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詩 日の出づる処におわしますあなたへ

7歳の春、初めて抜けた歯は
綿をめくればまだそこにいるのが分かります
あの日水の中へと消えた
あなたの一部のように
私の気持ちも溶けて、
森羅万象を司るあなたの
血肉になれば
私の地にはようやく日が落ちるでしょう

ああ、あなたと生涯
言葉を交わすこともなければ、
あなたの手に触れることもないと、
確信できたら
どんなに生きるのが楽でしょう

それでも、
日の出づる処におわしますあなたへ、
どうか生きていてください


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