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Twitterの音声チャット機能「スペース」悪用に注意


ツイッターが、音声チャット機能「スペース」を提供開始とのアナウンスが2021年5月4日にありました。便利な人には便利かもしれませんが、音声チャット機能は悪用されると危険です。相手が知り合いならいいですが、身元までは明かしたくない場合、次の方法で住所や名前を絞り込まれてしまう可能性があります。

特徴的な音「電車のアナウンス」「学校放送」「サイレン、地域放送」
家族、友人からの呼びかけ「○○ちゃん、ご飯よ!」
地域限定のテレビの音「こんにちは。とちぎテレビニュースをお伝えします」
竜巻、雷などの自然災害の音
スマホの着信音(チャット相手が実はリア友で、アカウント特定のために電話をかけてくるかもしれません)
地震の揺れ(の感想をいってしまう)

特に、地震による絞込みがかなり有効です。相手が信用できない場合、チャットは気軽には使わない方がいいでしょう。どれくらい絞れるか実際に計算してみます。

地震で位置を絞り込む

地震は通常は発生時間を分単位でしか報道しませんが、しばらくすると地震発生時刻が秒単位で算出されます。中学校の理科の時間に習ったと思いますが、初期微動継続時間×8kmが震央までの距離です。でも、今は正確な時間座標と発生時刻がネットで得られるのです。

今回は、事例として2021年5月1日に宮城県沖で起きた地震を取り上げます。登場人物は
悪質なストーカーAさん
ストーキングされている自覚の無いBさん
の二人です。

まず、AさんとBさんは何気ない会話をしていました。10:27分32秒に、Bさんが突然、「あれっ?揺れてる?うぁああああ」と、突然の地震にパニックを起こします。

このとき、ストーカーAさんは何気なく落ち着くよう優しい言葉をかけながら、時刻を確認します。録画しておいて後で確認することもできます。

地震速報は
5月1日(土)10時27分頃、宮城県沖を震源とするマグニチュード6.8、深さ51kmと推定される地震が発生しました
まで。これ以上細かい情報はありません。地震波は秒速8kmなので、1分単位では400km以上の誤差が生じます。

さて、しばらくして細かい情報がネットに上がります。得られた情報は
年     月 日  時 分 秒       緯度          経度           深さ(km) M 震央地名
2021 5   1   10:27 26.9   38°10.4'N   141°44.4'E     51       6.8 宮城県沖

というもの。このことから、地震の規模はこんな感じとわかります。

ツイッター用ネタ画像_横_地震波1-2

最初の地震波(P波)は1秒ごとに約8km進みます。ツイッター等で呟くなら数秒数十秒の誤差は当たり前なので、多少地震について呟いたところで県を特定されるのがせいぜいでしょう。

しかし、音声チャットではほとんどタイムラグが生じません。また、相手の応答タイミングから、どれくらいのタイムラグがあるかも予測できます。従って、ストーカーは相手のP波到着時間をほぼ秒単位で得ることができます

ツイッター用ネタ画像_横_地震波2-2

さて、Bさんは地震の揺れについて反応してしまい、揺れの始まりが10:27:32頃であることがAさんに知られてしまいました。これは地震発生の5秒後です。このことから、Bさんの居住地は

ツイッター用ネタ画像_横_地震波3-2

以上のピンク色の範囲に絞られます。海浜地域であれば、震央のまわりはほとんど海なので人間の居住地はさらに絞り込めます。

まとめ

考えすぎと思いますか?僕はそうは思いません。ストーカーはその情熱と時間をストーキング相手に全て注ぎ込む恐ろしい相手です。音声チャット機能を使うときは、よくよく相手を選んでほしいと思います。

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