[こぼレビュー]マーベルスナップ

作った人:知らん
やった:Pixel7

 ライフタイム・ゲーミングの時代が来ている。
 ライブ型ゲーム・運営型ゲームという名前も久しく遠くなった。商業ゲームは沢山遊んでもらうことを目的とすることで、ブランドを確立しようとしている。開発費と広告宣伝費は≒になりつつある。

 さて、本作は2人対戦型の競りゲームだ。流れとしてはバトルライン(ショッテントッテン)やArtifact、そして何よりGWENTから来ており、3ラインで戦う。GWENTが一番近いです。
 同時手出しのゲームなので運が大きく絡むが、それを逆に利用してバックギャモンでいうダブリングキューブの採用をし自分のレーティングポイントを賭けて戦うことになっているのが特徴だ。

 好ましいのは今の時代Pay to winは流行らないということで割り切って全てのカードをすべてのプレイヤーにリニアなアンロック式にしていることだろう。ただ、このアンロックはゲーム内でのカードの見た目レベルによって上がる内部レベルに依存する。この見た目レベルを上げるには青い宝石が必要で、その青い宝石は枯れやすいので急いでレベルをあげたければ課金が必要…という回りくどい、非常に緩い勾配のPay to winではあるとも言える。2022年の感覚で言えばP2Wアレルギーには厳しいだろうが、大半の人には概ね無課金で遊べるゲームの認識かと思う。

 3か所のカードを出す場にはゲーム毎にランダムで選ばれた特徴があり、これらには根底ルールを変えてしまうレベルのものも多数ある為場所の特徴とデッキにシナジーが起きるかがまず重要で、キューブをいつ叩くか、叩けない程度の自信しかないなら相手の事故を祈り続けるゲームだ。

 問題点は幾つかある。
 まずやはりライブゲームとしての問題だろう。ハースストーン・マジックザギャザリングはライブゲームとしての大事な部分、豊富なカードのカタログや同じカードの複数刺しのシステム・メタやルールの変遷がゲームの寿命を延ばしている。本ゲームはかなりシンプル(なんならアナログで簡単に作れよう)な競りゲームの為、そういったことが不可能な点にある。
 メタの意識をせずに愛着のあるデッキでずっとダラダラゲームをするのは、楽しいかもしれないがライブゲームたりえるのかと思うところはある。 僕はメタの設計自体もゲームシステムの設計の一部だと思うのでそこが損なわれている懸念は大きい。ある種この手の対戦ツールというのは”正解”を隠し続けること自体が寿命ともいえよう。
 もし、3年以上続いたら謝ります。マーベルという大看板を使ってここまでゆるい課金の誘導で成り立つのかは結構疑問だ。成り立つくらい安いIPだったなら、うまくやったなと思うが。

 ダブリングキューブを用いる=掛け金があるゲームとスキルゲームは食い合わせがあると思うが、そこはうまくやっている方だろう。
 デッキ12枚中9枚(初手3枚→1ラウンド1枚×6ラウンド=9枚)が出るという意味ではあまり引きに左右されづらいゲームの作りではあるが、カード同士にコンボが成立するゲームであり、引く場面で引いてなければいけない怖さがある。ここに一つ運がある。
 また、引きに左右されづらいのに実は事故りやすくはなっている…1ラウンドに1マナあがるハースストーン式のゲームで、最終6ラウンド6コストの支払いができるというのに満額のコスト5やコスト6のカードに必須の強さを置いているため、最終ここを引いているかどうかの勝負に持ち込めた場合は気持ちよくプッシュユアラックを楽しめるようになっている。どうせ1枚しか出せないそんな高コストのカードをデッキに2枚も3枚も持ち込むわけがないので、たとえランダム性が低くても確率の戦いになるわけだ。設計の勝利だろう。
 だが…と前置いて、ここからは欠点にもなるのだが、引いても勝てない場面は多く存在し(でないと5ラウンドと6ラウンドだけのゲームでよくなるからね)実情では特定のコンボが成立した(成立するのが確実な)場合、このダブリングキューブは単純な押し得ボタンになってしまっている。押された方は同じメタデッキでないかメタデッキでもその時点で同等のものが成立していないなら降参するしかないので(相手のブラフかどうかは問題ではなく、成立する可能性が高いのがこのゲームだ)かなり不快な思いをする。
 競りゲームながら、相手との対話よりも場のランダム要素や自分側のコンボの成立に重きを置いている部分と、単純すぎるシステムの為回る環境という意味でのメタゲームがあまり成立しない、また今後もあまりこの点については変えようがないだろうというのがこのゲームの運用面での暗い未来の暗示になってしまう。ゲームが面白いだけに本当にもったいない。

 細かく言えば他にはいちいちうっとうしいUIーカードが3Dになった!ってスマホの角度読み取ってゆがませるだけの奴を見せびらかされても…飛ばせないし!他にはプレイヤーが持つ複数のレベルやミッションの管理情報…課金を緩く見せるためにここまで苦労しないといけないのか…。あとはデイリーミッションには禁断の「○○を使って勝つ」などもある…ゲームの体験を損なうミッションは前時代的だろう。-が欠点としては大きい。

 とにかくライブゲームとは金がかかるもの。こんなもので来年度のサーバー代を賄える自信があるのかかなり不思議なところではある。
 はっきり言うけど、カードを増やしただけでは先細りは目に見えている。
 ま、最終的にはマーベルスナップとして運営できなくても何か別のタイトルのアナログゲームで出してもろたらそれでいいんですけど…。

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