支援に関する感覚を共有して次へ前進するエナジーに

 まぁ毎年のことながら,年末というのは時間に追われる感じで「これやらなきゃ,あれ終わってないや」という仕事の年末進行で過ぎていって,ほとんど年末の挨拶と年始の準備で時間が過ぎるけど,その中でもメンバさんの状況と対話は忘れないように気を配りながらという時間なので割りと就業時間にはぐったりと.なのでジブン家(げ)の分は下手すりゃ年明けになるとかいうのがデフォルトになってる年中行事です.そういえば毎年こんな感じで年末の締めは過ぎていくんやったなぁ,と毎年多分思っている事を再度思ったり.職種的な特性なのか職場的なそれなのかはまぁ10年くらいしたらわかるかな.

 地域生活支援における日常には季節感がbio-psycho-socialそれぞれにあるもんだったりするんですけど,とはいえ支援や介入においては通年変わらないものもあったりして,その濃淡や軽重はダイナミックに変わったりします.でもまぁ自分が持ってるリソースには限りがあるので,やれる事をやっていくしかないのかなという毎日だったり.そしてその中でメンバさんと関わる際には,その後で常にその作業的意味を振り返って考えているんですが,そのプロセスはけっこう頭を使うですの.でもま.そうする事によって自分のスキルがブラッシュアップされると思えばいいかなと.ホントはそれをリアルタイムで行えるともっと適切に振る舞えるんやないかなと思うけど,そういうマルチタスクは苦手分野ではあるので難しいところです.でもまぁその練習はどっかで必要なのでしていかなきゃなとも.いいのはそれをできる人をモデルにしていく事かなとは思うますが,そういうスーパーバイズ先って別に仕事上の面談だけであるとは限らない,というかそれではなかなか見つからないのでいろんな機会で人を捕まえたいとこですな.え,飲み会ですかそうですね.

 という事で年末進行なあれこれをダイジェストでで.

 グループホーム入居の人が身体的な衰えから入浴用の手すりやら滑り止めマットとか台とかを導入するという事で,介護用品を取り扱う業者さんの人たちが見積もりに来られたり.まぁそこのやり取りは介護保険系にも詳しいPSWさんが対応してるんですが,結局は自費での購入になるという話になっていたりしててうーんと.その人の経済状況が,困窮ではないけど裕福というわけでもないし,障がい者総合支援法の日常生活用具給付がどうして適用にならないのか不思議やったんで.PSWさんへ教えて貰ったり.PSWさん曰く,精神障がいでの障害者手帳給付な方なので,身体障がいについての交付申請をしなければ日常生活用具給付は難しいだろうという返答.納得いくようないかないようなで違和感.三位一体など言っている割には,そういう面での区別を付けるんかと.日常生活で現にいろいろな活動制限が出ているのに対してこうならば,障害支援区分ってどういう意味を持つんやろうとか.何も黒を白にしろというわけではないけど,少なくとも納得がいく程度には学んでおきたいところでもあるよなぁと.今回については家族の経済的援助もあって,本人が安心してIADLを遂行できる様な物理的制限の回避がスムーズにいったので良いんですが.モヤモヤと隔靴掻痒.

 支援のみならず福祉サービス全般においては,感情労働な面が多分にあるので,そういう感情のマネジメントが適切でないと,ともすればスタッフ間での関わり合いの中で感情的な対立が生まれたりもするんやないかなぁと周囲を見ていて感じていたり.感情の吐露は,ヒトの健康を維持するのに必要な事ではあるかもしれませんが,それを聞かされる周囲の健康度合いはどのようになるのかねというのも懸念の一つとしてあったり.それがお互いに言える状況はまだ健康度が高いのかもしれないけど(対処のしようがあるからね),それが度を過ぎるといろんな歪みが出てくるのかなと思います.特に怒りというのについては対処が難しい面があるので,それが蔓延するのは宜しくないよねと.例えばアンガーマネジメントでは怒りから発露まで6秒待つというのが対処法となっているが,それはでも,自分の状況を振り返ってみれば,言い得て妙ではあるよなぁと思うたり.とはいえ,それがわざわざ書かれているという事は,それを行う事の難しさを表しているんやろなぁとか思い返したり.
 感情を表出されないからと言うて,感情が惹起されてないわけではないんですよな.ともすれば忘れられやすいですが.おとなしいと何も考えてないのは違う(by小坂りいなat「高杉さん家のお弁当」).

 生活訓練を利用しているメンバさんとモニタリングということで,相談支援員さんと現場のスタッフさんも含めて面談.最近の利用状況を聞きつつ,先日行かれたA型事業所についてのあれこれを踏まえながら本人の就業に向けた想いを聴いていく流れで対話をしたり.最初は表面的な内容から少しずつ話がディープになっていって,結局はその時間で終わらないまま日を改めてという事になったり.それでも物事を進めるにあたって必要なんじゃないかという「働くという事に対する意味」の片鱗は聞けたかなとは感じたり.それはいわゆる「波長が合う」のにも通じる様な場の雰囲気で,普段はそれほど相手に関心のない様な返事と態度である本人が,話を深めていくにつれてまっすぐ話し手の目を見る様子と,きちんとした文章が出てきた事から.話すという行為に意志という力がこもっていたんじゃないかなと思うたり.具体的なメソッドについてはあやふやな面はあるし,今までの人生経験からは心配な面がいろいろあるんやけど,本人の意志は大切にしていきたい所存.そして今回も予断・誘導をせずにオープンな対話を大事にしていく方向での面談で,特に打ち合わせはしなかったけど相談支援員な人と一緒に雰囲気作りをしていったり.やっていって練習して慣れていかんとねという感じでありがたく.

 こうやって次回持ち越しになる案件が増えていく感じで,これは確かに仕事が終わっていかないわけやなぁという感想が出てくるんですけど,でもま,そもそも支援というのは面倒で大変なのがデフォなわけで,それを素早く簡単に済まそうとするのは,その時はよくてもどこかに歪みが出てきて,そしてその帰結は本人へと向かってしまいがちになるわけやから,そこは大切にしていかなきゃいけませんね.それが職業的アイデンティティとか,自分の存在理由になるんやないかなと思います.でもまそれだけにばっかり視点を向けると行き詰まるので,やっぱりいろんな視点が欲しいとこです.のでやはり関係者及びお知り合いの皆様よろしくお願いいたします.かしこ.

プログラマを経て作業療法士へ.精神科病院で病棟やデイケア,通所リハなど渡り歩いた後で自立支援事業所へ.主な担当領域は精神障碍を持つ方の生活支援,特に就労支援が中心.大切な作業を大切に,がモットー.