- 運営しているクリエイター
2015年11月の記事一覧
さよならロケット [short story]
私が生まれた年――。
何も無かったこの町に、ある時、宇宙がやって来た。
3歳か4歳、それ位だったと思う。私が思い出せる最初の記憶だ。雲一つない空の下、大勢の人でごった返す中、私は……。父の大きな背中に肩車されながら、ぴかぴかと光る新築のロケット発射台を見上げていた。
海風が吹き付ける断崖絶壁に立てられた、高さ50メートルに及ぶ途方もない建築物は、カガクもウチュウも判らない幼い私に、どうし