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インタフェースデザインの心理学の重要テーマまとめと収穫どころ


『インタフェースデザインの心理学』を読んだので、まとめnoteです。


今回は100の中から重要だと判断したところ10個をピックアップしました。

判断軸としては、できるだけ原理原則的なところをと思いましたが、どれも原理原則だったので、個人的な基準でピックアップさせていただきます。

この本全体が原理原則的なことが多く、大事だったので、ぜひ一部分を様子見したい方はどうぞお読みください。

あとこの本を読むと、デザインに意図・言語化できる力が上がりそうなので、その辺に苦手意識がある方は参考になるかもしれません。



<1章 人はどう見るか>

07:人は手がかりを探す

いきなり例で恐縮ですが、ハサミは「輪に指を通して親指を上下させれば開閉する」、マグカップは「指を2~3本通して巻きつけて持ち上げる」といったように機能は、手がかりを元にアクションします。

何らかの行動をとらせたいのではあればそれを使って何ができるのか、見ただけですぐわかるようにするべきだと書かれています。

UIとの関連)
ハイパーリンクの例で、「下線付きの青いテキスト」だとほとんどの人はリンクと理解できる。しかしポインターを動かしてやっとわかるものだと、理解するのに動作が必要で手間がかかる。

個人的な学び)
これは俗にいうアフォーダンスだが、アフォーダンスはUIデザインにおいて基礎中の基礎で重要性はいうまでもないと思っています。当たり前ですが、その当たり前を大切にするために意図的にピックアップしました。


<2章 人はどう読むか>

18:長い行のほうが早く読めるが一般に短い行のほうが好まれる

何を言っているかというと、長い文章で1行が短いと、改行が多くなりその分目の動きの中断回数が多くなるので、データ的には長い行のほうが早く読める。しかし人に聞いてみると短いほうが読みやすいと言っている意見が多いデータがあり、ユーザーの好みに合わせるなら短いほうが良い。

UIとの関連)
カラム(デザイン的な意味での)を区切って、特定の塊ごとに区切って、行を改行するほうがよい。

個人的な学び)
まず長いほうが読む速度は早いは驚きだったが、たしかに目の動きの中断回数が多いのは納得できる。一方でそれを好むかでいうと、好みにくいかと思うので、ユーザーにどれだけ早く読んでほしいとしても、(今のところ)基本的には改行して読みやすいと思わせたい。読む行為は能動的だからこそ、読むハードルを下げるところから必要だと考えています。

ちなみにマテリアルデザインガイドラインでは1行40~60字を推奨している。>The ideal line length for text is 40-60 characters.



<3章 人はどう記憶するか>

20:一度に覚えられるのは4つだけ

まず『インターフェースデザインのお約束』で「人間が短期的に記憶できる数は7±2」と書かれていたが、この説は古いとのこと。

次に、人は一度に覚えられるのは3~4つだが、情報を「まとまり」(チャンク)に分けて覚えると、もう少し覚えられる。どういうことかというと、10桁の数字をバラバラで覚えるのではなく、電話番号のように、0120-456-789といったように、かたまりで覚える。

要はその1かたまりの数がだいたい3~4つということである。

UIとの関連)
何か多い情報を提供するときは、3~4つを1グループとして共通点でグルーピングし、情報を与える。

個人的な学び)
「7±2」説をアンラーニングする目的とグルーピング化をするとたしかに多くのことが記憶できる(何か入力作業だとアクションするハードルが下がりそう)目的でピックアップ。


23:記憶は知的資源を大量に消費する

カンファレンスの発表を聞いたとき、どの話が印象的だったと尋ねると、人は最後のほうがで見たこと・聞いたことを思い出すことが多い。これを「新近性効果」と呼ぶ。

あと部分的な引用だが、発表の中間部で示された情報は、記憶されている可能性がもっとも低くなると言われている。

UIとの関連)
情報の重要度が高いもの(特にマーケティング系で訴求が刺さるもの)は、最初や最後に意図的に配置して、効果を高める?

個人的な学び)
自分の中でずっと感覚的な意見だった、最初と最後の記憶は残りやすく中間は記憶が薄い説が、科学的に証明されたので、しっかり科学的根拠を定着させるためにピックアップした。


<4章 人はどう考えるか>

27:情報は少ないほどきちんと処理される

まず、人は異形にあたりに処理できる情報は400億と推測され、その中で脳によって意識的に処理されるのは40と言われています。よって無意識ではなく、意識的に処理できる情報はわずかと言われています。

UIとの関連)
段階的に開示すること。つまりその時点で必要としている情報だけを提供すること。その結果、いきなり情報の多さで圧倒されることを回避できるし、さまざまなニーズにもや対応することができる。

またクリック回数は問題ないと言われています。段階的表示にするとクリック回数が増え、かえって手間が増えるのではないかと思うかもしれませんが、そこが重要なのではなく、クリックするたびに、(知りたい情報が?)適度に情報を得ながら進めるのではあれば、ユーザーは喜んでクリックすると言われています。

個人的な学び)
上記にも記述したが、「情報が多いことやクリックして読み進めることそのものが負担だから避けるべきだというのではなく、ユーザーがほしい適度な情報を適切なタイミングで渡すとユーザーは嬉しい」というのが個人的に曖昧に意見としてあったし、それを実証してくれたので、ピックアップした。


28:心的な処理には難しいものとやさしいものがある

処理は処理でも、考えたり思い出したりする「認知的な処理」、見たり探したりする「視覚的な処理」、クリックしたりポインターを動かしたりする「運動的な処理」の3種類がある。

しかし、この処理の負荷はどれも一定ではない。認知>視覚>運動の順で負荷が大きい。

上記から、クリックを何回か増やさなければいけなくても、ユーザー悩ませることが解消するなが価値があるとのこと。

ある調査で、10回以上クリックする必要があったのに、多くの人が「簡単だ」と言った結果がある。予想どおりに進められ、何も考えることがなかったことがポジティブな結果をもたらし、このことからもクリックは考えるよりも負担が少ないと言える。

UIとの関連)
割愛。

個人的な学び)
これはすごく同意で、感覚的だったこの説が科学的に証明されたので、ピックアップ。特に単純作業をしていると、できるだけ判断することは少なくするように準備し、視覚もできるだけノールックで行えるように準備し、運動もマウスではなくショートカットキーでアクションできるように調整していたことから、認知>視覚>運動の順で負荷が大きいと考えられる。

なのでデザインするときは、クリック回数が多いことが問題ではなく、もしそのクリック回数を多くすることで、認知や視覚の負担を軽減できているのであれば、プラスだと意図を持ってデザインできる。※もちろんURLの遷移が絡むと体感速度的に別問題な気がするので、そこはまた別視点で考える


<5章 人はどうすればヤル気になるのか>

※この章は神回

50:目標に近づくほど「ヤル気」が出る

ある調査で、下記のようなカードAとBがあったとき、どちらのほうがスタンプを集めるのが早いのかという調査が行われました。

カードA:欄が10個あり、1個も押されていない(0個)

カードB:欄が12個あり、最初に2個押されている

結果は、カードBのほうがスタンプを集めるのが早い。これは「目標勾配」と呼ばれる効果で、目標に近づくほどアクティブになる性質があります。同じ残り10個でもスタート地点から目標に近づいていることでアクティブになる。他にも、出口を目指す調査で、出口が近づくほど走るのは速くなることも発見されている。

人は何が終わったかよりも何が残っているかに注目しがち。別の調査で「すでに完了したもの」と「到達までに残されているもの」とではどちらが強い動機付けになるかが実施され、結果は「残されているもの」に注目するでした。

デメリット:「報酬後初期化」現象

目標が達成されると、急速にやる気が落ち込む。報酬獲得後は、顧客の離脱が大きくなるので注意が必要。

UIとの関連)
ログインボーナスや何か報酬へのマップを引きながら、目標と残を表示させることでやる気を促す。

個人的な学び)
プロダクトを作って使い続けてもらうためには、ユーザーのやる気を起こすことが重要で、その中でも重要そうなものをピックアップ。


51:報酬には変化があるほうが強力

強化刺激(報酬)の頻度と与え方が行動の頻度とどう影響するかの調査が実施されました。

強化刺激のパターンは下記の4つです。

- 固定間隔:時間を基準に刺激を与える、時間間隔は一定
- 変動間隔:時間を基準に刺激を与えるが、時間間隔は変動
- 固定比率:アクションの回数を基準に刺激を与えるが、与える間隔は一定
- 変動比率:アクションの回数を基準に刺激を与えるが、与える間隔は変動

もっともアクションが多かったのは、変動比率で、多くアクションすれば与えるけど、いつそれが与えられるかは不明なときです。

例えば、カジノでいうと、変動条件で予測不可能です。遊ぶほどチャンスが増えるため、何度もお金を投入したくなるが、いつ当たるかわからないので当たるまで投入したくなる仕掛け。

UIとの関連)
インターフェースではないが、固定比率条件を採用したDropboxの例。友人を招待するたび追加の容量を得られる施策。※「連続強化」と呼び、何か行動するたびに報酬を得られる

個人的な学び)
これは思い当たる節がありピックアップ。過去に関わった業務で、ある一点で大きな報酬を与えるよりも、各点で報酬を少しずつ分配したほうが継続率が高かったデータがあり、変動性が大きな要因だったのかと考えている。


<8章 人はどう感じるか>

76:人は思いがけない出来事を喜ぶ

グレゴリー・バーンズのらの研究で、人間の脳は単に予想外のものを「探す」ばかりか、実は「切望する」ことがわかっている。しかし、予期せぬ出来事がすべて同等というわけではない。

UIとの関連)
訪問者に何か新しいことをさせたい場合や再訪してもらいたい場合は新規性をもたせたり予想外のコンテンツやインタラクションを提供したりすると効果的。

個人的な学び)
これは俗にいうサプライズだが、科学的にも証明されているので実務でも使いやすいと思いピックアップ。


<10章 人はどう決断するか>

93:選択肢が多いほうが思いどおりになっていると感じる

サルとハトを使った実験で、ボタンを押せばエサを与える設定で「ボタンが一個だけ」と「複数のボタン」では複数のボタンを多く選ばれた。同様に人の実験例もあり、ルーレットが1台のテーブルと2台あるものでは、2台あるほうが多く選ばれた。

人は選択肢が多いほうが自分の思いどおりになっていると思ってしまう。選択肢が多いとかえって選びにくくなるが選択肢のある状況を欲します。決定権を握っていると思いたいのです。

UIとの関連)
これは個人的な推測だが、どんなに良い1つの選択肢だったとしても、複数を並べつつ、推奨タグなどで、最終的にユーザーがそれを意思決定するように仕掛ければいいかと考えた。

個人的な学び)
これが個人的に重要だと思ったのだが、人は決定権を握っていると思いたい。これはアプリケーションの操作でもなんでも言えることだと思っており、これが原理・根本だと思っている。




以上がインタフェースデザインの心理学の一部ピックアップと個人の感想になります。

この本ではなんとなくそうだろうと思っていたことが科学的に証明されていて、デザインに意図・言語化できる力が上がりそうなので、良書だと思います。


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