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🎀作品紹介🎀 けむりの記憶

けむりの記憶は、私に自分の愚かさを思い出させてくれます。
自分の愚かさと向き合うことで、人に寛容になれるのです。

たばこはよく「百害あって一利なし」と言われていますが、なぜ他の薬物のように規制されないのか。
戦費調達から始まり、たばこからの収税は、長い間、政府の至上命題でした。
たばこの歴史は、いかにして国民に喫煙を推奨し、そこからの税金を確保するかの国策の歴史でもありました。
政府の政策が功を奏し、喫煙は社会に広く蔓延することになりました。
その政策の中で、たばこは女性解放と地位向上の象徴として利用されました。
それまで男性の習慣だった喫煙を女性にも促し、全体の喫煙率の向上を目指したのです。

女性解放や地位向上の象徴としてのたばこのイメージは、当時の私の好奇心をくすぐるのに十分でした。
政府やたばこ業界の思惑にはまったのは私だけではないはず。
たばこの健康被害は分かっていましたが、喫煙する女性はかっこいいとの思い込みが、自分を喫煙に向かわせました。若気の至りです。
誤解を恐れずに言えば、たばこはおいしかったです。
喫煙をやめられない、やめたくない人の気持ちはよく分かります。

その後、コストや健康被害を考慮し、何ども禁煙を試みましたが、なかなかうまく行きませんでした。
禁煙の決定打となったは母親が肺がんになったことでした。
自分の喫煙とは関係ないものの母親の肺がんの発症を知った時と、その後自分が妊娠した時は、心の底から喫煙をした自分の愚かさを呪いました。

たばこに限らず、悪いと分かっていてもやってしまったことは少なからず誰にでもあると思います。
好奇心だったり、流行だったから、スリルが欲しかったなど、ほんの僅かな気の迷いが人生を狂わせることもあります。

世間では、自己責任という言葉が金言のように語られます。
Web3時代には、よりその傾向が顕著になるでしょう。
自分の言葉や行動には責任を持つべきだとは思いますが、自分に起こったすべてのコトを、自分だけの責任として負うには無理があります。
世の中はそんなに単純でも平等でもありません。
かつて自由の名の下に多くの血が流されました。
今は自己責任の名の下に多くの人が自信喪失に陥っています。

自分は、社会の空気に飲み込まれ、感情に流され、愚かな失敗をしてしまう弱い人間だという認識は大切だと思います。
人の一生は限りがあり、短く儚いです。
いつどんな理由で終わるか誰にも分かりません。
私のけむりの記憶は、私の愚行の歴史の1ページとして、時に人を裁きそうになる傲慢な自分を戒めています。

こちらが作品ページです。是非ご覧になってください。
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