【随筆】アップルミュージックを始めた。(今年のとっぷテン)

 私は中村と言います。

 さて、今年の初めに新しいことを始めようと思った。
 そんなわけで、何かクラウド音楽的な奴がいいなと考え、アップルミュージックにした。
 理由としては、これまで俺がCDからエンコードした音楽も聴けるから。

 まああとは、僕は定期的に同じ曲ばかり聞いてるんですわな。
 それが特に空気公団やキリンジという感じなんですけど、昔調べた時はSpotifyとかだと曲数が違ったりなんかそのへんでappleミュージックしかないなと思ったんですわな。そういう時に自分で用意した曲も聞けると話が早い。

 サブスクリプションはネットフリックス・Humble bundleで年間で2万円くらいはしてるんやけども、増やすことにはすごく抵抗ありますわな。
 月額で三桁円くらいで表示されているけど、冷静に考えると年間一万円超えているというのは多い。HumbleBundleは自分のモノになるからいいけど、Netflixなんて頭を打って記憶でも無くしてしまえばもう完全に無駄な金やからね。

 それはともかく、やらない理由を作る歳でもなくなった。やってみよか。
 やってみたわけですが、結構よかったと言えるね。
 毎週New musicという完全に聞いたことないオススメと、あと、元気が出る奴、チルな奴、自分のよく聞く好きな奴の四つのリストが更新される。
 特にNew musicはすごく勉強になって、そこで特にインプレッションを受けたものはそれ用のリストを作って、よく聞いてみたり、別の曲を聴いたりと結構楽しんだ。

 ここでは、今年の「全然知らんかった曲」トップ10を出して、アップルミュージック良かったねという話にして終わろうと思う。
 評価軸は2021年、つまり現在的であるかを大事にしています。

 10位 Cousins / Vampire Weekend
     「新規開拓」というプレイリストを作った第一号がこれ。曲の意味はようわからんが、要するにアメリカのユニコーンや。

  9位 好かれLOOP/絶対忘れるな
     こういう曲聞くと売れる曲だけを推すんじゃないんだなってなってほっこりする。これと「DailyDisco/片想い」とかなり迷うとところだけど、僅差でこっち。もはや日本のヒップホップは死に体だが、コミックでもシリアスでもないラップはこうして裾野を広げている。本邦の音楽的豊かさを感じさせる一曲。

  8位 神ングアウト/アーバンギャルド
     どうしてもYOASOBIとかそこら系に分類されてしまうしかないのだけど、どっちかというと0.8秒と衝撃をポップにしたバリエーションである。歌詞にちょっとサイケ・SF的特徴があり、それとギトギトの家系みたいなテクノ調と合わせて、大人が飲むと一発で通風になりそうな音楽になってる。僕の年齢的にどうしても通風が怖くてこの位置だけど要するにそこら系では一番いいと思います。ミヒマルGTみたいな男のガヤを受け付ければ…。

  7位 Illiad/死んだ僕の妹
     女性ボーカルにしたコールターオブザディーパーズといった趣の、ちょっと90年代を感じさせる渋めのロックテイスト。でも、NARASAKIを見習ってかは知らんが、この曲では同じフレーズをエフェクトや圧を変えて弾きなおすんだけど、それが聞けば聞くほど良すぎる。メンバーのソロプロジェクト死んだ僕の石川は更にやりすぎててもはや怨念に近い音楽になってるけど、そっちもよかった。

  6位 Australia/The shins
     ララーラーラー。つまりカントリーである。アメリカにもまだこんな素朴さが残っていたなんて…と思って検索したら2007年発売だった。やはりな。もう今のアメリカにこの音楽を作れる人間は残っていまい。そしてこれが好きな俺はやっぱりおっさんなんだろうなと思った。

  5位 雑感/柴田聡子
     これは新しい。ポエトリーよりもっと呟きに近い歌詞で、どうでもいいことを抑揚少な目で歌い上げる。本当にこの位置でいいのか不安だが、並べてみるとそうなる不思議な魅力があるというか…。これとヴァーチャルバカンス/猫戦はある種今後のトレンドを占う存在となると思う。マジで歌詞をちゃんと意識して聞いてみて欲しい。膝から砕けるから。
https://www.youtube.com/watch?v=AjIQ4J_2-gE

  4位 旅するギター/ラッキーオールドサン
     ラッキーオールドサンはApple musicのおかげで出会えてマジでよかったほんま感謝しとる。もちろん空気公団を聞いてたら好きそうやろ?と思われて仕方ないけど、空気公団からのサジェストでは出てこないのでちょっと違うらしい。表題曲はコロナ禍にあってますます評価されていい、のんびりとした、旅というには少し長い人生の道程という感じのいい曲。これに限らずどの曲もよくて、総合的に言えば一番聞いてるし合ってる。感情を読めない女の人の歌声がいい。
https://www.youtube.com/watch?v=imkEOaLHYpk

  3位 アメリカン/クララズ
     「通りの喫茶店で学生の英会話/冷めたアメリカン/置き去りにして」この歌詞からアメリカンっていうタイトルを取るだけで優勝まである。すごいね。詩の精度の高さを音楽が気持ちよくノセてて、相互作用というか、この音楽にはこの詩しかないという完成度をもたらしている。これに何の賞もつかないって、日本の音楽界…。
 https://antenna-mag.com/post-40520/

  2位 Sad number/Laura day romance
     昔一度聞いた時に印象深くて、もう一度聞きたいと思ってたら再び出会えた。アップルミュージックは人の心も覗いてしまうのか。それはともかく、この曲と「夜のジェットコースター」は新しいJpopの可能性を見せてくれる素晴らしい作品なんです。どちらの曲も完全にVoの魅力を信じ切っている作曲で、他に歌える奴はいないがおまえならやれる!という魂を感じる。もちろんそれを軽く上回って歌がよくて、余韻も含め、完璧なんです。
https://www.youtube.com/watch?v=gHoN6GQufcY

  1位 青いピアス/踊ってばかりの国
     踊ってばかりの国はすごく振れ幅のあるバンドで、合うものと合わないものでいえば合わないのが多いんだけれど、この曲だけは別格。サイゼリアで言えばラムときのこの木こり風(ドリンクバーもください)。4分くらいの曲に、しかも大きな転調などなしで、流れがあって起伏がある。一日の出来事を語っているようで、人生を語っているようで、どちらでもないようで…つまりはそれ自体が人生である。たかだが一日が一夜が、人間を決定づけるのだ。素晴らしい。ただMVがあまりにしょうもない。
https://www.youtube.com/watch?v=LVKwPxNxCe8

 まあそんなわけで、駆け足で俺の一年間を見てもらったわけだが。秋の夜長(もう冬だが)、せっかくなのでゆっくり聞いていってみてくれや。
 今年は完全に元が取れたと感じるくらいいい体験だったので、来年も契約するつもりです。

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