レジもメニューもない中国の最新コーヒーチェーンについて

luckin coffeeについて書いてみます。


もう中国すげーの中で語られることも増えてきているので、知っている人も多い瑞幸珈琲/luckin coffee


中国人女優の汤唯をモデルに起用している。
そして、巨人スタバに挑戦を挑んでいるだけのことはあり、コーヒーの味もちゃんとしてまっせということを訴求するために、イタリア、日本、中国の一流バリスタを召喚しているとのこと。
日本から呼んでいるのは、2014年ワールド・バリスタ・チャンピオンシップの優勝者である井崎英典氏。WEBの露出はあまりないようですが、店舗に行けば写真とお名前がババーンと出ています。初めて知りました。福岡の方なんですね。

ちなみに、2018年は女性バリスタが初の世界チャンピオンになったそうです。→2018年の結果


さて、luckin coffeeは、他の方も紹介している通り、店舗においてもアプリで注文から決済まで終えるという、今までにない画期的な店舗の形になっております。


アプリをダウンロードして、注文決済します。(まだ微信/wechatや支付宝/アリペイのミニプログラムでは注文決済できないはず。)


中国あるあるですが、普通のごくごく一般的なコミュニケーションツールが微信/wechatになっているので、誰かがこのluckinを利用して朋友圈/モーメントにアップすると、瞬く間に伝播していく仕組みになっています。


どのスタートアップも、この伝播の仕組みをもれなく使いますので、luckinももちろんご多分に漏れず、「新規会員は無料で1杯」という特典を使って、バンバンシェアさせて、新規ユーザーを獲得していきます。

そして、新規で取り込んだ「やっぱり食後のコーヒーはスタバよね」とか、「出勤前にスタバでコーヒーを買うのはマストよね」という層を更に強固にがっちりとつかむために、新規会員だけではなくて、既存会員にも特典を用意してます。


注文を終えて、コーヒーを待つ際に朋友圈/モーメントにあげてもらえれば、「あー。luckinあったよね。」となるし、そのシェア内容にはゲーム性があって、スロットを回すと各種割引券が得られるというもの。


スタバ/星巴克よりは安いけど、ファミマ/全家やセブンには定価では負けてしまう。でもこの割引特典や、これまた中国あるあるですが「buy1 get free/买一送一」でお得に購入できるものを用意。


また、今なら、ダブル11/双十一なので、1杯で2杯もらえます。ラテは24元なので、24元で3杯になるので、1杯あたり8元ですね。これもちろん、即使用しなければならないものではなくて、先々まで使用できます。有効期限は3年となっています。倒産さえしなければ3年後まで使えますけど、日々消費するものなので、すぐなくなるかと。友達にもプレゼントできますしね。このあたりが非常にスマートです。もともとお金に対する意識が日本とは違うのですが、日本人としてもこのプリペイドタイプで大きい金額でないものなら、いやらしくなく日常的にもらったりあげたりできるなと感じています。

私が利用する時間帯は、朝の出勤時やランチ後や仕事中なのですが、事前にアプリでオーダーをして、オフィスビルに入居しているluckinに取りに行きます。そうすると、スタバと違って、注文のために並ぶことも、作るのを待つことも無く、時間が読みやすいです。
以前であれば、ランチ後スタバに寄ったけど、長蛇の列であえなく諦めたり、朝も同じくでしたが、luckinはそんなことないですし、作り終わったらsmsでメッセージ来ますし、お店に着いたら番号言って(言わなくてもいい)、アプリ内のQRコードを出して、設置してあるスキャナーに読ませて、受け取ればいいだけ。

時間貧乏の日本人にこそ、おすすめしたいスタイルです。

もちろん、こちら、デリバリーもできます。
賢いなと思ったのは、上海だけなのか、はたまた私が利用したことのある店舗だけがそうなのかはわかりませんが、デリバリーに顺丰/S.F.エクスプレスを使っている点。日本の感覚でいうとバイク便までは行きませんが、過去のヤマトとバイク便の中間くらい。値段は他の配送業者より高めだけど、早くて、サービスが丁寧。貴重品だったら顺丰で送りますという感じ。これまた、人民の認識としては信頼度が非常に高いデリバリーなので、よく考えているなという印象。
また、この顺丰のお兄さんたち、大きいオフィスビルでは、常に待機していて、午前中は荷物のお届けでぐるぐる回ってて、夕方近くなると集荷に回るという感じ。アイドルタイムはどうしても発生するので、適当に座って時間をつぶしてたりする。でも、このluckinの配送があれば、そのアイドルタイムも有効活用できるといった読み。luckinはかなりの店舗数が出ているし、大体オフィスへのお届けだと思うので、配送も多分楽でしょう。まさにwin-winの協業なのではないでしょうか?

日本も起業や投資が増えてきているものの、投資額を見ると、まだまだ少ないし、アイデアだけで起業して大きくできる市場ではないなと感じています。
luckinしかり、中国で猛スピードで成長している企業は、絶えず巨額の投資を受けています。投資家もリターンが無くても、見込みありそうだなとか、面白そうだなと思ったら、バンバン投資します。ある程度結果が見えて回収が見込めるところに大金突っ込んでる日本の投資会社を見てると、もっと日本の未来を見越してこれから日本に必要になるであろう企業にお金も知恵も注いであげてほしいなと思ったりもします。もちろんそういった観点から投資をしている個人投資家さんも増えているけど、今の日本にはもっと大きなお金の力が必要なんじゃないかな?とも思います。

と、話がそれましたが、それたついでに、市場の攻略も同じで、日本の場合、ローリスクローリターンの戦術をとるので、中国ではなかなか成功ができません。いかに良い商品だったとしても、初期のマーケティング予算を惜しみなく投下しなければ、結局目に見える成果が出ず、「ジリジリと赤字を垂れ流し続け、早5年や10年」といったその他大勢の日系企業になります。また、中国は日本では想像できないくらいのスピードで物事が進んでいきますので、中国人消費者に今ウケているものは、今投下しないと意味がなくなってしまいます。日本式で、今調査して、中国で商品展開するのが1年後や2年後になるようでは、完全に商機を逸しているし、なおかつそこからちまちましたマーケティング予算でやるようでは、何の結果も出ずに「やっぱり中国ダメだったね」となって担当者の失敗ってされたりしちゃうんですよね。かわいそうに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?