2014年6月の記事一覧
真夏のサンタクロース [short story]
一面に向日葵が咲いている。夏の風が黄色い平原を駆け抜ける。8月。遠く遠くまで続く、その美しい風景に寄り添うように、常夏の海のような青空が広がっていた。入道雲が時折、この向日葵畑に塊のような影をおとし、そしてまた流れるように消える。
そんな大平原をそっとナイフで傷つけたように、一本の黒い道路が敷かれていて、そのある地点では――樹齢何百年であろうか――荘厳な大樹が向日葵畑の真ん中にどっしりと根を
一面に向日葵が咲いている。夏の風が黄色い平原を駆け抜ける。8月。遠く遠くまで続く、その美しい風景に寄り添うように、常夏の海のような青空が広がっていた。入道雲が時折、この向日葵畑に塊のような影をおとし、そしてまた流れるように消える。
そんな大平原をそっとナイフで傷つけたように、一本の黒い道路が敷かれていて、そのある地点では――樹齢何百年であろうか――荘厳な大樹が向日葵畑の真ん中にどっしりと根を