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【ノンフィクション小説】この世の疑問

「なんで?」
「なんでこれ〇〇なの?」

「なんでって何」

「いや、なんでこれ〇〇なの?」

「それ聞いてどうすんの?」

「知らん」

私と母親の日常の会話である。

物心ついた頃からこの世界は不思議でいっぱいだ。
「なんで?」が口癖だったが、やめた方が良いと母親に言われたことがある。




ーーーーー


高校の頃、初めてアルバイトをした。
とある片田舎のスーパーである。
人生初の、大人の群れとの労働だ。

17時からスタートで、人生初なのもあり、ガキの私はもの凄く緊張していた。
母親に、「メモを取りなさい」と言われていたのでメモ帳はしっかりと準備していた。
扉をくぐり、従業員がいたので私は元気に

「こんばんは!」

と言った。
驚いたような、不思議そうな顔をされたまま、挨拶は帰ってこなかった。
なぜ無視されたのか分からなかった。

正しい挨拶は「おはようございます」
意味がわからなかった。

もう夜だぞ。


ーーーーー



「またね!」

「バイバイ!」
「さようなら!」

別れの挨拶。

「またね」ならわかる。
また今度、また明日、近いうちに会うのだろう。

「バイバイ」「さようなら」
もう二度と会わないつもりなのだろうか。

卒業式の「みなさんさようなら」
あれから一度も会わないまま死ぬだろうな、と思う人は数えきれないほどいる。

「またね」の方が安心する。

そもそも、なぜ別れの挨拶だけこんなに種類があるのだ。

「さようなら」を言いたくない人が「またね」を作ったのかと思ってしまう。


ーーーーー


「〇〇さんによろしくね!」

「よろしく」ってなんだ。
言われた側はどう行動していいかわからない。

「〇〇がよろしくって言ってたよ」
と言われても、なにをしてやればいいのだろうか。

なにか買ってやった方がいいのだろうか。


ーーーーー

これも働き初めの頃。

職場で大変そうな先輩がいた。

恩着せがましいのは嫌なので、さりげなく手伝う。

「ありがとう」

助けてやったつもりはない。
ありがとうと言われる筋合いはないので困ってしまった。
だから、ありがとうのお返しの挨拶を思い出し、使うことにした。

「どういたしまして」

「??」

きょとんとされた。

他の人の例を観察することにした。

「ありがとう」

「はーい!」


……??

この世は本当に生きづらい。
挨拶には正解と不正解があるのだろうか。


ーーーーー


とある会社にて。

「今日は〇〇さんが風邪でお休みです」

休みの連絡を受けた私は、今日一緒に働く予定の先輩に伝えた。

「え?!まじかぁ。じゃあ今日は人が少ないから、あなたと私で急いでこれとあれをやって……」

私に業務内容を伝達し、慌て始める先輩。

大丈夫だぞ。

あなたがそんなに急いでも、私たちの給料は変わらない。

少しお客を待たせるだけだし、自分が客なら「人少ないんだな。大変そう。ここで働きたくないな」と思って終わりだ。

人は生まれた時から動く脈の回数が決まっているという話を聞いたことがある。
都市伝説かもしれないが、私はその話を信じている。面白いからだ。
だからこそ、こんなところで消費するわけにはいかないのだ。
焦ると心臓がバクバクする。
早死だけはごめんだ。

毎日同じ給料なのだ。
1人欠員が出て、業務内容が増えても残せばいいじゃないか。

なぜなら私たちは人間なのだ。
誰だって風邪を引く。
誰だって体調不良を起こす。
誰だって死ぬ。

次の日に業務が残っても、欠員がいて手が回らなかったのだから仕方がない。
それで許されない会社が存在する方が不思議で仕方がない。

その会社の創設者は、完全無欠のロボットなのだろうか。


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【あとがき】

ここまで読んで下さってありがとうございました。
まだまだこの世に疑問は多いですが、ぱっと思いついた物をノンフィクションとして小説(?)にしてみました。

この世は本当に生きづらい。
どのセリフが正解なのかわからない。
不思議そうな反応をされたり、「え?」って言われることが多い。

でも、みんな同じだったら、それこそこの世はつまらないだろう。
生まれてきたからには元をとって死ぬために、心のダメージを少なく、ラクして楽しく生きたいものである。


※サムネは自分で撮った写真です(ドヤ!!)

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