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エーゼルランド島の怪物【怪物ホラー短編集】

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海外ホラー風短編集。怪物ホラーや怪奇幻想文学を目指したホラー作品集です。 収録作:「エーゼルランド島の怪物」「フラッフィー」「緑の沼」「死体処理」「ある幻覚剤について」「ウォータ…
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#短編小説

マッドサイエンティスト【怪物ホラー短編】

「フレデリックさん、あなたのその個性は素晴らしいものですわ」 「ありがとう。誇らしいです…

ウォーターベイビー【怪物ホラー短編】

 素晴らしい家だった。湖畔にほど近い家は二階建てで、白い壁紙は染みひとつ無い。前の住人の…

ベレ族のハーブ【怪物ホラー短編】

 祖父が残したインディアンの羽冠を店に飾ると、客には好評だった。  かつてこの国の先住民…

死体処理【ホラー短編】

 それは知事選の始まる少し前のことだった。  あんな事さえなければと何度も思った。  いま…

緑の沼④【ホラー短編・全4話】

 それからブランドンは、仕事に取りかかる前に苔掃除をすることにした。だがそれは一筋縄では…

緑の沼③【ホラー短編・全4話】

 パラパラとページをめくり、軽く読めそうな部分に目を通す。いくらかそんなことを繰り返すと…

緑の沼②【ホラー短編・全4話】

 翌朝、カーテンの向こうから差し込む光で目が醒めた。時計を見ると、もう十時近くなっていた。専業になってからずっと遅い起床が続いていたが、何も考えなくていい起床とはやはり違う。いい加減起きるべきかとあくびをかみ殺し、下に降りることにした。  軽く朝食をとってから、昨日と同じく物置の扉を開けた。デッキブラシとバケツを手に、ウッドデッキに出る。こんなことは久しぶりだ。ちらりと見ると、緑色の苔が床の隅にもついているのがみえた。昨日は気がつかなかったのだろう。滑らなくて良かった。苔をそ

緑の沼①【ホラー短編・全4話】

 五月も終わりに近づき、夏のはじまりが訪れる季節に、ブランドン・ホーニングはやむにやまれ…

フラッフィー③【ホラー短編・全3話】

「くそっ、どこだ!」  俺はまず一発、撃った。床に穴が開いた。続いて弾数も考えずに、三発…

フラッフィー②【ホラー短編・全3話】

 計画はいつだって"慎重に、そして順調に"だ。それが最高にクールだ。相手を殺す時もそう。仕…

フラッフィー①【ホラー短編・全3話】

 俺たち四人はなにをするにも一緒だった。  四人でいれば無敵で、なにもかもうまくいくと。 …

エーゼルランドの怪物④【短編小説・全4話】

 それからしばらくして、とうとう祭りの日がやってきた。  山に向かうのは夕方からというこ…

エーゼルランドの怪物③【短編小説・全4話】

 翌日からは、ブランチャードは研究と偵察を兼ねて街の中を歩いてみることにした。  まさに…

エーゼルランドの怪物②【短編小説・全4話】

 各人に割り当てられた部屋に通されると、ようやくブランチャードは一息つくことができた。  宿の部屋の中は、右手側の壁の真ん中に、大きめのベッドが一つ。その脇には抽斗のついたクローゼットが置かれていた。左手側の壁には装飾のされた大きな鏡がひとつかけられている。その手前に丸テーブルが一つと椅子が二脚置いてあった。本棚もあったが、そこには何も置かれていなかった。クローゼットの中もまだ空っぽだ。  トイレや風呂まで中世風ではないかと勘ぐっていたが、入り口を入ってすぐのところにあるシャ