[こぼレビュー]Dead Cells

作った:Evil empire
遊んだ:Xbox game pass

 ローグライト、というジャンルがある。
ローグライクのエッセンスを抽出し、周回性に意味を持たせたゲームだ。
良し悪し言われるこういったローグライクライクの隆盛は実のところ、こういう需要にあるのではないか。例えば格闘ゲームなど対戦ゲームというのは同じことの繰り返しの中で(敵に合わせて)行動の取捨選択をするというゲームではないですか、それに対して環境に対して行動を取捨選択する・同じことの繰り返しである意味がある(=平等性の確保)という意味ではこのジャンルが目指すのは一人用のスポーツものではないのか、そういう「他人と戦うのではないが自分を究めたい欲求」を刺激するのかもという個人的な考えはあるがこれは今回置いておこう。

 ま、そういうわけでDead Cellsだ。これは最初、とてもこのローグライトというジャンルの悪いところが出ているなと思った。いけない場所の多さ、目もくらむようなアンロックの数々、はあ…「平等な勝負」ができるのはいつのことやら。そしてゲーム自体はだいぶぬるま湯だ。選択しようがしまいが、まあまあ殴りつけたら死ぬ敵ばっかり。あっさりしている…。豚汁に変更するかまよってやっぱりやめたときのかつやの味噌汁のような味だ。
 何を選んでも代り映えしないなんてローグライトで一番ダメなやつだなぁ…。

 と、何度か挑戦して一周目が終わると、難度の上がった二周目が始まる。
このあたりで気づくのだが、あれ?結構これ…味がするぞ?となってくる。
 それまで漫然と選んでいた武器やスキルも、厳選の妙が出てくる。あちらのルートには小さい雑魚が多く…こちらのルートで行くにはスキルにもうひとつサヴァイブがない…などなど。敵の知識・武器の知識・もうすでに頭にある!そう、一周終わるまでがチュートリアルだったのです~。

 ってなわけで、かなり気の長い話だ。下手したらこの一周だけでも10時間20時間かかる人もいると思う。僕は25周くらいでクリアしたので、×30分で750分、10時間以上か。で、続けてやってるとちょうどいい塩梅になってくる。これまで気づかなかった敵の細かな違いに気づくようになる。個々に細かく設定されたスタン値なんかは最初こそ気づかないレベルなのに高難易度では意外に重要で、攻撃力のほかに相手を黙らせるためのスタン値の高い武器の選択や射程距離のある弓、アグロコントロールできるスキルに目が向くようになる。まとまった敵のグループがポップすることで、その敵同士のシナジーに気づき初めて脅威を認識する…。ルールが増えるゲームというのは最近多いが、難度の上昇でこうも豊かさが出てくる形というのは珍しい。

 僕は〇巻までは読んで!とか、何話までは見て!というのは嫌いだけど、このゲームについては「一周終わるまではやって!」とせっかく勧めるならぜひ言いたい。その先に待つ「ゲーム」本編はなかなか本格ローグライクだったよ…。

 ひとつひとつの武器やモンスターの作りこみ、スーパーマリオの100倍くらい手を動かし続ける必要がある忙しさ、なんていうか、「自分が楽しめるゲーム作りました」感がすげえんだよな。たぶんボスセル1か2くらい(1週目2週目クリア)の状態を先に作って、最終帳尻合わせに最初のモード作ったんじゃないかなまで思う。

 敵にも味方にも強烈なシステムの応酬、その中に活路を見出すのは己スキルのみ。これがうまいこと出来てんだよな~。

 

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