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人類全体を脅すプーチン

今回のウクライナ危機は、プーチンが核戦争に言及し、人類全体を脅迫している戦争である。これまでもキューバ危機など核戦争の危機はあったが、相互抑止のできる範囲のものであったが、今回はそれにとどまってはおらず、具体的な戦場としてのウクライナが存在し、日々犠牲者が増えているのが現実である。

プーチンはどこまで本気で核戦争を意識しているのかわからないが、NATOと本格的な戦争になった時点で実際にその危険が迫る。そしてその臨界点に限りなく近づいている、と報道から感じる。米国はまだそれほどに国内世論がまとまっているわけではない、と見えるが、バイデン大統領はウクライナ支援をできる限り努力している姿勢を続けている。

一方で、ヨーロッパ諸国は具体的な危機を感じ、現状でロシアに諦めさせなければ核戦争の危機は避けられないとばかりに次々に方策を実施している。特に東欧諸国やその近辺の国々は、すでにロシアに服従してしまった国もあり、それ以外の国はそうならないように戦力を高めている。ロシアに配慮して中立的だったフィンランド・スエーデンはNATOに加入する意志を固め、早晩それは実現するだろう。特にフィンランドは過去にロシアに侵攻されて国土の一割を失っているから、同じ轍は二度と繰り返さないと挙国体制は万全に見える。

このまま推移すればNATOとロシアの戦争になるのは避けられないと誰もが見ているだろう。そしてそれはプーチン一人の脅威によって人類全体が存続の危機にさらされているということになる。これは人類史上初めての事態であろう。ただ一人の人物により人類が脅かされるなど、ヒトラーでさえおこなうことのできなかった所業である。プーチンは核保有国の指導者であり、実質的な独裁者でもあり、暴君と言うべき極右主義者である。

この進行する事態を最後まで静観できる人間は誰一人いないだろう。必ず途中でパニックに突入する。それは具体的に自分の環境に事態が及ばない限りそうでもないと思うかもしれないが、グローバル化が進んだ現在では、必然的に巻き込まれるしかない。

回避できるシナリオはそうは多くない。
(1)どこかの国(中国かトルコかインドなど)が仲介して互いに譲歩を引き出す。
(2)ロシア国内でのスパイ大作戦でプーチン体制を崩壊させる。もしくは戦争が長期化してプーチンが老衰死する。
(3)ロシアが敗戦を認め撤退する
(4)プーチンにほとんどの国が譲歩して矛を収めさせる。
まず(4)は今のところないだろう。ウクライナの人々が最後まで抵抗を続けるだろう。NATO側ではベトナム戦争と同じ経過をたどるだろうと読まれているように推測する。同様に(3)はどうだろう。クリミア半島を含むウクライナ東部南部の親ロシア派はこれまでも支配地域を持っていたし、ロシア軍が撤退しても内戦は継続するだろう。今のところはウクライナはそれらの支配を復活するまで戦うというから、戦争は終わらない。(2)は表面に出てこないことだからわからないが、もし実現するならそれが一番望まれる。(1)はどの国も貧乏くじを引きたくないから踏み出せないだろう。

どのシナリオでもどこかの時点で核戦争が発生する危険がある。核兵器の発射ボタンに手をかける状況が発生するのを制御できるのは、人類のうちでわずか100人に満たない人間たちだけである。ことによると20人くらいかもしれない。それ以外の人間はそれらの人々がいつまでも正気でいることを祈るしかないというのは、人間とはなんと低レベルな存続可能性しかない生物であろうかと嘆きたくなる。

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