見出し画像

進撃の巨人感想 パート5(単行本33、34巻部分)


はじめに

前回の続き。基本アニメの順番通りにコメントしていきます。原作にしかないシーンは原作何話ってのも書いときます。ストーリーは一通り把握しているという前提で感想を書いていきます。また、言うだけ野暮すぎるなってとこはスルーするのでそこは悪しからず。

原作33巻部分

原作第三十三巻 表紙
みんなかっこいい、特にアルミンがいいね。ミカサのマフラーが黒く描かれてるの見て、喪服みたいだな、と思った。

出典:進撃の巨人33巻

TVアニメ「進撃の巨人」The Final Season完結編(前編)PV第2弾

完成度高すぎるPV。本編に匹敵するくらい良い映像だと思う。ハンジさんシーンがま~じでいいね。

エレン「ごめん…ごめん…ごめんなさい…」
自分勝手すぎる謝罪シーン。ほんと自分が楽になることしか考えてない身勝手さが出てていいね。

ラムジーが踏み潰されるとこ
アニメ版で、巨人に踏み潰されて死ぬときの視界が描かれててヤバって思った。現実では一生見ることはないだろうから新鮮だし怖いしですごい。
他にもアニメ版で地ならし被害者加筆シーン結構あってよかったね。銃で自殺する人とか火事場泥棒とか、人に殺されたように見える人も描写されてるし、今際の際の人間のいろんな行動が見れていいね。地鳴らしの悲惨さを描写するほどエレンの異常さが際立つからほんとわかってるな~って思う。

エレン「自由だ」
エレンの本質が表れためちゃ良いシーン。何億もの人殺しながらこんな嬉しそうにこんなこと言うのラスボスすぎる。

出典:進撃の巨人33巻

ハンジ「あぁ 認めるよ(中略)私の無力さを」
安楽死計画自体は肯定しないの良いね。エレンが安楽死反対すんのはそりゃそうなんだけど、そもそもこの作品全体を通して、死者が意味を持って次の生者につながっていく、生きることの価値とか意味が紡がれてきた物語が描かれてるんだから、そんな物語を見てきた調査兵団が安楽死計画を最終的な答えにすることは無いのは当然だと思える。

ピーク「死んだ仲間に報いなければなりません 戦士の務めを果たします」
ピークちゃんがかっこいいシーン。アニメの声もよかった。

ライナー「…よく我慢できたな」
良いシーン。アニからしたら本気で殺そうと思うくらい憎いこともあっただろうけど、それでも壁内で同じ苦しみを味わった数少ない仲間でもあるし、最後丸く収まってよかった。アニメではアニから歩み寄ってる演出してて、アニの憎しみもひとまず清算されたことが伝わってきてよかった。アニメ版だとここのライナー冷や汗だらだらでウケる。

アニ「何が!?」 アルミン「…何が??」
ミカサにアルアニの関係のこと聞かれて同じ反応してるの可愛い。

ハンジ「みんな見てるかな?今の私たちを死んだ仲間に誇れるかな…」
最高。あえて表情みせないの良いね。
でも正直このセリフは上に載せたPVでの見せ方が好き。

フロック死亡シーン
完全試合で死んだ仲間に背中を押されて、島のためにすべてを捧げてここまで来たキャラ。何が正しいとかはわかんないけど現実問題島が生き残るには地ならししかないわけだし、自分のできる最善を尽くして自分の正義を貫こうとしたのは素直にすごい。特に兵団にばれずにイェーガー派を組織したのはほんと優秀だし、カリスマ性みたいな才能はあったのかもしれない。
ただここは、地ならしを止めるようとするのを邪魔してくる敵であるはずのフロックのことを、ちゃんと人間として扱い最期の言葉に耳を傾け、彼の死に動揺してるジャンのほうが印象に残ってる。フロックの正義も心から認めた上で、そういう正義を踏みのけて地ならしを止めようとしていることを再認識したように見える。

ハンジ「…やっぱり巨人って素晴らしいな」
最高シーン。このセリフもだしこれの前のリヴァイの「心臓を捧げよ」に対する茶化した返しにも見られるけど、団長の座をアルミンに譲ったことで最後の最後に団長から解放された本来のハンジさんが久しぶりに顔を出したような感じがする。しかし素晴らしい構図とセリフ。

出典:進撃の巨人33巻

そのあとのアニメ版戦闘シーンも素晴らしすぎる。最高すぎて何回見てもめっちゃ泣いちゃうわ~。ここ、叫びながら超大型殺しまくるアクションも素晴らしいんだけど、全身火だるまになりながら巨人のうなじに切りかかる視界が描写されてるのもすごい良くて好きなところ。
そのあとのリヴァイの「…じゃあなハンジ 見ててくれ」も大好きなセリフ。

ライナー「人類虐殺なんてとても…耐えられることじゃない…」
ここにライナーとエレンの感覚の違い、エレンの異常さが表れてると思う。エレンに関して詳しくは最後に。

アニ「うるさいガキ共!!石炭でも運んでな!!」
ここのアニメちょっと可愛すぎてびっくりした。ガビファルの掛け合いもポーズもアニの声も地ならし中とは思えないくらい可愛い。

原作第百三十四話「絶望の淵にて」
名画。このシーンとともにヒストリアの出産もこの回で描かれてて、どんなに絶望的な状況でも赤子を、未来を残そうとする人間の性質というか、出生主義的な本能が感じられる回だった。

出典:進撃の巨人33巻

ミュラー長官演説シーン
良いこと言う。マガト隊長の人選だろうしこれからの時代にはエルディア人への理解がある人に重要なポストを任せることにしたんだろうな。この人もサシャパパと同様、子供だけは森の中から出そうとしてる人だった。

少女「あれ…何だろう?」以降のシーン
アルミンたちの世界の英雄感が満載で最高、わくわくする。

単行本最終巻予告
「少女は夢を見る。呪縛や運命から解き放たれた世界の。」
世界の命運をかけた戦いが描かれる最終巻の予告に、あえて一人の少女についての文章をもってくるのオシャレすぎる。

出典:進撃の巨人33巻

原作34巻部分

原作第三十四巻のタイトル
「天と地の戦い」「心臓を捧げよ」「巨人」「長い夢」「あの丘の木に向かって」
全部クライマックス感半端ない。フルスロットルって感じのタイトルがそろってていよいよ最終巻だな~って気分にさせてくる。

ピークが進撃の首に爆薬括り付けるシーン
アニメ版だと車力の巨人がSASUKEしてるみたい。

ジャン「俺達は往生際の悪い調査兵団だからな…」
最高!!!ライナーがこの最後の最後の戦いで仲間を感じられるの素晴らしいね。

ライナー「ファルコ 俺との約束を覚えているか?」
ここアニメ版でカットされちゃったの悲しい。めっちゃ好きな良いシーン。

ジャン「…ミカサ エレンを……殺そう」
ジャン、ミカサが一番受け入れたくないことをはっきり告げててえらい。ミカサのことを想ってるのに、想ってるからこそ、この嫌な役回りを引き受けたんだろうか。

リヴァイ「…エルヴィン 俺はお前を選ばなかったことに…悔いは無い」
今までアルミンやハンジが散々「エルヴィンがいれば…」って思い悩んで、「なんで自分なんだ…」と苦しんでる描写がいくつもあったけれど、それでも兵長は「悔いは無い」とはっきり言い切って、この選択を肯定してくれるのが嬉しい最高シーン。

アルミン「僕はここで3人でかけっこするために生まれてきたんじゃないかって…」
進撃で一番好きかもしれないシーン。「あれは夕暮れ時」からの一連の文章が美しすぎる。反出生主義に対する一つの答えを提示してくれる素晴らしいシーン。
世界の命運を左右する戦いの最中に、このなんてことない個人的な一瞬が大きな意味を持つって展開、め~ちゃめちゃおしゃれ。

出典:進撃の巨人34巻

ジーク「オーイ!!ここだー!!」
当事者としては大真面目なんだろうけどシュールで笑っちゃうシーン。ジーク、最終人生にも意味があると納得できたし清々しく死ねたし悪くない結末に落ち着いたと思う。
逆にリヴァイは曇ってるのが面白い。極悪人だと思ってたジークが最後の最後に地ならしを止める協力をしてきて悪だと思えなくなったから曇ったのか。それとも極悪人だという認識は変わっておらず、その極悪人の望み通りに介錯をしてやったのがやるせないって捉え方もあるかもしれない。もしくはその両方か。前回で述べたけど、兵長って悪者のジークを殺すためになんとかやってきたと思ってるから、ここにきてその認識が少なからず崩れて、最後の最後に壁外編特有の別の正義を殺す苦しみを味わう羽目になったのかもしれない。

コニー「これは…ラガコ村と…同じやり方なんじゃ…」
最高。この展開考えた作者天才すぎるし、アニメ描写も神がかってたね。ピークガビファルライアニがあまりにも素晴らしすぎる、口角上がりまくるシーン。
そんな悔いが残りまくった人たちの中で、ジャンコニーだけが達観して最期を受け入れてるのかっこよすぎる。進撃って泣き叫びながら最期を迎える人の描写が多々あったからこそ、この清々しく終わりを迎える二人がより際立って見える。

出典:進撃の巨人34巻

あと、最後の最後まで無垢の巨人がとんでもない脅威だってのが一貫してるのもいいね。それとアニメ版のキモイ光るやつ、マジでキモくて良かった、害獣感満載。

山小屋エレミカ
山小屋エレミカ、もうあえて言うけどあまりにもエロすぎる。このNHKで放送されたシーンの裏側で、もうとんでもないことになってるのが容易に想像できる。二人きりの山小屋ってシチュだけでエロいのに、それがどうあがいても長く続かない、限られた時間だって事実も余計エロさに拍車をかけてる。また、この二人だけの夢のような時間が、島の人たちを見捨てた上で成り立ってる、ふとした拍子にこの選択の罪深さ、絶望感を思い出してしまいそうな状況だってのもかなりエロいと思う。

エレミカキスシーン
ネットでも言われてるけど始祖ユミルのこの絶妙な顔が面白い。このシーンを見るために二千年間働き続けたのに、浮かべるのがこの何とも言えない表情なのウケる。ただまあたしかに二千年待ち望んだ景色見たら逆にこんな表情になるのかもしれない。
少年漫画のメインカプのキスシーンが片方生首なのまさに進撃って感じする、絶妙に王道から外す感じ。

出典:進撃の巨人34巻

エレアルの会話
後述。

リヴァイ「…よぉお前ら 見ていてくれたか?これが結末らしい お前らが捧げた…心臓の…」
最高。過不足ないセリフ。ほんとに万感、感無量って感じで胸が熱くなる。

アルミン「「進撃の巨人」エレン・イェーガーを殺した者です」
ここの立体起動装置捨てて説得するところ、第一期の「応える」回と対応してて胸アツな演出。
画像のアニ、アルミンに完堕ち、ベタ惚れしてそう。

出典:進撃の巨人34巻

連合国大使の船内シーン
この会話だけで彼らの関係性がわかるのうまい演出だな~と思う。アニメ版はここちょっと不穏要素多めだったけど、個人的には原作の楽観的な感じのほうが好き。今まで散々苦しんできたんだし最後のシーンくらいは気楽であってほしい。

ラストのミカサシーン
原作も大好きだけどアニメ最高だった!!!幸薄そうなミカサがマジで素晴らしい。ちょっと前に戻るけど「行ってらっしゃいエレン」の山小屋ミカサの、絶望を少しにじませたような表情もま~じでよかったから、ほんとにミカサが素晴らしいアニメ化だったと思う。
エンドロールで、ミカサと(恐らく)ジャンが結婚して子供産んでて脳が破壊された人もいただろうけど、自分としては悪くない結末だと思った。というのも、逆にミカサが一生独身でエレンと会えない苦しみを味わいながら生涯を終えるのがミカサにとって幸せなのかって聞かれたらそんなことはないと自分は思うし。エレンだってミカサに自分を忘れて幸せに生きて欲しいって心から願ってたわけだし、この選択は別にエレンを裏切ったことにはならないと思う。また、ミカサって死ぬ時までマフラーしてて、十年どころか一生引きずったまま生涯を終えたんだからエレンにとってはこれ以上ないくらいの待遇だと思う。そして、そんな死別した幼馴染を想い続けるミカサを受け入れられるの、マジでこの世でジャンぐらいしかいないと思われる。以上のことから自分はこのラスト割と納得してる。

最後の少年と木のシーン
心にズーンとくる最後のコマ。最後までこう、すっきりしないっていうとアレだけど、解釈の余地を残すというか、はっきりとした答えを出さない感じが良いね。進撃の巨人のそういうところがおれは好き。

出典:進撃の巨人34巻

エレアルの会話
このnoteを書こうと思ったきっかけは、率直に言うとこのエレアルの会話についてアニメ版より原作のほうが好き、なんならアニメ版がちょっと解釈違いだったっていう意見を言いたかったってことだった。ネット見るとアニオリが原作より良いって意見ばっかで正直納得いかなかったから原作派の意見を発信したい一心でこのnoteを書いていた。ただ自分がひねくれ厄介オタクってのは理解してる。不快に思った人ごめん…ごめん…。

出典:進撃の巨人33巻

ということでエレアルの会話について、アニメ版の好きなところ、次に原作の好きなところを述べていこうと思う。

アニメ版の好きなとこ

情けなエレン
声優が素晴らしい。かっこ悪すぎる。

地ならしの地獄絵図演出
地ならし後の地面を血や髪や歯がそこら中にある地獄絵図にした演出はめっちゃ良いと思った。地ならしの悲惨さはいくら描写してもしすぎることは無いし。

8割を殺したって言った時のアルミンの反応
これは割と解釈一致だった。原作もまあ納得はいくけど、たしかにここはアニメ版くらい大げさに反応する方が、虐殺あり得ない派のアルミンなら自然な気もする。

エレン「馬鹿だからだ」以降のアニオリ
解釈違いだけど一応擁護を。エレンの「馬鹿だからだ」ってセリフ入れることで確かにわかりやすくはなったし、アルミンの「ずっと一緒だ」ってセリフ入れることで確かに「エレン一人きりじゃなくなってよかったね」って気持ちになれるし、まあ確かに多くの人にとってはこっちのほうがいいって気持ちもわかる。自分だって初見でこれだけ見せられたら良い出来だな~って納得しちゃうとは思うし。

原作の好きなとこ

エレンが地ならしをした動機
原作だと地ならしをした理由を聞かれて下の画像のように答えており、それ以上でも以下でもない。

出典:進撃の巨人34巻

自分はこの画像にエレンの本質が詰まってると考えてる。エレンが、何億もの人を虐殺する行為を「どうしてもやりたかった」と思ってしまう、そしてそれを実行できてしまう異常な、ある意味特別な人間だからこそ地ならしが実現してしまったと思ってる。

今までにエレンがほかの人と違うって描写は何度かあった。
・リヴァイ「こいつは本物の化け物だ、巨人の力とは無関係にな」
・女型撃破後 エレン「気持ちよかった……」
・ライナー「この世で最もそれを持っちゃいけないのは、エレン、お前だ」
多分ほかにもあるだろうけど、エレンがどこか異常な、特別な人間だってのは作品の初期から描かれていたと感じる。

進撃の巨人って最終的には、どのキャラもその行動原理がある程度は理解、納得出来るように描かれてると思う(共感できるかは別として)んだけど、そんな中で唯一エレンの地ならしに関する動機だけはどうしても納得しがたい、理解できない部分がある。そんな主人公エレンの唯一無二な性質を最終話で描写し、そんな理解できない余地を残してるのがこの作品の面白さだと自分は考えてる。
エレンってちゃんと仲間への情も家族への愛もあるし、地ならしで大勢殺すことへの罪悪感もちゃんと感じてて、理解できる部分がいっぱいあるのも確かではある。けど、自分が自由だという感覚を得るためなら文字通り何でもできてしまう、どうしてもやりたいと思ってしまう、そんな理解できない部分を持った特別な人間であるってのも事実だと思う。そしてそんな理解できない部分にこそエレンの本質、魅力があると自分は考えてる。

というわけで、エレンが特別な人間であってほしい、エレン原理主義者である自分からすると、アニメ版の「どこにでもいるありふれた馬鹿が力を持ったから」地ならしを決行したって文章はどうしても腑に落ちない。大勢の人踏み潰しながら「自由だ!」ってはしゃぐ奴がありふれた奴なわけないわ。

そのあとのアルミンの返答
アニメ版だとアルミンがエレンのことを完全に理解、共感してずっと一緒だって寄り添ってあげてるけど、エレン原理主義者である自分からすると、アルミンにすらエレンのことを完全に理解してほしくないと思ってしまう。原作における「ありがとう 僕達のために…殺戮者になってくれて…」って発言は、親友であるエレンのことなのにどうしても理解しきれない、寄り添いきれない、それでも心からエレンに寄り添ってあげようとするアルミンの絶妙な塩梅が出てるセリフだと自分は考えてる。
そのあとの「人類を救うのは…アルミン お前だ」ってセリフも締めくくりとして良いセリフだからやっぱ原作のほうがここら辺は好きだな~と思う。

総じて、エレンがありふれた理解できる人間でも違和感ない人はアニメ版が、エレンが理解できない特別な人間であってほしい人は原作のほうが好きなんじゃないかな~と思った。どっちが上とかはなく完全に好みの問題だけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?