見出し画像

003 ‖ VUCA時代は続くよどこまでも(VUCA考察編)

はじめましての方は、はじめまして、そしてようこそ。
そうでない方は、いつもありがとう。ゆなつなです。


今回は、一緒にお仕事している方と昨日議論した「VUCA」という概念について語りたいと思います。
(そもそもわたしは恥ずかしながら、今日という日までVUCAという単語を知らず、でも話しているなかで「ぐうわかる」となったので、考察しつつまとめたいと思います。)

今更なんだよ、という方は、ぜひわたしが現在大ハマり中の楽天ROOM紹介編をご一読いただき、楽天様が築き上げられた経済圏へと誘われてください。


VUCAとは

VUCAとは、

【読み方】ブーカ
以下の4つの単語の頭文字から作られた造語である:
Volatility(変動性・不安定さ)
Uncertainty(不確実性・不確定さ)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性・不明確さ)
【意味】現代の経済環境・企業組織・個人のキャリアなどを取り巻くカオス化した予測不能な状態を表現

というそうです。

画像1

元々は90年代のアメリカ軍事領域において用いられていた単語で、あらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、将来予測が困難な状況にあることを示すそうです。2010年代に入って以降、世界の経済界各所で「VUCAの時代」が到来したといわれるようになりました。


現代社会におけるVUCA

今日において「世界がますます制御不能になっている」という主張が数多く見受けられます。ニュースなどの報道、SNSなどのインターネットメディア、プライベートな会話の中でさえ、不確実性や混乱や変化の感覚が増大していることを、みなさんも目の当たりにしているはずです。
世界がかつてないほど不安定で、不確実で、複雑で曖昧になったという考えであるVUCAの概念では、この感覚は現在最骨頂に達したような気がします。いや、まだまだこれからVUCAが加速する傾向にあるかもしれません。

でもそれは必然で。

画像2

デジタル化、ビッグデータ、人工知能、ロボット化、グローバリゼーション(いまやBrexitなどの動きもあって「脱」グローバリゼーション)、テロリズム、パンデミック、金融危機、気候変動、権力などの世界的な変化を通じて、わたしたちの身の周りのなかでvolatility, uncertainty, complexity, ambiguityの増大はひしひしと伝わってきます。

一方で、VUCA的感覚は、人類の歴史と同じくらい古いものでもあります。わたしたち現代人が置かれた状況は、ペスト流行や第一次・第二次世界大戦中、もしくは更に遡って、地球が平坦ではないことや宇宙の中心にもないことが発見されたときよりも、現代においてVUCAは相対的に大きく感じられているのでしょうか。


古今VUCA

昔と今の主張を比較してみたいなと思い、少し読み漁ってみました。

・1996年 Manuel Castells著 The Rise of the Network Society
・2010年 Peter Hinssen著 The New Normal

を読み比べると、デジタル化が進行してゆくにつれ表面化した影響(世の中の複雑さ、ダイナミズム、接続性の拡張など)は、ここ約25年もの間で、驚くほどにそれほど変わっていないようです。

また、経営戦略論の古株ジャーナルであるLong Range Planningでは、

・1971年4月発刊 Volume 3, Issue 3 Strategic Management: A New Managerial Concept For An Era Of Rapid Change
・1971年6月発刊 Volume 3, Issue 4 Defence Planning: The Uncertainty Factor
・1977年6月発刊 Volume 10, Issue 3 Planning In A State Of Turbulence

などの論文が投稿されていることから、50年余りも前からVUCAは日常的に感じ取られていたことが分かります。

とはいえ、ほとんどの産業における変化の速度は、10年、20年前よりもはるかに速いはず。デジタル化などのテクノロジーによって顧客ニーズは変遷し続け、volatilityは多くの組織が直面する問題です。需供の多様化や、人と人、組織と組織のつながり増幅、グローバリゼーション拡大などにより、ビジネスを展開する上でのcomplexityも増加しています。

片や技術革新により、この増加したvolatility/complexityに対応できるようになってきたのも事実です。機械的処理能力と処理速度の向上、遍在する膨大な情報量、人工知能や複雑なアルゴリズムの開発、デジタル革命による接続性の拡張により、数十年前よりも劇的に高次元な分析や物事に対する素早いレスポンスが可能になりました。従って、volatility/complexityが増加していたとしても、我々の対処能力も合わせて向上したと言えるため、昔と比べビジネス展開の難易度が上がったという訳ではないと思います。

画像3


VUCAを分解

VUCAの概念のうち、

・volatility/complexity → 客観的(定量的)
・uncertainty/ambiguity → 主観的(感覚的)

な気がします。

画像4

個人的には、uncertainty/ambiguityは、volatility/complexityの結果にあるもののように思えます。状況がより不安定で複雑なほど、不確実で曖昧になりやすいです。我々が日常体験を通じてどのような学びや経験を積むかという点にはuncertain/ambiguousな要素が多く、volatile/complexな日常への対応能力に大きく依存しているのでは、と。

また、uncertainty/ambiguityとは主観的で、捉える人によってその度合いが異なります。という点では、「どんな人がVUCAの影響を受けやすいのだろう?」と考えてみました。
前々職では外資系IT企業のHRBPとして、事業部リーダーたちと肩を並べて経営戦略を練っていました。いま思えば、そのときに無意識に感じていたのは、VUCAの影響の受けやすさは人生経験(もっと直接的にいえば年齢)にかなり依存していて、50代以上のマネージャーに特に見られる気がしました。これは、ジャネーの法則(年齢が高くなるほど時間が早く経つような感覚)や、年齢に比例して社会・技術の変化に対応するのが難しくなるといった心理学的研究によって裏付けられています。


VUCAの実感

世界のどの国や地域に自分がいるか、どんな社会的地位についているか、そしてどんな業界や職種に所属しているかによって、VUCAの感じ方は大いに変わります。
一つ言えるのは、どんな組織や業界でも、今までVUCAに直面したことが、少なくとも一度や二度はあるのではないでしょうか。個人にしても組織にしても、「保守的な安定期」「革新的な破壊期」を交互に周期的に繰り返すことで成長してゆきます。Elisabeth Kübler-Ross氏が著書『死ぬ瞬間』で提唱したキューブラー=ロスモデルに基づく考えや、日本的な「守破離」に通ずるのではないでしょうか。

画像5


また、組織においては多様な事業領域やポートフォリオを保有することで、VUCA的市場でハイリスクハイリターンのプロダクトもあれば、比較的安定的で予測可能な市場におけるシンプルなプロダクトもあることで、組織全体の経営バランスが取れているのではないでしょうか。

よって、いまこの世界は確かにVUCA時代と言えるでしょう。しかし、同時に、10年前も、20年前も、50年も500年も前の世界も「VUCA時代」という言葉が当てはまります。一方で、現代における組織によっては世界的なVUCAの流れに逆らうこともあれば、VUCA度合いが異なる市場にそれぞれポートフォリオを設けていることもあるため、常に柔軟性が試されています。


まとめをひとことで言えば

同じ技術的進歩が、VUCAを引き起こし、同時にVUCAとうまく付き合い対処する術を与えてくれます

画像6

世界はかつてないほどVUCAなのか?
それは、あなたがどのように、どこで、いつ、何を見ているかにかかっています。



2020年2月7日 ©︎ゆなつな

おいしいものを食べれば、また明日から頑張れる。 そんな気がします。 (好きな食べ物は、食べられるもの)