコストが大幅に削減されているということだ。その分作りこまれているかというと…う~ん…な部分も多いが、ロケーションは全体的に丸い構造をしていて、「さまざまな攻略法がある」といういわゆるイマーシブ形式にもうひとさじ、一つのロケーションの目的もはっきりしない状態では円の中のどこにどう行くのかを考えさせられるのはゲームとして面白い。

 時間とロケーションの組み合わせで出来る事を探す過程はほぼ謎解きゲームのそれで、「アウターワイルズ」といってもいいし「アイドルは百万回死ぬ」といってもいい。ヒントの具体性は薄めで結局どういうこと?というような自分で考えるか手を動かすしかないようなこともたくさんある。少なくともアウターワイルズよりは理由については断然理不尽でまったく意味はわからないけど、ゲームとしてはどこどこに行けという強い誘導がなされていて色々調べていけばほぼ答えというものまで行きつくのでそこまで調べれば必ずクリアできる。つまりいきなり答えまでは思い付きにくい謎解きだが、工程を踏めば答えを教えてくれる…ということで、もちろん買ってくれる層がゲームに求めるものを考えた結果なのだろうが、理不尽だけど解けないものはなさそうなのでやわい謎解きとしても成功していると思う。
 ただ、これはUIの問題だけどインタラクトできるアイテムかどうかがすごく分かりづらいのは勘弁してほしかった。ぴかぴか光るのも嫌だけどさ。
 全体的に軽いノリのサイドイベント・メインストーリーはややクロノトリガー感のある時間経過wつかったフラグ処理が多く、この点は好きなら結構楽しめる。

 実際やろうとしていることはこの円の構造となっている大きめのロケーションと、時間や目的によって変わる行き先やフラグの謎解きであって、撃ち合いFPS部分はおまけなのだが、いちおうFPS部分についても解説する。

 本ゲームのFPS部分は、撃ち合いとしてはよくできている。複数の敵はきちんと強く、対処しづらくなっているので途中で見つかったとしてもステルスをする意味は高く設定されているし、部分部分で大きな音を出しても遠くの敵は来ないことが多く、見つかったことに対するペナルティはそれほどない(警報が鳴ったとしても少しの見つからない時間で飽きてくれる)のでステルスではなくまとめて倒す方法があれば同様に評価される形になる。これはとてもよくできている。
 武器のレアリティやMOD等が豊富に設定されており、謎のエナジーを吸収することでループ持ち越しができるようにもなっている。これは当然得るもののない無駄な周回も楽しくさせる為の施策で、うまくいっている。

 また、大きめの仕様としては「他人のプレイを妨害するモード」がある。
これはシングルプレイにはご法度ともいえる、本当にただ相手の進行を妨害するモードで、格闘ゲームの乱入みたいな形でゲームの間に割って入ることになる。ただ、ステルスゲームとはジリジリ進めば進むほどなんとかなるので、牛歩になりがち、間延びし勝ちなゲームである。そんな中、時間をかけていると乱入して進行をぶっこわされるリスクがあるというのはいい味付けに思える。
 この乱入モードは鳴り物入りだったはずで、ステルスプレイに他人が介在するとどうなるのか、作ってみなくてはわからなかったはずだ。実際結構面白くて、それはFPS面がよく出来ているからに他ならない。
 ただ、この挑戦的な部分は挑戦で収まっていて、本編の方には一切フィードバックされないのが大きなマイナスとなっている。必ずプレイしないといけないとは言わないまでも、ある程度このモードにフィードバックがないと積極的にこのモードをプレイするモチベーションにはならないのではないか。だが、ここにリワードを付けることでクソゲーと言われることを恐れたんだろうことはわかる。すごく勿体ないのはこのモードがあってこそが本ゲームの本懐なわけで、シングルFPSとしてはウェルメイド以上ではないことがある…。嬉しいことにそこそこ乱入はある。ただ、こちらの進行状況(プレイ時間に比例して強くなる)も相手の進行状況(乱入成功すればするほどレベルがあがる)も勘案されない為にマップもわからずウロウロしてるうちに後ろからショットガン一発でどうしようもなく殺されることもある。このゲームは乱入の有無に関係なく主人公側は残機3、つまり2回死ねるので、これが1回分の勝負くらいが落としどころだったと思うのだが、完全に勝つか負けるかの勝負にしているので、負けたプレイヤーは進行がなんであれ1ゲームを失ってしまうというのは結構重い。ここまでするとやはり好き嫌い分かれてしまうだろう。個人的には、そういう終わり方をするからこそ、シングルゲームの敵キャラとして人間がプレイしているという感覚が得られていいのだが。
 とはいえラグかったりも含め作りこまれていないイメージが強いのがもったいない。

 また、どうしようも援護のしようのないマイナスの点としては今時敵が突然無から湧いてくるようなしょうもないところで、もしかしたら定年退職したおじいちゃんが手癖で作ってる可能性もあるなと思った。

 全体的には面白く遊べる、ディスオナード

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