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みんな怒ってるよ2024/3/29

帰省した名古屋では何もしなかった。本当に何も。
することがなかった。
一人暮らしの自分の家にいると、皮膚科だの婦人科だの、歯医者だのコンタクトレンズ屋だの、ヨガだの何だの行くところがある。
しかし、もう名古屋には何もなかった。

皮膚科とコンタクトレンズ屋には行った。
用事が済んで嬉しかった。いや、用事があることが嬉しかったのかもしれない。

友達に会うことも、とんと無くなった。
たしかにコロナ時代はその原因ではあったが、それだけでもない気もした。
こういう非正規の働き方をしていると、そうじゃない人と話が合わなくなっていくのだろうか?
自分と「違う」友達に、わざわざエネルギーを使って会うことを億劫に感じ始めている。
あるいは、私の「生きづらい」性格が影響しているのだろうか???

💇

美容院でよんだ雑誌『ダ・ヴィンチ』の連載で、鈴木涼美が金原ひとみの『腹を空かせた勇者ども』について触れていて、あらすじを説明する際、陽キャで能天気でコミュ力のある主人公に対して、その母を「生きづらそうな」と表現していた。
私はこの母親がすごく好きだったし、知識と思慮深さを重んじてこじらせ、時々自爆みたいな状態に陥る様子にも親近感を覚えていた。(金原ひとみ自身がモデルのようにも思えた)。
同時に、世の中の人はみんな「こうあるべき!」と勇んで思いさえした。嬉しくて。

ところが、鈴木涼美に「生きづらそう」と書かれているのを見たことによって、自分の中の思い込みが溶けたような気がした。
この母親の、真面目で思慮深く、冷静で人にも自分にも批評的な態度って、「普通」じゃないんだ! 私は自分にも通じるところがあると思うから、知らないうちにこれが「普通」でみんな(読者)にも、「いいな!」と思われているのだと想定していた。違うんだ…。

「生きづらい」という言葉は、自分で自分について言う分にはいいけど、人に「~そう」を付けて言われると、途端に「厄介な人」感が出る。その意味で、鈴木涼美にまるで自分に対して言われたように感じた、「生きづらそう」。
でも、そうか。これがみんなにとっての「普通」じゃないんだな。世の中のことや政治に怒ってること。怒り続けてる状態。他の人達がそうではなさそうなことにも腹が立つこと。そりゃ、言われるわ、「生きづらそう」。

でも、鈴木涼美の言い方は何かよかった。とくに根に持っていない人の言い方だと思った。
何より、みんなはそうじゃないんだとわかったから、そりゃ、わかり合えないし孤独だよな~、というところでかなり腑に落ちた。みんなとこんなにも違うんだ。忘れがち。

○母の家では毎日朝遅くまで寝ていて、それ以外の時間は、ちょろっと出掛けるか、持っていった多くの本をずっと読んでいた。

森山至貴×能町みね子『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ 性と身体をめぐるクィアな対話』が面白かった。
少子化なんか知らねえわ、個人の問題に入ってくんな、というのがよかった。

能町
セクシュアル・マイノリティじゃなくても、何かに理不尽に従わなきゃいけない状態 になったとき、がんとして譲らなかったり、突っぱねたり、図々しく制度の隙間を突い て素通りしてみたり。そういうスタンスの人が今少なくなってる気がする。強く言われたら「しょうがないや」って従順になっちゃう人がとても多いし、そのうえ、大勢に従わない人に対する第三者からの「従えよ」っていう圧力も最近すごく多いと思います。 それに抵抗するために、クィア的な精神性を応用できる部分ってありますよね。

森山
つまらないキャッチコピーみたいではあるんですが、結局、出過ぎた真似だけが世界を広げることができるんですよね。出過ぎないといつも、 外はその大きさのままなので。


○帰りの近鉄で『大竹まことのゴールデンラジオ』を聞いた。その日は大谷翔平が一人で新通訳の人と会見を行った日だったが、出演者たちが少しもそれには触れずに、自分たちの日常や政倫審のニュースの話をしていたのが感動的だった。ひとつの出来事に呑み込まれない態度よき…。
さかのぼって、一週間前の放送を聞いた。岡真理さんという早稲田大学の教授がガザについて話していたから。
私には、学生の時、岡真理さんの書いた『彼女の「正しい」名前とは何か』を読んで物の見方が変わった経験があった。

端的に言って、岡真理さんは怒っていた。国際社会がイスラエルによるガザのパレスチナ人に対するジェノサイドを直視し、それを止めるための行動を起こさなければならないということを説明し、そのようには報道されていないことに怒っていた。そしてたぶん、私たち(この国に住む人々の多く)の無知に対しても。出演者たちが、理解しようとして放つ言葉に対しても、そぐわないと感じたら容赦なく聞き返し、「ごめんなさい、それは間違っています」と正していく。理解しようとしていればいいわけでも全然ないんだなと突きつけられる。「もし、アメリカが再びトランプ政権になったらガザの戦闘はどうなると思いますか?」という問いに対しても憤りをにじませ、そんな的はずれな問いには答えません、といった雰囲気で、そんなことよりもとにかく1分1秒でも早く攻撃を止めるための策を講じなければとんでもないことになる、と言う。
聞きながら私も怒られている気で(無知が同じなので)、同時に岡真理さんのその対応があっぱれだと思った。
問いがおかしければ指摘していいし、答えなくていいんだな。怒りをあらわにしてもいい。
報道の仕方に問題があるとはいえ、それでも知ろうとしていることを褒めてあげて…る場合じゃあもうないのだった。
知れよ。知ろうとしろよ。だよな。

優しい解説者や専門家が多く、出演者が何を言っても受け入れてくれる姿は安心するものではあるが、それが絶対じゃないんだな。

怒る人が好きだな。

きいてみてほしい📻️⤵️

岡さんは「封鎖されたガザの中で5カ月以上、ジェノサイド(民族大量虐殺)が続いている。社会インフラや共同体も破壊され、これはホロコーストだといえる」と強調した。

ある参加者は「イスラエルに対する怒りを、なぜもっと多くの人と共有できないのか」と打ち明けた。
岡さんは「テレビを見ているだけでは、ハマス側に非があると感じてしまう」とし、交流サイト(SNS)で積極的に現地の情報を集めるのが大切と語った。

 岡さんは「日本人は、地震の被災者には共感するが、歴史的、政治的な不正義に怒る感度は低い。歴史教育では支配された側に立って学ぶこともない」と話した。

○清水ミチコも、YouTubeでキックバックの替え歌を歌っているらしい。
○吉幾三も、YouTubeで年金や税金の高さに怒ってるという。

みんな、怒ってるよ。

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