白いタイツ
母親が選んだ服をそのまま着ていたのはいつまでだろう。
小学校5年生の時には、
自転車でサンアイと言うジーズショップにビッグジョンを
自分で買いに行っていた。
パッチワークのジーンズを履いていたら、
近くの本屋のおばちゃんがかわいそうに、と気の毒がっていた。
僕はそのおばちゃんを軽蔑した。
赤いバッファローチェックのネルシャツを
同級生に女みたいだとからかわれたときには、友達を無言で馬鹿にした。
クラス中でアディダスのウィンドブレーカーが流行ったときには、プーマを着ていた。
アルバイトできる歳になっても母は僕の服を買ってきたが、
ありがとうも言わずに、いつも捨てていた。
今はありがとうと言って黙って着るつもりだ。
でも、もう買ってくれる事はないだろう。