無駄がたくさんの世界
私が働いている事務所は、ムダだらけだ。
出勤しているのは多くても3人なのに、カレンダーは10枚以上、隙間さえあれば貼ってある。
入居してから50年、一度も改装していないので、ボロボロだ。
何が入っているかわからない、カセットテープ。フロッピーディスク、ビデオテープ。動かない温風機、プリンター、穴あけ機。ほとんど壊れたテプラの機械、はかり。使わないお菓子の缶、何かについていたリボン。お客様に出せない欠けた食器。歴代の上司が置いていった湯飲み。いつのかわからないお酒。
仕事も、紙を使いまくっている。A4で揃えりゃいいのに、B5やらB6やらがあるもんだから、グチャグチャ。
捨てていいのか分からず、放置された書類が山積みで、下の方は黄色く変色している。
無駄をあげたら、キリがない。
だが、私は、職場が大好きだし、仕事も愛している。
ものは、捨てちゃえば、片付くことくらいみんなわかっている。
システムを入れれば、済んでしまうことがたくさんあることも、私はわかっている。
初めはイライラしたが、不思議と居心地が良くなっていった。
新しく無駄なものを見つけたら、
なぜそこにいるの?
と、聞いてみる。
小さな事務所の長い歴史のなかで、いろんな偶然が重なって、その無駄なものは、そこにいる。
そして、私の前に現れて、小さな笑いを与えてくれる。
その時は、「こんなことに使えるかもしれない!」って、思ったんだろうな…笑
無駄なものを見つけたら、想像力を磨けるいい機会かもしれない。
イライラさせる物というのも、何が意味があってそこにいる。
もしかしたら、なにかを伝えたくて、そこにいるのかもしれない。
ユーモアのセンスは、人生をしなやかに生きるエッセンスだと私は思う。
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