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映画「最強のふたり」に感じる既視感

「最強のふたり」(2012年公開)というフランス映画をamazonプライムビデオで観た。
※ネタばれあり

舞台はフランス、パリ。スラム育ちの黒人ドリスと、重い障がい(首から下が動かない)をもつ大富豪フィリップとの友情物語。
冒頭のドライブシーンは初見で引き込まれ、エンディングを観てからもう一度観た。2回観ると感じ方が全然違う。
フィリップの表情が、切なくて、やるせない。
それをさり気なく心配するドリスの表情も良い。(励まし方は荒技すぎるが)

評判の悪いドリスを介護人に起用することを、知人の弁護士から反対されるが、フィリップは「彼だけは私に同情をしない」と言って突っぱねる。
このセリフは映画の肝の部分だろうな。

確かにドリスはフィリップに同情はしていないのだが、私からしてみたらドリスは無神経で、フィリップを傷つけるのではとハラハラする言動が多すぎる。
声を出して笑えるシーンはたくさんあるが、度が過ぎるジョークはちょっと冷めてしまう。
私がそう感じるということは、きっと私もフィリップに同情する側の人間のひとりなのだろう。

裏表のないドリスが、フィリップに知らない価値観をたくさん与え、立ち止まっていたフィリップの背中を何度も押した。
人間不信だったフィリップの心を動かした。
フィリップはドリスの奔放さに憧れてすら抱いていたかもしれない。
ドリスに向けるフィリップの笑顔が常に優しくてかわいい。

二人は介護する側とされる側で、下のお世話(色んな意味で)までしている関係なんだけど、ドリスはちゃんとフィリップのことを友人として大事にしていているところに心動かされる。

ラストはとても穏やかな終わり方。
実話を基にしたストーリーということで、モデルとなった実在する2人の映像が最後に数十秒だけ流れた。
視聴後はじんわり温かい気持ちになれる、良い映画だった。

(ちなみに、2019年公開のハリウッド版リメイク「人生の動かし方」も観たが、「最強のふたり」を先に観てしまうとどうしても二番煎じと感じてしまう。ロケーション、家族構成、境遇など、かなり相違点が多く、ストーリーは現実的で、実社会に近い感じはあるのだが、全体的に暗い。視聴後も清々しい気分にはなれなかった。)

…で「最強のふたり」。
なーんかどっかで観たことある気がするんだよなぁ。こんなストーリーを。

フィリップの、障がい持ちで歩けず、車椅子で、ボンボンで、我儘な子どもみたいな感じ…。
ドリスの、お世話係のくせに破天荒、だけど憎めなくて、なんだかんだお屋敷に馴染んでいく感じ…。
正反対な二人がお互いになくてはならない存在になり。
一度ドリスと別れた(?)後はフィリップはストライキ状態。食事もまともに食べず、介護も受けず、あんなに身だしなみに気を遣っていたのにヒゲボーボーで自暴自棄。
見るに見かねたお屋敷の使用人がドリスを召喚。
ドリスと再会後、フィリップは再び元気になり、ドリスの計らいで彼女までゲットするという奇跡が…

あ、わかった。

「アルプスの少女ハイジ」だ。

あーーーー、スッキリしたー!!


今回の教訓と疑問
・正反対?の二人が惹かれ合うストーリーは鉄板(私的に)

(2020年2月28日)

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