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コトリ会議『雨降りのヌエ』

雨の日に『雨降りのヌエ』を観る。
扇町は私にとっては大阪駅から徒歩圏だけど、そこそこ離れてるので、人も多すぎなくて良い。

さてこの作品、30分程度の短編5本を2本ずつ組み合わせた公演形態で、全部観ようとすると必ずどれか一つは2回観る事になる、不思議な仕組み。

更に公演以外にも色々な企画を一ヶ月間、扇町ミュージアムキューブのCUBE05でずーーーーーっとやってると言う、なかなか挑戦的な企画。

山本さんの作品は生と死の間に境界線が無くて、死者がフツーに生者と共に在る。いやフツーでは無いけど。変だけど。でもそこに当然のように居る。

それは怖い存在ではなく、どこか優しくて温かい。死んでるんだから物理的には冷たいんだと思うんだけど、温かみを感じる。

あの「兄」は、しかし、生前はもしやパワハラ野郎だったのでは無いだろうか。結果、弟妹たちが離散してしまい、それを死んでから詫びて回っている話なのかもと思った。知らんけど。

本編にはさりげなく織り込まれている様々な社会課題への山本さんの目線が、「第糸話」ではド直球でガンガン投げ込まれて来るのが面白過ぎて笑った。笑い転げた。サイコーの締め括りだった。

一番ホロリと来たのは当日パンフに書かれている「はじめに」の文章。一番刺さったのは「第空話」のインクルーシブじゃない格差社会の描写とコールドスリープの致死率。

「第糸話」以外をコンプリートすると台本データが送られて来るそうなので、台本読みながら追体験してみたい。

更に全話コンプリートで卓上カレンダーが貰える。色々お得。当日パンフに感想を書いてボードに貼るための付箋がついてたり、裏面は観劇メモが書き込めるようになってたりと、工夫が盛り沢山。

そんなこんなで、コトリ会議の公演は必ず観に行こうと思う。
作品自体はもちろん、観劇体験創りへの姿勢も含めて好き。
次は12月にアイホールらしい。楽しみ。


コトリ会議 1ヶ月たっぷり公演
『雨降りのヌエ』
会場:扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)
上演期間:2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)
上演時間: 約1時間10分(休憩なし)
公式サイト: http://kotorikaigi.starfree.jp/2024/amenue/index.html



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