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アリの巣、純粋な好奇心と残酷な行為〜「アリの巣穴を埋める」をやってみた〜


アリの巣を見ると、幼少期を思い出しませんか?

降り注ぐ日差しのもと。真っ直ぐに連なる黒く小さな塊。延々とアリの行列を眺め続けていたあの頃。幼い目は輝いていた。その先に何があるのか。追いかけて、追い求めて、みつけた黒い穴。小さな指先で砂を集め、穴へと流し込む。大義名分なんてない。ただそこに穴があるから。

子供の「なんでだろう?」から生まれたものは、時に残酷です。「穴を埋めたらアリさんたちはどうなるの?」純粋な好奇心と探究心。アリからしてみれば、理不尽な侵略に報復したいことでしょう。

暑苦しい日ざしに目をしかめながら空を見上げた時に、ふと思い出したんですよ。こんな日でも公園で遊んでいたことを。野花を眺めたり、砂場で砂鉄を集めたりしていました。元気でした(今より気温が低かったけど)

中でも1番楽しかったのは「アリさんの観察」でした。自分の体より大きな獲物を運べるし、進行を阻害しても隊列を乱さず巣穴へ帰っていくし。感心したものです。巣穴を埋めた回数は覚えていません。埋める。再び掘って出てくる。また埋める。その繰り返し。諦めない逞しさと忍耐力はどこから生まれるのか。

「なんでだろう?」を追い求める幼い自分の姿を思い出して、当時の気持ちを取り戻したくなりました。純粋な心無くしてはできない「アリの巣を埋める」を達成できれば、荒んでしまった心を洗い流せるのではないかと思ったのです。

思い立ったら吉日、気持ちが高まっているうちに行動しましょう。「後でやる」は「やらない」と同じ意味です。

まずは、暑さ対策を用意します。熱中症になっては計画倒れですから。とても大事なことです。

水分と塩分

スポーツドリンクは糖分も多く含まれています。忍び寄る生活習慣病。というわけで、水筒の中身は天然水です。氷を2、3個入れて冷たくしています。お腹が冷えすぎない程度に加減しましょう。「飲み込む前に口の中で温める」もありです。

塩分チャージタブレットは毎年お世話になっています。ラムネっぽくて美味しいですが、1粒あたりの糖分は2.56g。但し、安心は禁物。食べ過ぎには要注意!

保冷剤と冷たいタオル

冷蔵スイーツかなんかを購入した時にもらった保冷剤を再利用。使い古した感ありありのハンカチで包んで使います。首筋や鼻の周り、手首や脇の下、頭を冷やすのにとても良いです。これを数個作り、ジップロック&保冷バックにいれて持ち歩きます(直接くっつけると冷たすぎるので、薄手の布で包みましょう。結露した水分を吸収してくれるので、一石二鳥です)

青い布は水で濡らすと冷たくなるタオルです。ドラックストアで見かけるシロクマシリーズ。ぬるくなった時は、振って風を当てるとまた冷たくなります。思ったよりも長持ちするので、重宝しています。首にかけるか、頭にのせて使います。

青い空、白い雲、どうやっても入り込む電線

かなり暑い。もわっとします。青空はきれいだけど、それさえもむかついてきます。暑い。日傘が手放せません。(体感温度が全然違うので、日傘か白系の帽子を!)

目的地は近所の公園。最寄駅の近くに3園、徒歩5分と10分先に1園ずつ。計5園もあれば、どこかには存在していることでしょう。アリの巣を求めて。いざ出発!

長いこと放置されている小スペース

ここは途中の空き地?工事予定地?小さなスペースは紐で区切られていて、撮影はできても入れません。見える範囲で探しましたが、巣穴は見当たりませんでした。ここは通り過ぎて、1番近い公園へGO!

少し前に撮影した通りすがりの紫陽花。
関係はない。暑さの緩和に。

1箇所めに到着しました。ベンチが2つと、滑り台付き遊具が1つの小さな公園。(近所なので写真はありません。どう撮影しても場所が特定できそうな感じに。狭いから…)

ご時世的に遊ぶ子供は見当たりません。それとも暑さのせいなのか?遊具が熱を持っていて危ないですね。これでは遊ばせられないか…。海老名駅前のビナウォークでは、水遊びができるようですよ。許可がおりているのかどうかはわかりませんが、何度かみかけたことがあります。子供がいないので、私が利用する事は永遠にありませんが…。

いやいや、今の私は、童心に帰るべく公園でアリの巣を探す中年。さびしんぼうしている場合ではない。滑り台にお尻がはまりそうだなぁとか考えるな。悲しくなるだけだぞ。気を取り直してがんばりましょう。

暑さ対策はバッチリだし。汗をかいて、汗をかいて、汗をかきまくるぞ。アリの巣穴で遊び、童心にかえり、好奇心と探究心を満たす。水分を失った身体でコンビニへ駆け込み、ガリガリ君を買う。シャリシャリと音を立てて注ぎ込まれる、ガリガリ君という名の冷たい水分。汗をかいた後のガリガリ君は最高ですよね。最高の高です。あっ、よだれ…(ビールは飲めません。だって、美味しくないから)

探すぞー!オー!(気合い十分)

公園の端っこ その1

見つけた…。せっかく気合を入れたのに…。秒で見つけてしまった…。

張り上げた「オー!」は虚しく響き、振り上げた拳は、行き場をなくして空を切る。

公園の端っこ その2

しかも、たくさんあるし。撮影しなかっただけで、他にもいっぱいあるし。もちろんアリさんもたくさんいるし。なるべく少ない時を狙って撮影しただけで、たくさんいるし。

虫が嫌な人もいますからね。私も好きではありませんが、アリとかみみずとか平気な虫もいます。ヤモリが尻尾を落として去って行くのを見た時は、テンション上がりましたね。尻尾だけになっても、うねうね動くんですよ。すごかったです。尻尾を囮にして逃げていく一部始終を見れて、最高におもしろかった(おい!ヤモリは虫じゃないぞ!爬虫類だぞ!因みにイモリは両生類。)

気を抜くと話が逸れます。

とりあえず、アリさんを観察することにしました。出たり入ったりするだけで特に変化はありません。大きな食べ物を持った運送行列も見られませんでした。進行方向に大きめの石や葉っぱを置いてみたかったのに。残念です。

こうして観察し続けても得るものはなさそうです。「探す」はすぐに終わってしまいましたが、最大の目的である「穴を埋める」を行うことにしましょう。アリさんたちがどのように対応するのか。楽しみです。

これだけたくさんあると、どれにするか悩みますね。大きいのや2つ隣り合っているやつは、おもしろみが無さそうです。黄色い実の右上にあるやつが、最も穴っぽい形をしていますね。これにしましょうか。

1番きれいな形の巣穴

それにしても、忙しないですね。どこに向かっているのか、出たり入ったり、出たり入ったり、そして、出たり入ったり。照りつけるお日様なんぞ気にも留めません。女の子は働き者です。家族のため、子孫繁栄のため、彼女たちは働き続ける。偉い。

アリは日本だけでも約300種類ほどいて、その生態については一概に言うことができないそうです。例外がありすぎて、種類ごとに分けて考えるしかない、ということですね。確実なことを1つ。白アリは夏の風物詩(?)頭文字Gの仲間なので、アリではないのです。姿形は似ていますが、生態は違います。って、知っていますよね。ははは。

公園などでみかける黒いアリさんは、蜂の仲間です。もちろん働きアリは全て雌。精子をもらえた卵は雌に、もらえなかった卵は雄になります。ロイヤルゼリーはないですが、与えられた食べ物の質や気温などの条件が揃うと、女王アリに成長すると考えられているそうです(未解明。土の下なので調べるのが難しいとかなんとか)

女王アリと雄アリには羽が生えて、共に巣立ちます。同じ巣で育ったアリ同士が結ばれることはなく、それぞれ別の巣で生まれたアリと出会います。優良遺伝子を残すためですね。たぶん。

交尾をした女王アリは、地上に降りて、新しい巣を形成します。働きアリが育つまでは、体内に溜め込んだ養分を子供に与えます。雄は、交尾が終わるとこの世を去ります。子供を育てるための養分にされてしまう種類もいるとか…悲しい最期ですね。それでも、女王に出会う事なく力尽きてしまったり、カエルなどの餌になってしまったりよりは、ずっと幸せなのだと思います。お役目を果たせたのですから。

雄がいなくなってしまったら、その後の子孫繁栄はどうするんだ!?と思いますよね。実は、女王アリさんは貯蔵の名人なんです。最初の交尾で得た精子を、体内で保管することができるのです。それを、卵を産む毎に小出しにして使うわけです。産む力がなくなるその時まで。(精子さんたちは、受精する時まで全く動かないそうです。組織が傷つかないように、何年でもじっとし続ける。すごい)

アリさんはすごいですね。暑かろうが、寒かろうが、ずっと働き続けています。巣を拡大し、餌をあつめ、子供を育てる働きアリ。ひたすら子孫を誕生し続ける女王アリ。生まれて直ぐに死ぬとわかっていながら、女王アリを求めて巣を旅立ち、最期は子孫の養分になる雄アリ。壮絶にして、完璧なアリの生態。絶対数では最も多い可能性が高いそうで。1匹1匹は小さくても、全てが集まると世界で1番重い。地球がアリの惑星と言われる所以です。逞しい。素晴らしい。スイミー化されたらティラノサウルスにも勝てるかな?(言い過ぎ)

見えている部分は小さいが、巣全体のサイズは
かなり大きいらしい。見てみたい。


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はい。無理でしたー。

アリの生態話で文字数をごまかすことしかできないレベルで、何もできませんでした。様々な人間模様を見聞きしてきた中年では、もう童心にかえることはできません。純粋さなんぞはとうの昔に捨てたのです。取り戻そうなんておこがましい。

アリさんたちは、ただただ子孫を繁栄させたいだけ。そのために日々を生きている。命懸けで働いている。そんなアリさんたちの巣穴を埋めるなんて。終業5分前に面倒な事務作業を押し付けてくる上司のようです。心の鉄拳を飛ばすくらいムカつきます。「せっかく掘り終わったのにー。また掘らなくちゃいけないじゃんかー。残業代を払う気なんかないくせにー。くそがー。」という叫び声が聞こえてきます。サービス残業、嫌すぎる。

アリ界に労働基準監督署があったら訴えられます。絶対数で責め立てられます。やばい数のプラカードが見えます。働きアリからの賃上げ要求。パワハラによる慰謝料請求。子孫繁栄のためにストライキはできないけれど、必死に働きながら訴え続ける働きアリさんたち。強欲な鬼でなければ、秒でハンコを押しちゃいます。経営難でどうにもならない悲しいしゃちょさん以外は。(義理人情ドラマが始まってしまう)

好奇心とか探究心とか、そんなものがあってもどうにもならないことはあるのです。純粋さと残酷さは表裏一体。働くことの辛さを身にしみて知っている大人は、一生懸命働くアリさんたちを見守るだけで終えるしかないのです。

アリの巣探しに時間がかからなかったので、予定の汗量には達しませんでした。暑かったけれど、汗かきレベルは足りない気がします。この程度でガリガリ君を食べても、「入浴後の瓶牛乳一気飲みって最高だよね!」な気分は味わえないでしょう。(ビールは飲めません。だって、おいしくないから。2回目)

私は大人ですから。純粋さを失った大人なのですから。散歩帰りにガリガリ君なんて。アリさんと巣穴を見守っただけで。特に何もしていないのに。なんの結果も残せていないのに。そんなこと。

しませんよ。

しません。

しませんってば。

大人なのでコンビニなんて行っていない
うまっ


【結論】

「アリの巣を埋める」という、純粋な好奇心と探究心を満たす残酷な実験。経験を積んだ大人には実行できないことがわかった。様々なしがらみが、心の扉をがんじがらめにしてしまうからである。一言にまとめるなら「大人の事情」(違う)

だかしかし、ガリガリ君はうまい。暗闇に囚われた大人でもうまい。しがらみでぐるぐる巻きにされていてもうまい。きれいにまとめた風を装って、実は何もしていないことをごまかそうとする悪い大人でもうまい。

そう。ガリガリ君はうまいのだ。心が荒んだ大人でも、純粋な子供と同じく、うまいのである。良い結論を出すことができた。日本に生まれて良かったと心から思う。

ありがとう。
赤城乳業株式会社様。

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