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原作があるドラマ等のライセンス契約テンプレート(20240427版)


これは何か?

セクシー田中さんの原作者さんである芦原妃名子さんが自ら命を絶たれてから、もうすぐ3カ月が経とうとしています。かけがえのない命が失われ、もはや真相は知りようがありません。しかし、外野から見てもひとつだけ、確実に改善できる問題があります。それは「契約」です。誰が悪い、というよりも、「誰にどの程度どのような責任があり、何を遂行すべきで何をするべきでなかったか?」が曖昧なまま、全ての行動が悪い方向に向かった、それは間違いないと思います。実はこの手の問題はテレビ業界でたびたび起きており、そのたびに「お互いの認識」が食い違ったまま、根本的解決はなされず。アニメおじゃる丸の作者さんに関しても、アニメ制作と原作者との間に問題が発生していたという疑いがもたれたまま、原作者様は亡くなられています。僕は、「正当な努力している人間が報われる」ことを望みます。現実には報われないことの方が圧倒的に多いですが、もしも少しでも改善できるならと、この契約書のテンプレートを夜な夜な書き、推敲してきました。
僕の考えでは、こういったきちんとした契約書をつくることで得られる利点が5つあります。
1.仕事の責任の所在がはっきりし、当事者がどこに文句を言い、どこに感謝すればいいかわかる
2.「原作者がどの程度原作を踏襲してほしいと考えているか(著作者人格権の同一性保持権など)」など、仕事の上で共通認識としておくべき情報が整理される
3.問題があると思った時、先に契約書を確認することで「問題の所在」「何が問題か」「そもそも問題なのか」がわかる
4.後で責任問題になった時に責任の所在がはっきりするので、いい加減な逃げ口上が使えない
5.何が必須で何が義務で誰に課せられているのか、あるいは自分に勘違いがあったのかがわかる

テレビ担当は「ドラマの仕事は大変で人材も状況も流動的、一々契約書なんかつくってられないよ」などというかもしれませんが、「流動的で大変だからこそ、さきに決められることはきっちり決めて、『契約書を確認してよ』で済ませられる方がいい」です。
そもそも、この契約書は産業技術契約書を参考にしたもので、特許やノウハウをライセンスするときはこの量が普通です。こういった契約書がないライセンスは、むしろ現代において極めて非常識かつ前時代的である、と指摘しておきます。では以下全11条、2万8000文字の契約書全文です。これに別途、「別紙ABCD」がつきます。コピペ等は自由にしてもらってかまいませんが、改変した際にはその旨を書いておいてくださいね。また、誤字脱字などありましたら是非、コメント欄に書いてください。修正後別版としてアップします。「注釈」と「注記」程度、あるいは句読点もおかしければ修正点です。

独占ライセンス契約


 本独占ライセンス契約(「本契約」)は、日本法に準拠して設立され、日本に主たる営業所を有する原作者(「ライセンサー」)と、日本法に準拠して設立され、日本に主たる営業所を有するテレビ会社(「ライセンシー」)との間で、2025年1月1日(「本効力発生日」)付で締結される。ライセンサーとライセンシーは、本契約において、時として、個別に「当事者」と、併せて「両当事者」と呼ばれる場合がある。

背景

 本契約に含まれる頭書と双方の合意を約因として、両当事者は本契約をもって以下のとおり合意する。

第1条 定義

 語頭大文字で用いられる用語は、以下の意味又は本契約で最初に用いられた箇所に記載の意味を有する。

 「関係会社」は、ライセンサー、ライセンシー又はサブライセンシーによって支配され、これが支配し又はこれと共通の支配に服する、一切の会社又は他の事業法人を意味する。本条において「支配」とは会社又は他の事業法人の議決権付株式又は他の持分利益の最低50パーセント(50%)の直接又は間接の受益所有権を意味する。

 「本契約」は、本契約の序文において定義された意味を有する。

 「適用法」は、適用される法律及び規則を意味し、準則、ガイドライン、裁判所の命令、コモンローの原則、規約、条約、条例又はその他の政府機関の要求を含む。

 本許諾作品に関して、動詞又は名詞としての「無効主張」「著作権違反」「著作権侵害」は、いずれかの法域における裁判所、特許庁又は他の行政若しくは仲裁機関において、当該本許諾作品のいずれかの有効クレームの全部又は一部について、その有効性又は権利行使可能性を争い又はこれに異議を申し立てることを意味する。

 本許諾作品に関して、動詞としての「商品化する」又は名詞としての「商品化」とは、本許諾作品を市場開拓し、宣伝し、流通させ、販売の申出をし、販売し、輸入し、輸出し、放送し、配信し、放映し、配給し、又はその他の態様によって商業化するための人による又は人のための一切の活動を意味する。

 「類似製品」「類似作品」とは、第三者によって製造、製作された本作品分野において、著しく類似する、または作品の類似がオマージュではなく作品そのものと誤認されうるほど類似している製品、作品を意味する。

 「秘密情報」は、第8.1条(a)において定義された意味を有する。

 何らかの物又は知的財産権及び人に関して、「コントロール」とは、当該人(又は当該人の関係会社)が、第三者との契約又は他の取決めの条件に違反し、当該人に支払義務を生じさせ又は第三者の専有若しくは営業秘密情報を不正使用することなく、関連する人に対し当該物又は知的財産権へのアクセス、使用権、ライセンス又はサブライセンスを許諾する法的権利をもって、(i)当該物若しくは知的財産権を保有し、又は(ii)当該物若しくは知的財産権を使用するライセンス若しくは権利を有することを意味する。

 「本主要作品情報」とは、当業者が本実施作品、製品を製作及び開発及び製造することを可能とさせるに十分な著作物に関する表現及び技術情報であり、別紙Bにその説明が記載されているものを意味する。

 間題となる特定の対象及び関連する知的財産権に関し、「派生」「派生させる」又は「派生する」とは、当該対象の制作、製造、商品化又はその他の利活用が当該知的財産権を侵害することを意味する。

 「本著作物派生作品」とは、その全部又は一部が本許諾作品から派生する本許諾作品を意味する。

 本許諾作品に関して、動詞としての「制作する」又は名詞としての「制作」とは、本許諾作品又はこのための方法を発見し、研究し、又はその他の態様によって制作するための人による又は人のための一切の活動を意味する。

 「本効力発生日」は、本契約の序文において定義された意味を有する。

 「本除外地域」とは、本効力発生日現在の欧州連合加盟国を意味する。

 本許諾作品に関して、動詞としての「利活用する」又は名詞としての「利活用」とは、本許諾作品および関連グッズを制作し、製造し、商品化し、使用し、使用させ又はその他の態様で利用することを意味する。

 「本実施分野」とは、一切の[ ]への適用を意味する。

 本許諾作品に関して、「最初の商業的販売」 とは、販売当事者による又は販売当事者のための第三者に対する本許諾作品の最初の販売を意味する。

 「不可抗力事由」は、第112条において定義された意味を有する。

 「政府機関」とは、多国籍、連邦、州、地方、市政その他あらゆる性格の政府機関(あらゆる省庁、部、局、支局、支所、事務所、委員会、評議会、裁判所及びその他の裁決機関を含む。)を意味する。

 「被補償当事者」は、第11.1条(a)において定義された意味を有する。

 「補償当事者」は、第11.1条(a)において定義された意味を有する。

 「知的財産権」とは、世界中における、発明、特許、著作権、意匠権、商標、ノウハウ、データベース権及びその他一切の(登録の有無を問わない)知的財産及びその出願についてのあらゆる権利並びにこれらを出願するあらゆる権利を意味する。

 「ノウハウ」とは、ノウハウ、営業秘密、実演、テクニック、方法、プロセス、発明、開発物、明細書、公式、あらゆる種類の(特許性の有無を問わない)物質若しくは組成物、ソフトウェア、アルゴリズム、マーケティング報告書、研究報告書、規制当局への提出文書及びその要旨、専門的知見、テクノロジー、テストデータ、分析及び品質管理データ、安定性データ、研究及び手続を含む、有形、無形を問わず、あらゆる類型のデータ、 結果並びに情報を意味する。

 「本許諾ノウハウ」とは、本効力発生日時点においてライセンサーによってコントロールされる一切のノウハウのうち、本製品の製造に必要又は有用であり、かつ、本契約に基づいてライセンサーからライセンシーに提供されたものを意味する。当事者は、本許諾ノウハウは、具体的に、本主要技術情報を含むことを合意する。

 「本許諾作品」とは、(i)別紙Aに列挙された漫画及びイラスト及びを意味する。

 「本許諾作品」とは一切の[ ]製品を意味する。

 「本許諸技術」とは、本許諾作品及び本許諾ノウハウを意味する。

 「本許諸地域」とは、本除外地域を除く世界の全ての国を意味する。

 「ライセンシー」は、本契約の序文において定義された意味を有する。

 「ライセンシー改良発明」は、第6.4条(a)において定義された意味を有する。

 「ライセンサー」は、本契約の序文において定義された意味を有する。

 「損失」は、第11.1条(a)において定義された意味を有する。

 本許諾作品に関して、動詞としての「製造する」又は名詞としての「製造」とは、本許諾作品又はその一部の開発又は商品化のための製造、加工、包装、試験、保管、本許諾作品の製造に関連する品質保証及び品質管理の活動を含む、本許諾作品又はその一部の製造に関連する、人による又は人のための一切の活動を意味する。

 「正味売上」は、第4.3条(b)において定義された意味を有する。

 「当事者」及び「両当事者」は、本契約の序文において定義された意味を有する。

 「特許」とは、(i)一切の国若しくは地方の又は国際的な特許及び仮特許出願を含む特許出願、(ii)これらの特許若しくは特許出願又はこれらを優先権の基礎とする出願から出願された、分割、継続、部分継続及び仮出願を含む特許出願、(iii)上記特許出願((i)及び(ii))のいずれかから発行された又は将来発行される特許、(iv)延長(補充的保護証明書等を含む。)及び再発行を含む、現行又は将来の延長又は回復制度による、上記特許及び特許出願((i)、(ii)及び(iii))のいずれかからの一切の延長又は回復、並びに、(v)上記特許及び特許出願((i)、(ii)、(iii)及び(iv))のいずれかに類似する権利を意味する。

 「人」とは、個人、会社、パートナーシップ、結社、合弁事業体、共同出資会社、企業合同若しくは他の団体、又は、政府若しくは行政機関を意味する。

 「本ロイヤルティ」は、第4.3条(a)において定義された意味を有する。

 「ロイヤルティ・レポート」は、第4.3条(c)において定義された意味を有する。

 「本ロイヤルティ期間」とは、作品ごとに、本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的販売を始期とし、別途定める年月日を終期とする期間を意味する。

 「本販売目標」は、第5.1条において定義された意味を有する。

 「販売当事者」は、第4.3条(b)において定義された意味を有する。

 「サブライセンシー」とは、本契約に従ってライセンシーによりサブライセンスを許諾された人を意味する。

 「本契約期間」は、第9.1条において定義された意味を有する。

 「第三者」は、ライセンサー、ライセンシー若しくはサブライセンシー又はこれらの関係会社以外の人を意味する。

 「有効クレーム」とは、管轄権を有する裁判所、特許庁又は他の政府機関の上訴不能な判断によって本許諾特許のクレームが取り消され又は無効若しくは権利行使不能と宣言されていない、発行され消滅していない特許であって、放棄されていないもののクレームを意味する。

 「VAT」は、第4.7条(b)において定義された意味を有する。

「差別」とは特定の集団に所属する個人や、性別など特定の属性を有する個人・集団に対して、その所属や属性を理由に異なる扱いをする意識または行為を意味する。

「不当な差別的扱い」とは、物事の取り扱いにおいてその判断に合理性がなく、差別的であると指摘されてなお合理的な判断理由の提示もなく判断の変更もなく、さらに他の合理的選択肢Aがあり、選択肢Aを選ばない合理的理由がないにもかかわらずやはり差別的とされた判断を元に物事を取り扱うことを意味する。(*注釈1)

本許諾作品に関して、動詞としての「イメージを毀損する」又は名詞としての「イメージの毀損」とは、スタッフや法人の倫理的問題、人道的問題、モラル的問題、その他マナー等の悪さにより、作品のイメージが棄損され、作品の発表や売り上げ等に影響を与えることまたは与えうる状態を意味する。(*注釈2)

第2条 ライセンスの許諾、独占性

第2.1条 ライセンスの許諾

本契約に含まれる条件に従いライセンサーは本契約をもってライセンシーに対し、本許諾地城において本実施分野で本原作作品に基づいて本許諾作品を利活用する、独占的、有償、サブライセンス可能かつ譲渡不能なライセンスを許諾する。ただし、ライセンシーは、直接又はその関係会社、サブライセンシー若しくは第三者を通じて、本許諾作品を本許諾地域から本除外地域の人に対し、宣伝し、流通させ、販売の申し出をし、販売し、又は輸出してはならない。

第2.2条 ライセンスの独占性

本契約期間中、ライセンサーは、第2.1条でライセンシーに許諾されたライセンスの範囲内において本原作作品から本著作物派生作品を制作し又は関係会社若しくは第三者にこれを制作するライセンスを許諾してはならない。
第2.3条 サブライセンス
(a) ライセンシーは、そのサブライセンス計画をライセンサーに十分に知らせる限りにおいて、第2.1条で許諾された範囲内で、さらなるサブライセンス権なしに、サブライセンスを許諾する権利を有する。ライセンシーは、締結日から30日以内に、本契約に基づいて締結される全てのサブライセンス契約の写しをライセンサーに提供する。
(b) ライセンシーは、正味売上がライセンシー若しくはサブライセンシー又はその関係会社のいずれによって請求されたかを問わず、本契約上支払義務のある全ての本ロイヤルティの支払についてライセンサーに責任を負う。
(c) ライセンシーは、本契約に基づいて締結されるサブライセンス契約に、サブライセンシーに本契約を遵守することを要求する条項を含めるものとする。ライセンシーは、本契約に基づくライセンシーの権利又は義務と相容れない権利をサブライセンシーに与えてはならない。ライセンシーが行えば本契約の違反となるようなサブライセンシーの作為又は不作為は、ライセンシーの違反とみなされる。

第3条 情報共有

第3.1条 設定や世界観および同一性基準の提供

(a) 本効力発生日後合理的な期間内に、ライセンサーは、ライセンシーに対し、ライセンサーによって既に文書化されている限りにおいて、本効力発生日時点でライセンサーによって了知され合理的に利用可能な、原作作品そのものと関連する世界観等の資料の文書を別紙B「本主要作品情報」として提供する。同様に、ライセンサーは自身の原作作品に関する著作者人格権、特に同一性保持権の想定範囲および改変可能基準に関する必要十分な記述をした資料の文書を別紙(C)「著作者人格権の範囲と方針」として提供する。ただし、ライセンサーが第三者と締結した契約上秘密保持義務を負う情報又は文書は、本条の義務から除外される。
(b) ライセンサーは、第3.1条(a)に従ってライセンシーに情報共有される情報はライセンシーが本許諾作品を効果的に制作及び商品化するために合理的に十分であることを表明し、保証する。

第3.2条 制作支援

本契約期間中(ただし、本契約の解約通知の日以降は除く。)、ライセンサーは、ライセンシーの書面による要求があり次第、ライセンシーが合理的期間、本原作作品に関する知識を共有し理解を深めるため、ライセンサーは対面、リモート、その他電子的手段で情報や意見のやり取りに応じる。かかるライセンサーの情報共有コストに関する最終的な決定はライセンサーのみによってなされるものとするが、ライセンサーは、ライセンシーの要求がライセンサー又はその関係会社の事業活動に支障を生じさせない限り、ライセンシーの要求する期間、制作のための合理的努力をするものとする。かかるサービスに対してライセンシーがライセンサーに支払う対価については当事者間で合意されるものとする。電子的やり取りに関してスマートフォン以上の特殊な機材を必須とする場合は、かかる機材の提供はライセンシーによるものとする。

第4条 財務事項

第4.1条 契約一時金

本契約上ライセンシーに与えられる権利の対価の一部として、ライセンシーは、ライセンサーに対し、払戻不能、控除不能、一回払いの料金300万円(「契約一時金」)を支払う。ライセンサーは、本契約の締結と同時にライセンシーに契約一時金の請求書原本を提出し、ライセンシーは、本効力発生日から30日以内に当該請求に対して支払うものとする。

第4.2条 マイルストーン・ペイメント

ライセンシーは、本許諾地域における、本著作物派生作品の最初の商業的販売(「マイルストーン・イベント」)があり次第、可能な限り速やかに、いかに遅くともその10日以内に、ライセンサーに通知するものとする。本契約上、ライセンシーに与えられる権利のさらなる対価として、ライセンシーは、マイルストーン・イベントが生じた後、ライセンサーが発行する請求書を受領後30日以内に、ライセンサーに対し払戻不能、控除不能、一回払いの料金150万円を支払うものとする。

第4.3条 ロイヤルティ

「本ロイヤルティ期間」とは、作品ごとに、本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的販売を始期とし、別紙に定める年月日を終期とする期間を意味する。「本ロイヤルティ条件」とは、作品ごとに、本許諾地域における本著作物派生作品の配信又は配給又は放映又は放送その他販売がなされることを条件とする。
(a) 本契約上ライセンシーに与えられる権利のさらなる対価として、ライセンサーは、本ロイヤルティ期間中、正味売上の3%に等しい金額のロイヤルティ(かかる支払を「本ロイヤルティ」と総称する。)を得るものとする。ライセンシーによるライセンサーへの本ロイヤルティの支払は、歴四半期の本許諾地域における正味売上に基づいて、本ロイヤルティ期間中、歴四半期ベースで行われるものとする。
(b) 本契約上ライセンシーに与えられる権利のさらなる対価として、ライセンサーは、本ロイヤルティ条件を満たした時、正味売上またはスポンサー収入の3%に等しい金額のロイヤルティ(かかる支払を「本ロイヤルティ」と総称する。)を得るものとする。ライセンシーによるライセンサーへの本ロイヤルティの支払は、歴四半期の本許諾地域における正味売上に基づいて、本ロイヤルティ期間中、歴四半期ベースで行われるものとする。
(c) 「正味売上」とは、適用される期間において、ライセンシー若しくはサブライセンシー又はそのいずれかの関係会社(「販売当事者」)による第三者への本著作物派生作品の販売について請求された粗額から、適用一般会計原則に従って当該本著作物派生作品の第三者への販売に割り当てられる限りにおいて以下の科目を控除した金額を意味する。「スポンサー収入」も同様に、適用される期間において、ライセンシー若しくはサブライセンシー又はそのいずれかの関係会社(「販売当事者」)による第三者への本著作物派生作品の配信又は放映又は放送によってスポンサー企業から支払われた粗額から、適用一般会計原則に従って当該本著作物派生作品の第三者への販売に割り当てられる限りにおいて以下の科目を控除した金額を意味する。
(i) 本著作物派生作品の第三者への販売に関連して販売当事者によって支払われる還付不能の租税(売上税、消費税、使用税、付加価値税及び関税を含み、売上に由来する所得について支払われる租脱を除く。)
(ii) 本著作物派生作品の第三者への輸送に関して請求される輸送、郵送、配送、保険、出荷及びその他の運送費用
(iii) 本著作物派生作品の第三者への販売に関して、卸売業者、販売店、販売代理店(販売当事者の販売員を除く。)及びその他の発注者に対してそれぞれ支払われる手数料
(iv) 第三者に対して実際に与えられかつ直接適用された貸勘定又は割引(取引、現金、即時払又は数量割引を含む。)及び一切の必要的割引
(v) 欠陥のある又は返品された本著作物派生作品に関して第三者に対して実際に与えられ又は支払われた合理的な貸勘定及び割引
(vi) 回収不能金、及び
(vii) 本許諾地域におけるライセンシーの他の製品の収益の記録と一致する限りにおいて、本著作物派生作品の第三者への販売の収益の記録に関して適用一般会計原則に従ってそれぞれ一貫して適用されるその他の慣習的な調整
(d) 本許諸地域における本著作物派生作品の最初の商業的販売又は配信又は配給又は放映又は放送以降、ライセンシーは、各歴四半期の末日から30日以内に、ライセンサーに対し、両当事者が時々において合意する形式において、(i)当該四半期の本許諾地域における月次販売総数量及び正味売上及びスポンサー収入、及び(ii)当該四半期においてライセンサーに支払われるべき全ての本ロイヤルティ(使用された外国為替レートを含む。)について、詳細かつ項目別の報告書(「ロイヤルティ・レポート」)を提出する。ライセンシーは、ロイヤルティ・レポートと同時に、ライセンサーに対し、当該歴四半期について支払うべき一切の本ロイヤルティを支払うものとする。特定の四半期についてライセンサーに支払うべき本ロイヤルティが存在しない場合、該当のロイヤルティ・レポートはその旨を記載するものとする。全てのロイヤルティ・レポートは第4.4条(b)に規定するライセンサーの監査権に服する。
(e) 米ドルで請求される正味売上又はスポンサー収入については、第4.3条に基づく正味売上及び本ロイヤルティは、それぞれ米ドルにて示される。米ドル以外の通貨で請求される正味売上について、本ロイヤルティは、当該ロイヤルティの送金対象となる暦四半期の通貨為替レートを用いて米ドルに換算された金額に基づいて計算される。他の通貨で請求される正味売上の米ドルにおける等価の貨幣額の計算は、当該報告期間の末日(この日が東京における銀行営業日でない場合には、その直前の東京における銀行営業日)の東京外国為替市場における午前11時にX銀行が公表する対顧客電信外国為替レートの仲値(TTM)によってなされるものとする。

第4.4条 記録保管、監査

(a) ライセンシーは、自ら並びにその関係会社及びサブライセンシーをして、ライセンス作品、商品の販売や利益に関する正味売上の正確な算定に必要な情報を示す、適用一般会計原則に従ってそれぞれ一貫して適用される完全かつ正確な会計帳簿又は記録を作成するものとする。当該帳簿及び記録は、適用される租税時効(若しくはその延長)の期間満了時まで又は適用法によって要求されるより長期の期間、ライセンシー、その関係会社及びサブライセンシーによって保管されなければならない。
(b) ライセンサーの書面による要求があった場合、ライセンシーは、自ら並びにその関係会社及びサブライセンシーをして、公認会計士又は同様の職業的地位を有する個人で両当事者にとって受容可能な独立した会計事務所に属する者が正味売上の計算と支払われた本ロイヤルティの正確性をチェックするために必要なライセンシー、その関係会社及び/又はサブライセンシーの当該帳簿及び記録の全部又は一部を、通常の営業時間において、暦年1回を上限とし、かつ当暦年から3年を超えて遡ることなく、検査させることを許さなければならない。当該会計事務所は、場合に応じ、ライセンシー、その関係会社及び/又はサブライセンシーに対し、検査の期間受領する一切の情報を秘密として取り扱う適切な義務を負わなければならない。当該会計事務所は、ロイヤルティ・レポートが正確であるか否か及び何らかの齟齬がある場合にはその詳細をライセンサーに開示するものとする。ライセンサーは、また、当該監査の報告書を受領する権利を有するが、当該報告書はライセンシー、その関係会社又はサブライセンシーの秘密情報を開示するものであってはならない。当該会計事務所の手数科を含む当該監査の費用はライセンサーによって支払われるものとする。ただし、報告された正味売上又は本口イヤルティが10%を超えて過少申告されていた場合、ライセンシーは、ライセンサーから請求書を受領後30日以内に、当該監査の一切の費用及び支出を支払うものとする。両当事者は、当該監査の結果を反映する金額調整を速やかに行うものとする。支払義務があるにもかかわらず支払われておらず又は過払いのため償還が必要であることが示された金額は、所定の利息を付した上、監査報告から30日以内に、(場合に応じて)支払われ又は払戻しされなければならない。

第4.5条 最低ロイヤルティ

本ロイヤルティ期間中、本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的販売又は配信又は放映又は放送された暦年から、第2.1条によってライセンシーに許諾されたライセンスが第5.2条によって非独占ライセンスに転換された暦年までの間で、なおかつ第4.3条に規定された「本ロイヤルティ条件」を満たした場合、ライセンシーは、ライセンサーに対し、100万円の最低ロイヤルティ(「本最低ロイヤルティ」)を支払うものとする。本許諾地域における正味売上に基づく本ロイヤルティの支払は、本最低ロイヤルティから控除される。ライセンシーは、本第4.5条が適用される暦年の末日から30日以内に、当該暦年の本最低ロイヤルティの残額をライセンサーに支払うものとする。

第4.6条 支払

(a) 本契約に基づく全てのライセンサーに対する支払は、ライセンサーが書面によって特定した銀行口座に日本円の即時利用可能資金を電信送金することによってなされるものとする。電信送金費用を含む、ライセンサーへの支払に伴う全ての費用はライセンシーが負担し、ライセンサーへの支払から控除されないものとする。
(b) 支払期限到来時にライセンシーによる支払のなかった金額は、支払期限からライセンシーによる実際の支払日までの期間において年8%の利率による利息に服するものとする。

4.7条 租税

(a) 適用法によって源泉徴収が要求されない限り、全ての支払は、源泉税を含め一切の賦課租税を控除せずになされなければならない。ライセンシーによる租税の源泉徴収が要求される場合、ライセンシーは、(i)ライセンサーが当該源泉徴収を回避又は最小化するために適法な措置を執ることができるよう速やかに通知し、(ii)ライセンサーに対する支払から当該租税を控除し、(iii)当該租税を適時に所轄税務当局に支払い、(iv)当該支払から60日以内に所轄税務当局による当該支払の受領を証明するため支払証憑をライセンサーに送付し、かつ(v)ライセンサーによる当該支払についての外国税額控除の申請に関連する主務官庁の要求を満たすために必要な納税証明書の写しその他の当該源泉徴収を証明する書類を合理的な迅速さをもってライセンサーに提供するものとする。ライセンシーは、時宣に有効な協定又は条約による当該控除又は源泉徴収の免除の申立てについてライセンサーに協力することを合意する。
(b) 本契約上支払義務のある支払金には、一切の付加価値税又はその他類似の間接税(「VAT」)が含まれないものとする。適用法において何らかのVATの支払義務がある場合、それは当該支払金に加えて支払当事者に賦課されるものとする。

第4.8条 払戻不能、相殺

契約に基づく全ての支払は、取消不能、払戻不能かつ控除不能である。当事者間で別段の合意がなされ、又は第4.4条(b)によって確定されるのでない限り、ライセンシーは、本契約上ライセンサーに支払義務を負う金額に対し又は同金額から一切の金額を相殺し、差引き又は控除する権利を有しない。念のため明記すると、ライセンシーは、本契約で定められた原作者・著作者としての権利の行使をもって作品制作がなされなかったとしても、払戻しを受け又は支払額の控除を受ける権利を有しない。(*注釈3)

第5条 本実施製品の商品化

第5.1条 商業上の合理的努力

ライセンシーは、本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的展開後1年目の暦年において、本許諾地域において1億円以上の正味売上の目標(かかる目標を「本販売目標」という。)を達成するよう商業上の合理的努力を尽くさなければならない。また、本契約締結後遅くとも5年以内には、作品本編の最初の商業的販売又は配信又は配給又は放映又は放送が成されるよう合理的努力を尽くさなければならない。

第5.2条 非独占ライセンスへの転換

本契約における別段の定めにかかわらず、ライセンシーが本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的展開後、1年目の暦年に本販売目標を達成しなかった場合、もしくは契約締結後5年の後に至っても作品本編の最初の商業的販売又は配信又は配給又は放映又は放送が成されなかった場合、ライセンサーは、その単独の裁量により、ライセンシーに対する書面による通知をもって、第2.1条に基づきライセンシーに許諾された独占ライセンスを本許諾地域の全部又は一部における非独占ライセンスに転換する権利を取得するものとする。

第5.3条 競業避止

ライセンシーは、第2.1条に基づくライセンシーの独占ライセンスが第5.2条に従って非独占ライセンスに転換されない限り、自ら又は関係会社若しくは第三者をして、本許諾地域において類似派生作品を商品化してはならない。

第6条 知的財産

第6.1条 著作権の帰属

(a) 当事者間においては、ライセンサーが全ての本許諾作品の知的財産権の保持と維持について単独で責任を負う。ただし、ライセンサーが本原作作品の著作権の譲渡を決定した場合、ライセンサーは、少なくとも関連する期限の60日以上前に、可能な限り迅速に書面をもってその決定をライセンシーに通知しなければならない。ライセンシーは、そのような通知を受領した場合、自ら又は第三者により、本契約をもって譲渡先に対してライセンスの存在を対抗できる(改正著作権法(2020年10月1日施行))。(*注釈4)
(b) ライセンサーは、自らの費用と努力により、本原作作品を知的財産として守る合理的な範囲での努力義務を負う。具体的には、本著作物派生作品が未完成の時点で、本原作作品を元にした、明らかに本著作物派生作品と競合する作品・製品に対して、著作権者としての警告、差止め要求、訴訟等を行う。ただし、著作権違反の対象が多すぎるなどライセンサーの業務を著しく圧迫する状況が認められる場合は、ライセンシーが費用、人員等の補助を行うものとする。
(c) ライセンシーは、本著作物派生作品に対して著作権及び頒布権を有し、その権利の保持と維持について、単独で又はライセンシーより任命を受けた代理人が責任を負う。

第6.2条 権利の行使

(a) 各当事者は、本許諾地域において何らかの本許諾作品について権利が侵害され又はこれが不正使用されている疑い又はおそれを認識したならば、速やかに書面をもって他方当事者に通知しなければならない。通知当事者は、その保有する当該侵害行為に関する文書を他方当事者に提供する。
(b) ライセンサーは、自己の費用により、自身で選択する弁護士をもって、本許諾作品の権利侵害又は不正使用に関する訴訟又は手続を提起し、管理する単独の権利を有するが、その義務は負わない。ライセンシーは、ライセンサーの費用により、ライセンサーがそのような侵害又は不正使用の訴訟を開始し、追行し、管理することが可能となるために必要かつ適当な一切の文書を作成しかつ適切な措置を講じ、またそのような訴訟の開始と維持についてその他の協力(名目上の当事者として手続上表記されることについての同意を含むがこれに限られない。)を行うものとする。一切の損害金その他の認容賠償金は(和解又はその他によるものか否かを問わず)ライセンサーが保持するものとする。
(c) ライセンサーが侵害を認識してから6か月以内に何らの訴訟も提起しない場合、ライセンシーは、自己の費用において訴訟を提起し、認容賠償金を保持することができる。また、侵害の証拠が失われる又は隠滅される恐れがある場合は、両当事者は他方当事者に書面による通知をもって同意を受けたうえで、より迅速に訴訟手続きの全て又は一部を代行できるものとする。

第6.3条 第三者の侵害主張

各当事者は、第三者から、本契約に従った本許諾地域における本実施分野での本許諾作品の利活用が当該第三者の特許又はその他の知的財産権を侵害若しくは不正使用し又はその可能性があると主張された場合、他方当事者に対し速やかに書面をもって通知するものとする。各当事者は、本契約に従った本許諾地域における本実施分野での本許諾作品の利活用が第三者の特許又はその他の知的財産権を侵害し又は不正使用するとの主張に基づき第三者によって各当事者に対して提起される訴訟、手続又は請求に対して、各自の責任と費用をもって防御を行うものとする。各当事者は、他方当事者の費用により、他方当事者がそのような第三者による侵害又は不正使用の訴訟、手続又は請求に対する防御を行うために合理的に必要な措置を講ずるものとする。商標権及び意匠権の侵害を可能な限り事前に防ぐため、ライセンサーとライセンシーはお互いの合意の元、共に自身の作品を他方に開示し、知的財産の侵害がないことを確認する機会を設けることができるものとする。

第6.4条 ライセンシーによる改変

(a) ライセンシー(又はその関係会社若しくは下請人若しくはそれらの各取締役、役員、従業員若しくは代理人)によって又はこれを代理して作品制作にあたるとき、改良や独自制作部分を盛り込む(「ライセンシーによる改変」)場合には別紙(C)「著作者人格権の範囲と方針」を参照し、許容範囲内の改変であれば同紙内の既定の連絡方法で事後承諾でライセンサーに通知するものとする。別紙(C)「著作者人格権の範囲と方針」を参照したうえで、許容範囲でない可能性がある場合は速やかにライセンサーに既定の連絡方法で通知し、必要であればさらに協議の場を設けることができる。
(b) 当事者間においては、本契約に従って与えられた権利又は行われた活動に関連して、単独で又は第三者と共に、ライセンシー(又はその関係会社若しくは下請人若しくはそれらの各取締役、役員、従業員若しくは代理人)によって又はこれを代理して、改良や独自制作された部分(「ライセンシーによる改変部分」)の全ての権利及び利益は、第6.4条aに反しない限りライセンシーとライセンサーの共同著作物として扱う。これはライセンサーの原作者としての著作権を弱めるものではない。
(c) ライセンサーは、別紙(C)「著作者人格権の範囲と方針」に必要かつ十分な記載をし、権利の濫用はせず可能な限りの制作上の協力義務を負う。
(d) ライセンシーは、本契約により、ライセンサーに対し、ライセンシー派生作品(本著作物派生作品)を、自己作品にさらに利用することが可能であるが、ライセンシーが改良や独自制作された部分(「ライセンシーによる改変部分」)について商業的に使用する場合には別途契約を必要とする(本契約の範囲外)。
(e) ライセンシーは、ライセンシーが改良や独自制作された部分(「ライセンシーによる改変部分」)を有するか否かを問わず、全てのライセンシー成果物および制作過程を、別紙(C)「著作者人格権の範囲と方針」に記載した方法で参照させる義務を有し、書面または通信または電子的手段をもってライセンサーに開示し、参照可能とさせる。

第6.5条 作品イメージの保護

(a) ライセンサーは、作品のイメージを守るため、日常においても合理的な範囲で身を慎む努力をする。(*注釈5)
(b) ライセンシーは、作品のイメージを守るため、日常においても合理的な範囲で身を慎む努力をする。(*注釈6)

第7条 表明保証及び特定の誓約

第7.1条 当事者双方による表明保証

各当事者は、本効力発生日時点において、他方当事者に対し、以下のとおり表明し、保証する。
(a) 同人は、その設立の州、省又は国の法に基づき適式に組織されかつ有効に存在しており、本契約を締結してその規定を履行する完全な権能及び権限を有する。
(b) 同人による本契約の締結及び履行は、それが当事者となり又は拘束を受け得る口頭又は書面による一切の合意又は文書と抵触しない。(*注釈7)

第7.2条 ライセンサーによる表明保証

ライセンサーは、本効力発生日時点において、ライセンシーに対し、以下のとおり表明し、保証する。
(a) ライセンサーは、本許諾作品に対するコントロール及び本契約上のライセンスを許諾する権限を何らの妨げもなく保有している。
(b) 本許諾作品は、本許諾作品派生作品を構成するに必要な知的財産権のうちライセンサーによってコントロールされるもの全てを構成する。(*注釈8)
(c) ライセンサーの知る限りにおいて、本許諾地域における本作品分野での本著作物派生作品の利活用は第三者の知的財産権を侵害しない。
(d) ライセンサーは、本著作物派生作品の利活用が第三者の知的財産権を侵害し又は不正使用すると主張する、妥当な根拠を提示した第三者からの通知書、または裁判所からの通知を受領したことはない。(*注釈9)
(e) 本許諾作品は第三者に帰属する営業秘密又は独占的情報又は個人情報又は防衛秘密を含まない。
(f) 本許諾作品は第三者に帰属する意匠、商標権を不当に侵害していないことを可能な限りにおいて確認している。(*注釈10)
(g) ライセンサーの知る限りにおいて、本著作物派生作品に類似した形式の類似した、競合作品は発表されておらず、また発表の予定もない。
(h) ライセンサーは本許諾作品に関する訴訟その他の法的申立て又は手続の当事者ではなく、ライセンサーはそのような訴訟、申立て又は手続の可能性を告知する書面又は口頭による連絡を第三者から受けたことはない。
(i) ライセンサーは、別紙(D)「作品制作に関わる人員の職務分掌と責任関係および適合性」について、契約時点での真実性を保証する。

第7.3条 ライセンシーによる表明保証

ライセンシーは、本効力発生日時点において、ライセンサーに対し、以下のとおり表明し、保証する。
(a) 本契約において予定されるの使用に関する同人の行為は適用法に適合する。
(b) ライセンシーは、別紙(D)「作品制作に関わる人員の職務分掌と責任関係および適合性」について、契約時点での真実性を保証する。

第8条 秘密保持

第8.1条 秘密情報

(a) 「秘密情報」とは、一方当事者又はその関係会社について、当該当事者又はその関係会社が保有又は所持し、秘密又は独占的なものとして取り扱う何らかの営業秘密又はその他の技術上若しくは営業上の情報であって、本契約期間中であるかその前であるかを問わず、本契約の主題に関して他方当事者又はその関係会社に開示され又は知得されたもののうち、「秘密」、「独占」若しくは類似の文言が記載され又は秘密又は独占的なものであると合理的に理解されるべきものを意味し、口頭、書面、図形又は電子的な方法によって開示又は知得されたか否かを問わず、デザイン、ネーム、下描き、プロット、脚本、仕様書、ノウハウ、模型、発明、発見、方法、手続、公式、手順、技術、データ及び公開されていない意匠出願、商標出願、特許出願を含み得る。ただし、以下の情報は秘密情報を構成しない。
(i) 開示当事者による開示以前から受領当事者が適法に保有している情報
(ii) 開示当事者による開示時に既に公知又は公用となっていた情報
(iii) 開示当事者による開示後、受領当事者の責めに帰すべからざる事由によって公知又は公用となった情報
(iv) 受領当事者が第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に取得した情報
(v) 受領当事者が開示当事者から開示された情報によらずに独自に開発した情報
(b) 上記第8.1条(a)の定めにかかわらず、当事者間においては、作品情報は、常にライセンサーの秘密情報であるとみなされる。
(c) 当事者は、第8.1条(a)の制約の下、本契約の存在及び条項は両当事者の秘密情報であり、各当事者によって他方当事者の秘密情報として取り扱われることに合意する。

第8.2条 秘密保持義務

本契約に明示的な別段の定めがない限り、本契約期間及びその後の5年間、各当事者は、他方当事者の秘密情報を秘密として保持しなければならず、他方当事者の書面による事前の同意がない限り、関係会社若しくは第三者にこれを開示し又は本契約上予定される目的以外の目的でこれを使用してはならない。ただし、各当事者は、以下の状況において合理的に必要な限りにおいて他方当事者の秘密情報を開示することができる。
(i) 規制上の届出及びその他の主務官庁への届出
(ii) 管轄裁判所又は他の管轄当局の有効な命令に対する回答。ただし、受領当事者は、開示当事者に対し、まずそのような開示請求を事前に通知した上、許容される限り、当該命令を取り消し又は当該秘密情報が秘密として保持され若しくは当該命令が発令された目的のためにのみ使用できることを要求する秘密保持命令を取得する合理的な機会を与えねばならず、そのような命令が取り消されず又は秘密保持命令が取得できなかった場合、開示される秘密情報は、開示が法律上要求される情報に限定されなければならない。
(iii) 証券取引所が定める規則を含む適用法の遵守。ただし、受領当事者は、実行不能でない限り、開示当事者に対し当該開示について合理的な事前通知をし、当該情報の秘密の取扱いを確保する合理的な努力をしなければならない。
(iv) 知る必要に基づく関係会社、サブライセンシー又は第三者に対する開示であって、関係会社、サブライセンシー又は第三者が開示当事者による本契約上の義務の履行又は権利の行使を支援することのみを目的としたもの。ただし、各被開示者は当該開示に先立ち、少なくともこの第8.2条に定めるのと同等に制限的な秘密保持義務を負わなければならない。
(v) ライセンサー及びライセンシーは、本契約で想定していない事態が起き、情報を開示しないことによって自己または顧客が不利益を被るか重大な誤認が生じる可能性があると判断される場合、まずは別紙(D)「作品制作に関わる人員の職務分掌と責任関係および適合性」に記された、お互いの上位の責任者に情報の開示を含めた対策について協議することを原則とする。ただし、いずれの上位責任者も協議に適さないと合理的に判断されるか、明らかに不正の主体であり証拠隠滅もしくは冤罪に陥れられかねないなど切迫した事情があるか、もしくは自身が最上位責任者である場合、さらにその訴えにおいて必然的に秘密情報が含まれる場合は、その範囲においてのみ秘密保持義務を負わない。
(vi) ライセンサー及びライセンシーは、業務上の不正などを告発または告訴する場合においては、その告発告訴内容に関連してのみ、担当省庁に対してのみ秘密保持義務を負わない。ただし、認識の誤りや勘違いが生じないよう、可能な限り情報収集と状況確認、確人の認識の確認に務める義務を負う。

第8.3条 公表

(a) ライセンシーは、ライセンサーが本許諾作品に関連するものを含めて自由に公表することができることを認める。ライセンサーの人員は、本著作物派生作品の関連作品を含め、媒体を問わず自由に発表することができる。ただし、本許諾作品については、ライセンシーが自発的に公表した情報以外で、ライセンサーの立場で知り得た情報はその限りではない。
(b) ライセンシーは、ライセンサーの事前の同意及び帰属の決定についての双方の合意がない限り、一人又は複数の第三者に対し、書面によるか口頭によるかを問わず、本著作物派生作品について公開又は発表してはならず、そのような公開又は発表はいかなる場合においても、適用法に従わなければならない。(*注釈11)

第8.4条 プレスリリース

いずれの当事者も、口頭によると書面によるとにかかわらず、他方当事者の書面による事前の同意がない限り、本契約の存在又はこれに関する一切の情報についてプレスリリース又はその他の公表をしてはならない。ただし、各当事者は、(i)本第8.4条に従って有効になされた従前のパブリックリリース若しくはその他の公表においてなされた開示を繰り返し若しくはこれを確認し、又は(ii)適用法若しくは適用される上場規則上の開示義務に従うために要求される限りにおいて、かかる情報を開示することができる。

第9条 契約期間及び解約

第9.1条 契約期間

本契約は本効力発生日に発効し、第9.2条に従って早期に解約されない限り、第4.3条に従った支払が終わった時に終了するものとする(「本契約期間」)

第9.2条 各当事者による解約

(a) 契約違反
(i) 各当事者は、他方当事者が本契約の規定又は条件の重大な違反をした場合、反対当事者に対する書面による30日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。また、可能であれば問題となった人員の排除と交代要員の補充を要求する権利を有する。ただし、当該違反当事者が当該30日の期間(「本治癒期間」)の終期までに当該違反を治癒した場合はこの限りでない。
(ii) 重大な違反をしたとの嫌疑を受けた当事者が本治癒期間中に当該違反嫌疑に関して第11.5条に従って紛争解決手続を開始した場合、本第9.2条(a)に基づく解約権及び本治癒期間の進行は停止し、当該停止は、被疑違反当事者が当該紛争解決手続における粉争の早期の解決に誠実に協力する限り継続するものとする。
(iii) 各当事者は、他方当事者が本契約の規定又は条件の軽微な違反をした場合、まずは書面または電子的通信手段を用いて、違反当事者もしくはその責任者に対して可能な限り迅速に警告を行う。書面でない警告手段であっても必ず記録を残し、違反があった、あるいは確認された日時のうち遅い方の日時より起算して5年間、全ての違反記録を保管する。
(iv) 軽微な違反が同一または類似した内容で、同一人物または同一のグループにより繰り返され、改善が望めないと他方当事者が判断した場合は、その被害の軽重を加味したうえで、違反を行った当事者の他方当事者の判断により、重大な違反として扱う。
(b) 不可抗力事由
一方当事者が不可抗力事由により本契約上の義務を履行することができず、かつ、その履行が180日を超える期間継続し又は継続することが予想される場合、他方当事者は本契約を直ちに解約する権利を有する。
(c) 支払不能
各当事者は、他方当事者が債務超過となり若しくは債権者の利益のために譲渡を行った場合、又は他方当事者に対して若しくはそのために破産若しくは倒産処理手続が開始された場合、反対当事者に対する書面による通知をもって本契約を直ちに解約する権利を有する。
(d) 分掌の履行不十分
別紙(D)「作品制作に関わる人員の職務分掌と責任関係および適合性」に定められた業務が十分に履行されない場合、まずは書面または電子的通信手段を用いて、当事者もしくはその責任者に対して可能な限り迅速に警告を行う。警告内容には履行すべき業務内容と希望する対応若しくは業務結果を明記する。書面でない警告手段であっても必ず記録を残し、警告した日時より起算して5年間、全ての警告記録を保管する。複数回にわたる同一人物または同一グループの分掌履行不十分が認められる場合、第9.2条(a)に定められた重大な違反として取り扱うことができる。

第9.3条 ライセンサーによる解約

(a) ライセンサーは、ライセンシーが別紙(C)「著作者人格権の範囲と方針」を守らずさらに改善に十分な形で応じない場合、ライセンシーに対する書面による通知をもって直ちに本契約を解約する権利を有する。
(b) ライセンシーがライセンサーの書面による事前の同意なくは本契約上の権利若しくは義務をその関係会社又は第三者に譲渡した場合、ライセンサーは、ライセンシーに対する書面による通知をもって本契約を直ちに解約する権利を有する。
(c) ライセンシーがライセンサーの書面による事前の同意なく支配権変動取引を完了させた場合、ライセンサーは、ライセンシーに対する書面による通知をもって本契約を直ちに解約する権利を有する
(d) ライセンシーが本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的販売後、5年目以降の暦年において本販売目標を達成しなかった場合、ライセンサーは、ライセンシーに対する書面による30日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。
(e) ライセンシーが第5.1条に規定する商業上の合理的努力を尽くさない場合、ライセンサーは、ライセンシーに対する書面による90日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。ただし、ライセンシーが当該90日の期間の終期までに当該努力懈怠を治癒した場合はこの限りでない。

第9.4条 ライセンシーによる解約

(a) 管轄権を有する裁判所、特許庁又は他の行政機関の上訴不能な判断によって本許諾著作物の著作権に、第7.1条(a)(b)(c)(f)に抵触する権利上の瑕疵が生じ、ただちに治癒不能である場合、ライセンシーは、ライセンサーに対する書面による30日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。
(b) ライセンシーの責めによらず、本著作物派生作品に著しく類似し競合することが予測される作品が発表された場合、ライセンシーは、ライセンサーに対する書面による30日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。
(c) 第三者の提起した著作権侵害訴訟、商標権侵害訴訟、意匠権侵害訴訟などによってライセンシーが本許諾地域における本著作物派生作品の制作又は製造又は商品化を永続的に禁止される場合、ライセンシーは、ライセンサーに対する書面による30日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。
(d) ライセンシーは、本著作物派生作品を商品化することが経済合理的でないと合理的に決定した場合、ライセンサーに対する書面による180日の事前通知をもって本契約を解約する権利を有する。

第9.5条 契約終了又は解約の効果、残存条項

(a) 本契約が終了し又は解約された場合、本契約期間の終了又は解約の効力発生日のいずれか早い日において、本契約上ライセンサーからライセンシーに許諾されたライセンスは終了し、ライセンサーに復帰する。
(b) 本契約が終了し又は解約されても、両当事者は、当該終了又は解約の効力発生日の前に本契約上発生した責任を免れず、いずれの当事者も本契約の違反に関して本契約上又は法律上有する全ての権利及び救済を行使することを妨げられない。
(c) 第8条及び第11条並びにその性質上本契約の終了又は解約後も残存することが意図されている他の条項は、本契約の終了又は解約後も残存するものとする。

第10条 譲渡及び支配権の変動

第10.1条 契約の譲渡

いずれの当事者も、他方当事者の書面による事前の同意がない限り、本契約又は本契約上の権利若しくは義務をその関係会社又は第三者に譲渡することができない。ただし、ライセンサーは、ライセンシーの同意なく、本契約上の権利の全部又は一部をその関係会社に譲渡することができる。

第10.2条 本許諾作品の譲渡

ライセンサーは、ライセンシーの書面による事前の同意がない限り、その関係会社又は第三者に対し本許諾作品を譲渡し又は担保権を設定してはならない。

第10.3条 支配権の変動

ライセンシーは、ライセンサーの書面による事前の同意がない限り、支配権変動取引を完了させてはならない。ただし、ライセンサーは、当該同意を不合理に差し控え、これに条件を付し又は遅延してはならない。本規定において「支配権変動取引」とは、(i)直接的か間接的か、合併その他の方法によるか若しくは受益上か記録上かを問わず、ライセンシーの関係会社又は第三者への一つの取引若しくは一連の関連取引によるライセンシーの持分の少なくとも50%の売却、交換、譲渡、発行若しくは売却、(ii)ライセンシーとその関係会社又は第三者との適用法に基づく吸収合併若しくは新設合併であって、ライセンシー若しくは当該吸収合併若しくは新設合併の直前、直接若しくは間接にライセンシーを支配していたその関係会社の株主が当該吸収合併若しくは新設合併のクロージング後、存続法人若しくは新設合併によって設立される法人の総持分の少なくとも50%の保有を継続しないものである場合、又は(iii)一つの取引若しくは一連の関連取引によるライセンシーの全部若しくは実質的に全部の資産のその関係会社若しくは第三者の一社又は数社に対する譲渡若しくはその他の処分、を意味する。(*注釈12)

第11条 雑則

第11.1条 補償

(a) 各当事者(「補償当事者」)は、他方当事者並びにその取締役、役員、従業員及び代理人(それぞれ「被補償当事者」)を、第三者による何等かの請求、要求、訴訟、申立て又はその他の手続の結果、被補償当事者が服することになる一切の請求、要求、訴訟、申立て、責任、損害及び/又は合理的な法的費用及び弁護士費用を含む支出(「損失」と総称)に対して、当該損失が以下から生じ又は由来する限りにおいて、補償し、防御し、かつ損害を被らせないようにするものとする。
(i) 補償当事者による本契約上の表明、補償、誓約又は義務の違反及び/又は適用法の違反、又は
(ii) 本契約に関連する補償当事者又はその関係会社による重過失又は故意による不正行為
(b) 詐欺、重過失又は故意による不正行為を理由とする請求に関するものでない限り、いずれの当事者も他方当事者に対し、損害の可能性の通知にかかわらず、また契約、過失、厳格責任その他の法的理論を含むいかなる法的理論の主張にかかわらず、本契約の違反に由来又は関連して発生する一切の特別的、間接的、結果的、付随的、逸失利益の又は懲罰的な損害について責任を負わないものとする。
(c) 各当事者は、自己の費用をもって、本契約期間中、本契約上の責任を補償するに十分であり、かつ類似の規模及び範囲を有する賢明な製造会社の標準的なビジネス実務に従った保険契約(又は自己保険のプログラム)を取得し、維持するものとする。当該保険は、本契約上の当該当事者の責任に制限を設けるものではない。

第11.2条 不可抗力

いずれの当事者も、不可抗力事由によって本契約の規定の履行を妨げられた場合には、当該規定の不履行について責任を負わない。本規定において「不可抗力事由」とは、当該当事者にとって制御不能でその意思から独立した事由を意味し、これにはストライキ若しくはその他の労働争議、戦争、暴動、火災、洪水、地震、台風、爆発、電力供給の断絶、裁判所の命令、又は政府の介入を含むが、これらに限られない。

第11.3条 独立契約者

本契約におけるライセンサーとライセンシーの関係は、独立した契約者の関係であることが意図されている。本契約の規定はいずれも、両当事者をパートナー若しくは合弁事業者とすること又はいずれかの当事者を他方当事者の代理人若しくは従業者とすることを意図したものでもそのように解釈されるものでもない。いずれの当事者も、他方当事者を代理して若しくはその名前において義務を引き受け若しくは発生させ又は第三者との契約、合意若しくは約束に他の当事者を拘束させる明示的又は黙示的な権利又は権限を本契約上有するものではない。

第11.4条 準拠法

本契約は、本契約の解釈又は説明を他の法域の法律に委ねる法の抵触又は選択のルール又は原則にかかわらず、日本法(ただし、国際物品売買契約に関する国際連合条約(1980年)は明示的に除外される。)に準拠し、これに従って解釈されるものとする。

第11.5条 紛争解決

(a) 存在、有効性又は解約に関する問題を含む本契約から生じ又は、これに関連する一切の紛争は、その時点において有効なシンガポール国際仲裁センターの仲裁規則に従いシンガポール国際仲裁センターによって管理される仲裁に付され、終局的に解決されるものとし、当該仲裁規則は本条に準用されるものとみなされる。仲裁場所はシンガポールとする。仲裁廷は一人の仲裁人によって構成される。仲裁言語は英語とする。
(b) 第11.5条(a)の規定にかかわらず、本許諾作品の有効性、権利行使可能性又は抵触性に関する紛争は、管轄権を有する法域の裁判所又は特許庁によってのみ解決され、そのような請求は第11.5条(a)に従った仲裁に服しないものとする。
(c) 本契約の定めはいずれかの当事者が真正かつ切迫し又は予見される回復不能の損害との関連において管轄裁判所に予備的な差止救済を求める権利を否定するものではなく、そのような手続は、係属中の仲裁手続に関わらず申し立て、維持することができるものとする。

第11.6条 ライセンシーによる勧誘の禁止

ライセンシーは、本契約期間中の本許諾地域における本著作物派生作品の最初の商業的販売の前において、本効力発生日の前に本著作物派生作品の開発に関与したライセンサー又はその関係会社の現従業員を雇用し又は独立請負人として契約することを直接又は間接に勧誘してはならない。上記にかかわらず、以下の勧誘は禁じられない。(*注釈13)
(i) ライセンシーによる当該個人の勧誘の具体的な指示がない限りにおいて、ライセンシー又はその関係会社の独立した契約者による勧誘
(ii) 当該個人を標的としない一般的な広告を通じて開始された勧誘、及び
(iii) 個人が直接又は第三者リクルーターを通じて当初自発的に雇用又は独立請負人としての契約についてライセンシーに連絡してきた場合における当該個人の勧誘

第11.7条 黙示的ライセンスの不存在

本契約に明示的に規定されていない限り、暗示、禁反言その他によって本契約上、ライセンス又はその他の権利が創出され又は許諾されるものではない。(*注釈14)

第11.8条 さらなる保証

各当事者は、さらなる対価の必要なく、本契約の意図及び目的を遂行するために合理的に必要となり得る一切の他の文書を締結、承認及び交付し、かつその他の措置を講じることに合意する。

第11.9条 権利放棄

当事者が本契約における特定の事象について本契約の条項又は規定を権利行使しなかったとしても、当該当事者が当該条項又は規定を放棄したことになるわけではなく、当該当事者は、何らの制限又は不利益なくその後の事象において当該条項又は規定を権利行使し得る。本契約上の権利又は救済の放棄は、放棄する当事者が書面によってしない限り効力を生じない。

第11.10条 通知

(a) 本契約上の全ての通知、同意及び権利放棄は書面によらねばならず、元払いされた配達証明付き若しくは書留の郵便若しくは国際宅急便、又はファックス(受信の証明が要求される)により、本契約の序文に記載された住所又は当事者が書面による通知によって指定した他の住所に宛てて送付又は送信された場合に適正になされたものとみなされる。
(b) 本第11.10条(a)に従ってなされる通知は、
(i) 配達証明付き若しくは書留の郵便又は国際宅急便によって送付された場合は、その到達日が当該通知の名宛人である当事者によって受領又は拒絶された日であるとみなされ、
(ii) ファックスによって送信された場合は、送信日が当該通知がなされた日であるとみなされる。

第11.11条 完全合意

両当事者は、本契約が添付の別紙と共に両当事者の完全な合意及び理解を記載したものであり、本契約の主題に関する一切の従前の書面又は口頭による合意又は理解に優先することを認める。両当事者の商慣習、取引過程又は履行過程は、本契約で用いられる用語の修正、補足又は説明と何ら関係性を有しない。

第11.12条 変更

本契約は、目的を明示的に記載し両当事者によって署名された書面によってのみ修正、改変、変更又は補足される。

第11.13条 分離

本契約の規定の全部又は一部が何らかの理由により無効若しくは権利行使不能であり又は適用法に違反する場合、本契約は当該規定に関して分離可能であって、当該規定は本契約から削除されたものとみなされ、当該規定が含まれていなかったものとして本契約の残部は有効かつ拘束力を有するものとする。当該削除されたものとみなされる規定は、当該削除規定の意味と目的に法的に可能な限りにおいて最も近似した適切な規定によって置き換えられるものとする。

第11.14条 本契約の解釈

本契約の解釈は以下の解釈準則に準拠する。
(a) 単数形の単語は複数形を含み、その逆もまたしかりであって、一方の性の単語は文脈に応じて他方の性を含む。
(b) )「含む」という単語は、別段の定めがない限り、「含み、これに限られない」との意味を有する。
(c) 「又は」という単語は排他的でない。
(d) 「人」は、当該人の承継人及び許された譲受人を含む。
(e) 「日」は、別段の定めがない限り、歴日を意味する。
(f) 漢字の表記ゆれ(「付属」と「附属」「証」と「證」など)は、固有名詞や特記ある場合を除いて同じ意味を有し、特別の意図を表さない。
(g) 「書面の」又は「書面による」は電子的形態を含む。
(h) 「$」又は「米ドル」はアメリカ合衆国の通貨を意味する。
(i) 本契約に含まれる見出し及び表題は参考目的にすぎず、本契約の意味又は解釈に何ら影響を及ぼさない。
(j) 当事者双方は本契約の交渉と起草に参加しており、意図又は解釈に疑義が生じた場合、本契約は、両当事者が共同して起草したものと解釈され、本契約の規定の著作により一方当事者にとって有利又は不利となる推定又は立証責任が生じるものではない。

第11.15条 支配言語

両当事者によって締結された日本語版の本契約が公式文であり、本契約は標準的日本語によって解釈される。本契約の日本語版原本はそのいかなる訳文にも優越する。さらに、本契約上要求又は許容される全ての通知及び全ての書面、口頭又は他の手段による本契約に関する当事者間の連絡は日本語によってなされるものとする。

第11.16条 副本

本契約は、2以上の副本によって締結される可能性があり、その各副本が原本とみなされるがその全てが一体となって単一かつ同一の文書を構成する。

上記の合意を証するため、両当事者は、適式に授権された代表者をして、本効力発生日に本契約の2通の原本に署名させた。

会社A 会社B

: :

氏名: 氏名:

役職: 役職:


ここまでです。以下注釈。


(注釈1:作品作りにおいて人事はもちろん、出版社等に差別的な判断や行動があれば作品イメージが棄損される可能性があり、それは作家やスタッフ等による拒否権の根拠となりうる。しかし、「差別」と言い張ればなんでも通せる状態は間違いであり、少なくとも三点を提示して差別的であることを糾弾することが望ましい。1,判断が合理的でないこと。2,他のまともな選択肢があること。3,差別的であると指摘されてなお、合理的な説明も判断の変更も行われないこと。この三点を兼ね備えた場合のみ、差別的扱いであると判断するのが妥当であろう。この定義は大切である。J.K.ローリングのトランスジェンダー差別発言認定のように、差別的扱いもしていない原作者を発現だけことさらに糾弾し、さらに本人の言葉の定義にまで踏み込んで制作団体から追い出すのことができるのはまともではない。差別という言葉は今や凶器であり都合よく政治利用されるので、まともな根拠もない「差別認定」など断固排除すべきである。)

(注釈2:作品そのものに問題がなくても、スタッフ、特に実写化の場合はキャストの不祥事が作品の足を引っ張ることがある。不倫などただの個人間民事問題であろうと、視聴率だけでなくスポンサーイメージも巻き込まれかねない場合は何らかの”配慮”が必要となる。一方で、映像作品などは大勢のスタッフの尽力により作られているにも拘らず、たった一人の不祥事でお蔵入りなど理不尽である。そのようなときのために、賞罰を規定しておけば合理的言い訳もたつ。そのための用語であり、後述する規定がある。)

(注釈3:この規定の明記は大切である。要約すれば、原作者は派生作品を認めず制作も公表も許さないとしても、そこまでに支払われた金銭を戻す必要はない。ただし、原作者が著作者人格権を濫用すればライセンシーはとんでもない損害を被るので、著作者人格権の行使には一定の条件と話し合いの余地があることを第3.1条等に定めており、ライセンサーとライセンシーの力関係のバランスをとっている)

(注釈4:譲渡先に対しても本契約をそのまま適用できるよう、2020年に著作権法が改正された。これにより、そもそもこの契約書があれば当然の権利として契約の維持を主張できるのであるが、双方確認のためにあえて明記)

(注釈5:これはなくてもよい作品も多いし身を慎むなど無理な原作者もいるであろうから場合によりけりである。しかし例えば、温かい家族愛を描いた原作を同じく家族愛をテーマにドラマ化したときに、放映前や放映中に原作者のゲス不倫が発覚すればライセンシーの足を引っ張ることは明確である。また、作品の放映中に、努力空しく世間の評判が芳しくないときに、原作者や制作陣が視聴者のネガティブ感想に噛みついたりレスバすれば、作品の評価は”より”悪くなる。こういった行為にストップをかける根拠としての項目である。例えば本項を理由として、原作者にSNSでの発信を辞めるように要請できる。作品の性質、原作者の人間性も加味して盛り込むことも考えた方がよい。)

(注釈6:こちらもライセンサー同様に規定する。ドラマ化などでは特に重要と考えられる。ドラマでは役者本人が生身で出てくるため、その不祥事は作品に波及しやすい。ゲス不倫程度ならまだいい方で、麻薬をやっていたとか刑事事件などとなると作品そのものがお蔵入りであった。しかし、アニメやドラマのように大勢が注力している作品には確率的にこういった問題は起こりやすく、また、たった一人の不祥事で全員の仕事が台無しになるのは理不尽であろう。そこで、予め別紙Dに罰則規定を設け、著しい問題については「放映によるギャラを一切無しとする」ことで決着するのが合理的と考えられる。それならば、放送時に「一部キャストに重大な不祥事があり、契約に基づき報酬の全てを没収しております。当該キャストに対しては、本放送による金銭的利益はいっさいありません」とテロップすることで一種の禊とできるだろう)

(注釈7:つまり、矛盾する別の契約は存在しない)

(注釈8:つまり、このライセンスにより、派生作品が問題なく制作できる)

(注釈9:特許などと違い、「パクられた!」という主張は著作物に対してつきものであり、それに明確に反論することは難しい。一部似ることはよくあることであるが、偶然か、または同じ古典作品に影響を受けた結果なのか、パクるまでもない陳腐な使い古された表現を過大評価しているのかは、数値的、物理的に表現することは難しく、究極的には裁判するしかない。よって、表明保証でできるのは「妥当な根拠」を付したうえでの誓約である)

(注釈10:意匠と商標権侵害を事前に漏れなくチェックすることは事実上不可能である。意匠は建物内装にまで及ぶことがあり、さらに権利範囲は登録意匠の公報を確認しない限りわからない。さらに商標は一般名詞化を防ぐため、記載時には必ず商標表記が原則である。だが、あまりに有名すぎてうっかり名詞として使ってしまう例はどうしても出てくる。例えばカットバン®、バンドエイド®はそれぞれ祐徳薬品工業株式会社、ジョンソン・エンド・ジョンソンの登録商標なので、前記のとおり商標マークを付記するのが最低限である。このようなミスを完全に無くすには全ての商標と意匠を知る以外なく、実務的には努力義務とせざるを得ない。前述した第6.3条にある通り、ライセンサーとライセンシー相互に、お互いの作品をチェックするのが望ましい)

(注釈11:これは積極的な禁止というよりも、PV、CM、特番、ポスター等での妥当な公開以外を包括的に禁止する予防的記述である。当然、原作者側が積極的に出演したいなど、自身の要求を通す機会でもある)

(注釈12:会社の合併等で法人格の中身が変化すると、ライバル企業にライセンスしないなどの規定に矛盾が生じる場合があるため、通知とラインセンサー側の契約解除を許す。ただしライセンサー側にとって有利な強い権利なので濫用は困るためそれも抑止する)

(注釈13:これは主にライセンサーが企業などで、従業員がいる場合、知的財産の一端を知る従業員を引き抜くことで製品開発を有利に行える。これは違法ではないが、ライセンサーにとってはかなりの痛手なので、職業選択の自由を侵さない範囲でこのような規制を設けることがある)

(注釈14:いわゆる業界の慣習的な約束事が、契約書の範囲外の了解として認められてしまうとライセンサーとしては契約書の意味が半減してしまうし裁判で争うのも大変である。そこで、契約書外の認定を明確に禁じる文言が入ることは大切である)

追記(2024/04/27 21:57)
仲裁機関として「シンガポール国際仲裁センター」「仲裁言語は英語」と記述していますが、日本国内で日本語、日本人または日本法人のみの契約では必要のない記述です。普通に日本の仲裁機関、日本語でいけます。仲裁は裁判と異なり、高額のお金はかかるが迅速で非公開の手続きです。しかし、いざ仲裁機関を選ぶとなると、異なる国同士の場合は自国でやりたがるためあらかじめ第三国を指定します。当然、日本人同士なら日本国内で完結する手続きです。
ご指摘ありがとうございました。


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