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弓張月の御息所

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大人のためのお伽話、こころの奥底にしまっていた胸のトキメキを美しい言葉で綴ります❤️
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2020年11月の記事一覧

サハラ砂漠の夜明け

サハラ砂漠の夜明け

サハラ砂漠の夜明け
砂で形作られた表情は 艶やかでどこまでも色っぽかった

朝日が昇る直前の砂の山の稜線は
ローズサンドの赤味を帯びて
バストラインのように形造られ妖しく光る
その山の頂は砂風が起こしたいたずらからか
若い肢体のようにツンと尖っている
思わず頬を寄せたくなる愛らしさ
だけどこの見事な自然のアートも
二度と同じ景色に出会うことはなく
明日になれば全然違う姿を見せているのでしょう

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残されたピアス

帰り道の電車の中、ふと耳に手をやると
左の耳のピアスがなくなっていた

「あ、また・・・」
すっかりあきらめモードのつぶやき
どこまで記憶をたどれるのか
心なしか片耳が微妙に軽い

「お気に入りだったのに・・・」
規則的な列車の揺れる音で
私の独り言は誰にも聞こえない

そう、いつも失くすのは左の耳のピアス
所在なげにトレーの上に残された片割れのピアスは、どこか悲しげだ
いつかまた会えるかもしれな

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ことば

ことば

好きな人にどんなセリフをつぶやかれたい?
そんな問いかけをされたらどう答えますか
分かっているのは
言葉ありきじゃなくて
誰が言ったかということ

好きな人ならお決まりの決め台詞よりも
何気ないひとことが
ずっと忘れられない
そんな言葉があるように感じます

その人の顔を自然と思い浮かべ
口元から発せられるあなたの声色を
耳の奥でリフレインするのです

なんだろ
それだけで
胸がキュンと苦しくなっ

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「培養液」

「培養液」

もう恋愛感情はなくなりました
愛や恋や 安っぽい言葉で語りたくない
そんなことでこの縁を失いたくない
それぐらい感謝してるんです

そう言いながら
一番変わっていたのは彼だった
誰にも愛されない不必要な人間なのだと
自暴自棄になっていた頃
ただひたすらに誰かに救いを求めていた
私に対する表現は
擬似恋愛だと分かっていた

そこから
どん底の生活から踏みとどまり
一人で歩き出す覚悟を決め
自分を大事

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