休校給付金プロジェクトを始めた10の理由(前編)

この度、子ども支援に取り組む有志とともに「休校に苦しむ子育て家庭に給付金支給を求めるプロジェクト」を立ち上げ、「休校に苦しむ子育て家庭に給付金を支給してください!」というインターネット署名キャンペーンをはじめました。

なぜ、今、子育て世帯に給付金が必要なのか?長年、日本の子どもの貧困に取り組んできた立場から、その理由をまとめてみました。

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1. 子育て世代は貯金がない

突然の休校や、自粛要請で急に収入が無くなったり、大幅に減ってしまう子育て家庭も多い。子育て家庭に限らず、独身もフリーランスも高齢者もコロナで収入が減ってしまう人は多い。政府も10兆円とか30兆円とかの経済対策をうとうとしている。頼もしい。

しかし、経済対策が効いてくるまでには少し時間がかかる。
来月の生活どうする?
それは貯金を崩してなんとかするしかない。なんだけど、実は若い世代はその貯金がない。

年代別平均貯金額(二人以上世帯)
29歳以下ー 384万円  30-39歳ー631万円  70歳以上ー2249万円

ちなみに年代別平均負債額(二人以上世帯)
29歳以下ー 675万円  30-39歳ー1329万円  70歳以上ー104万円

やばい!若い世代は貯金よりも借金の方が多い。
そもそも、児童のいる世帯の14.6%、母子世帯に限っては37.6%が貯金がない。

早く現金を支給しないと、「ご飯が食べられない」家が普通に出てくる。だから一番早く現金支給できそうな児童手当をを使おうと提案している。

高校生がいる家庭も、本当に大変。高校生をどう支援するかもできるだけ早く要望したい。

とにかく早く、お金を子育て世帯に!

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2. 3月〜5月は一番お金がかかるから、とにかく早く支給できる仕組みで

子育て家庭にとって、新年度が始まる3〜5月は、本当にお金がかかる。新しい上履き、体操服、ノートや文房具、PTA会費など年払いのもの、新入学なら、これに制服なども加わる。

これは削ることのできないお金です。食費や被服費や交際費のように節約できない。

様々な経済対策がこれから打たれるだろうけど、みんなが納得するような、綺麗な整合性のある支援策を作ろうとしたら、ものすごく時間がかかる。制度を作るのに数ヶ月、それを執行するのにさらに数ヶ月で、手元にお金が行くのは12月以降とか、ざらにある。過去に経済対策として年金受給者に配られた高齢者向け給付金(一人3万円)だって、実際に手元にお金が入ったのは12月過ぎていたような記憶がある。

今、大変だから、出来るだけ早くお金を子育て世帯に渡してあげたい。そのためには、今、実際に使っている「児童手当」という仕組みを使うのが最も効率がいいと思う。新たな制度を作るとそのために膨大な事務コスト(対象者に郵送でお知らせしたり、申請してもらったりそれ受け付けたり、振込先を登録したり・・・)

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3.そもそも日本は子どもへの税の再分配がものすごーく少ない

耳タコかとは思いますが、現状ではとにかく高齢者に偏りすぎている。「子どもに給付金を出して」というと「国もお金がないから、子どもだけ優遇するのはちょっと・・」と言われるのだが、

いや、全然優遇じゃない。むしろ世界でも有数の「子ども冷遇」国。

どれくらいかというと、今回の子育て家庭への給付金を税金で賄うとして、かかる費用は3000億円〜5000億円

で、毎年、年金の不足を補うために使っている税金は「12兆円」。毎年みんなが納めた税金から12兆円が年金になっている。
子育て家庭にお金配っても、「教育に使わない」とか怒る人いるけど、高齢者が年金でパチンコしようが、ギャンブルしようが、怒っている人をあまり見たことないけど、そのうちの何割かは間違いなく税金。

だったら、こんな時ぐらい、真っ先に子育て家庭にお金回そう!

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4.少子化が本当にやばい

子育ての負担を全て親に追わせて、さらにそんなに頑張っている人たちを社会全体が盛大に叩く、ということを続けてきた結果、少子化は本当にやばい。以下、出生数(その年に生まれた赤ちゃんの数)の推移

1949年 270万人      第1次ベビーブーム 
ーこの間24年 
1973年 209万人(▲61万人)第2次ベビーブーム
ーこの間24年
1997年 119万人(▲90万人)この頃から幻の第3次ベビーブーム
ーこの間8年
2005年   106万人(▲13万人) 初の100万人台
ーこの間11年
2016年 98万人(▲8万人) 初めて90万人台に突入
ーこの間3年
2019年    86万人(▲12万人・対前年▲5.4万人 ▲5.92%)90万人を割る
ーこの間1年
2020年 予測  コロナウィルスの影響で 80万人を切るかも

残念ながら、子どもを産める人は限られている。例えば私は女性だけど年齢的にもう無理。お金のない若い人でも安心して子どもを産んでもらえるようにしないと、地方消滅どころか日本消滅もありえる。年金なんか絶対維持できない。


5.子育て家庭に異常に冷たい今までの日本社会

私は10年ぐらい日本の子どもの貧困に取り組む活動をしているが、常にバッシングに怯えている。ひとり親家庭が、貧困家庭が、子どもの多い家庭が大変なので支援しましょうと言うと

「甘えている。自分で産んだんだから自分で育てるのが当たり前だ」

というようなバッシングが全方位から飛んでくる。高齢者からも独身者からも子育てをしている人からも言われる。

子どもは弱い存在です。。子どもを守ったり育てたりしなきゃいけない子育て家庭だって大変だ。だから、そう言う弱い人は社会で守っていこう、となっている。動物の群れだってそのためにある。子連れで放り出されたら、すぐに敵に食われちゃうし、飢え死にしちゃう。

なのに、なぜか日本社会は、本当に子育て家庭に冷たいし、厳しい。これは異常だと私は思う。その結果、異常な少子化になっている。

今回も、私たちの活動を知って

「私は3人の子どもを育てているけれど、うちは必要がない。まるで、私が要望しているようじゃないか!要望を撤回してほしい。迷惑だ。私はいりません。」

というような、子育て中の方からのご意見を結構いただく。とても悲しくなるし、きっといつも、子どもが社会に迷惑をかけていないか、とキリキリしながら子育てされているんだろうな、と思う。

例えば国民民主党が、国民一人につき10万円を支給しよう、と言っている。実現した時に、先ほどの子育て中の方は、それでも「うちは必要がありません。」と言うだろうか? 過去に高齢者に経済対策の一時金として給付金が支給されたことがある。うちの親も含め、働いてないから、就労収入はないけど、持ち家だし貯金もあるし生活には困っていない。そういう高齢者はたくさんいたと思うが、高齢者から「うちはお金に困っていないので、いりません。迷惑だ!」と言うような声は聞いたことがない。

子育て中の人に、もっともっと優しい国になるといいなと思うし、「給付金なんていりません、そんなものもらったら、どんなに肩身が狭くなるか」とメールをする方を思うと、かわいそうで涙が出てくる。

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