人と環境の相互作用であり人は環境という謂

 一足早いクリスマスパーティへの出席後でケーキ食べてチキン食べてコーラ飲んでプレゼントゲチして,何か既に脳が年末進行です.そういう気分でお店に入るとクリスマス用品がまだあって脳の混乱があるこの頃ですが,そうか年末休みはまだ先ですな.冬休み早よ.

 県の就労支援室からコーディネータさんが定期的に来られて就労移行支援のヒアリングがあったりしてるんですが.そこでこっちの状況を伝えつつ,県内の障がい者雇用とその働きかけの状況を聞いていったりして情報収集と相互交流の機会になっていたりします.他の就労移行支援事業所のやり取りを聞いていると,まぁ事業所の数だけいろいろな状況があるよなぁと思い,また支援の難しさとか運営休止だのという冴えない話だの諸々と.聞くわけで,それは他人事ではないよなぁという.そしてまぁ相手は行政の人ではあるんやけど,でもま制度の苦しいところなんかも一緒に話したりして互いに共感する事もあったりして,え,これって癒着ですかねぇ.いやいや.

 これから一般就労に向けて取り組んでいきましょうという感じで進めていっていたメンバさんが最近周囲との軋轢で悩んでいたりしていたので相談支援員な人と一緒にヒアリング.先週からどうも表情や姿勢に違和感があったんですが,土日の休みの間に抱えていた自分のモヤモヤを他の人へと吐き出していたというのを後で聞いたり.作業中で起こったスタッフとのやり取りがずっと心に引っかかっていて,誰にも言えずにずっと抱えていたけど,その所為で疑心暗鬼がずっとあって被害的になってたりしているのがあったという情報を得ていたので,まぁ週明けになってやっと本人と話す事ができて話せたというわけなんですが.
 そこでまず考えたのは,ああこの人にとっての「今」大事な作業はなんなんやろうかという事だったり.まぁ大事な作業に「今」という時間限定のものってあるのかなとは思いますが.目標や手段についてはもちろん「今ここ」性があるとは思ってますが(by神田橋せんせい).
まぁある程度ヒアリングするまでの間に本人がいろんな関わりのある人と話のやり取りをしていて,気分的にはだいぶ治まっていたので,それ程解きほぐすのに時間をかける事はなかったのですが,それでもそのインタラクティブな交流における気分や感情の変化や,その思路においての特性なぞを本人と共有して,今後のいろいろな場面に必要な環境づくりに向けて本人と共通の目標を作っていく事にしたのは,今回の件において良かったことかなと.
 そのやり取りにおいて評価するならば,例えば機能的な面で言えば状況認知や神経認知の低さがあるのかなという感じとか,周囲とのやり取りの経過を客観的に捉えるのが難しい様子があるなとか.今後就労に向けて取り組むにおいては他者との関わりにおけるトラブルの起こりやすさについて,それを予防,もしくは修正可能な程度においておける様な体制作りが必要であるよねぇというのを本人共に共有していったり.
 この辺はトップダウンアプローチを補強する為にも認知機能アプローチを習得しておく必要があるよなとは思うたりしましたが,え,ちゃんとCEPD入ればですかCOT入ればですかそうですね.

 ヒアリングやモニタリング,面談において,一部ではあるけどオープンダイアローグの考え方を捉えた対話の仕方を少しずつ取り入れる方向にしていきたいなと,まぁまずはリフレクティングからですが,本人と他スタッフという3人もしくは4人程度の話し合いで自分の思考を言語化して本人と文脈を共有していく練習なぞをやってみたりと.
 なぜそう試みているかというと,グループホームや日中活動など生活支援の場では,とかくより良い方向で当事者が日々の物事を行える様にしなければならないという有形無形の圧力があるのかもしれなくて,その中で本人と話をする場面でもよりモノローグになっていたり,何か特定の方向へと誘導する様な文脈へと繋がるような時間を過ごす事になりがちではないかと考えます.そうなるとそこには当事者性あるいは語りという,本人にとって大事な何かが共有されずに抜け落ちたまま話が結論付けられ,過ごされてしまう可能性があったりしないかという疑念が生じてしまったり.そういう本人にとっての大事な体験と,この世界を結びつける働きを持つ役割を誰がどの様に取り持っていくのかという問いに対して,一つのやり方としてオープンダイアローグはあるのかなと想像したりしてるんですが,それを日々の取り組みの中で使っていってみようかと考えたりもしています.まだその体系を十分に習得したわけではないですけれど,まず一つのやり方として,聞き方とリフレクティングの姿勢を前面にしてみたりしています.その少しの実感として,本人の語る内容が豊かになった気がするのと,自分自身の構えに余裕が出る様な変化を感じたりしてますが,まぁこれは数をこなして検証していかなきゃなとは思うので,暫く続けてみようかと思ったり.
 しかしこういう場を当事者さんと過ごすにつれて,言葉というのは切れ味の様々なナイフというのをより一層感じる様になったりしてますな.その侵襲性は計り知れず.そこから言えば,作業療法はよりマイルドな侵襲の仕方をすら可能にするので,それをうまく習得できる機会を持っているのは良いよなと却って感じたりするところです.

言葉で環境と相互作用するのは個人的にも苦手なんですけど,作業はそれすらソフィスティケートしてくれるという感覚があります.この感覚は作業療法士特有かもしれないけれど.でも,だからこそ自分が作業療法というスキルを未熟ながら持っていて良かったなぁ,と,噛みしめる日が時々あるこの頃です.はい.

オープンダイアローグと作業療法がお互いをより高める形で融合すると面白いかもですね(誰かへ投げ投げ).


プログラマを経て作業療法士へ.精神科病院で病棟やデイケア,通所リハなど渡り歩いた後で自立支援事業所へ.主な担当領域は精神障碍を持つ方の生活支援,特に就労支援が中心.大切な作業を大切に,がモットー.