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選挙の争点=子ども庁にだまされるな

今、やる必要があるのか?よく考えてみよう

社会がにわかに「子ども庁」と騒ぎ始めました。衆院選を控え、「選挙の争点」などと煽るメディアもありますが、だまされてはいけません。

”子育てや教育に一体的に取り組む司令塔役の組織づくり”などと、お題目は大きいですが、実際、何をやるのか?私たちの暮らしがどうなるのか?全く見えません。

”待機児童解消などを目標に据えた保育所と幼稚園の一元化” などが目的に入っているようですが、どれもピンと来ません。

例えば、待機児童問題に関していえば、コロナの影響で、そもそも子どもを産む人が急激に減っています。2020年待機児童数は12,493人(厚生労働省)、待機児童数は前年より4,333人減っています。対して2020年の出生数は、前年から25,917人減。2021年はコロナの影響でさらに減ることは確実で、約1割、7〜8万人減ると予測されています。何もしなくても待機児童がいなくなる可能性があります。

コロナによる出産減少は世界各国重要重要で、今世界各国が一斉に、出産支援策を実施しています。先日、日経新聞朝刊の一面にも取り上げられました。

イタリアは、子ども一人あたり月250ユーロ(≒32000円)を7ヶ月から21歳まで支給とか、韓国では出産一時金200万ウォン(≒20万円)と1歳まで毎月30万ウォン(≒3万円)とか、色々な支援策が打ち出されています。
妊娠から出産まで10ヶ月かかります。今急いでやっても2022年に成果が出るかどうか?です。だからこそ各国、急いで取り組んでいます。

「これから、組織を作って、そこで検討します」などと言っている間に、自体はどんどん悪くなるのではないでしょうか? 今すぐ、出産費用無料、出産一時金の支給など実のある少子化対策をやらないと減り続けます。本当にまずいと思います。

現政権では、困窮する二人親の子育て家庭にも子ども1人に付き5万円の給付を決定しましたが、支給の仕組みづくりに時間がかかるために、実際の給付は7月以降にずれ込むとの報道もあります。困窮子育て家庭はまともに食事も取れない状況が1年以上続いています。組織改編などしている余裕があるのでしょうか?

昨年、一斉休校が長引く中、にわかに「9月入学」案が浮上しました。もし、あのまま9月入学になっていたら一体どうなっていたでしょう?考えるだけでも恐ろしいです。そして、今また「子ども庁」と騒ぎ出すのを悪夢のように感じています。

組織改編や大幅な制度改革は重要ですが、新型コロナウィルスという災害で日本中が大変な時期になっている今、やることなのでしょうか?

選挙の目玉は組織改編ではなく、何をやってくれるのか?

「子ども庁の創設を選挙の目玉に」というフレーズを見るために、「いやいや、おかしいでしょう」と突っ込んでしまいます。

例えば、企業が「新事業部を作ります」と宣言したら、業績上がりますか?「こんな新製品ができました」とか「こんな新事業をはじめました」とか「めちゃめちゃ売れる新サービスができました」とか、そういう成果が出て初めて、業績が上がるわけです。

大事なのは、新組織を作ることではなく、成果を出すこと。「新組織作ります」と声高に自慢されても、「おっ、じゃ、1票入れようか」とは中々なりませんよね。なのに、選挙の争点とか煽るのは、おかしいよなぁと思います。

だから、「だまされちゃいけない」と言っているのです。

大事なのは、子ども庁を作ることではなくて、具体的に「何をやるのか?」選挙の争点となるのは、その成果をどれだけ出す計画なのか?のはずです。

例えば、私は、ぜひ、今、なぜか中学卒業時までしか支給されない児童手当を絶対に高校卒業時までに延長して欲しい。高校進学率が97%を超え、ほとんどの子どもは、親に扶養されています。一番お金のかかる高校時代に、国から子育ての費用が全く分配されないのは、どう考えてもおかしい。他の先進国を見ても、親が扶養している間は手当が支給されたり、そもそも学校教育が全て無償だったりです。わずか1万円という額は諸外国に比べれば非常に少ないですが、それでもあるとないとでは大違い。とにかく高校卒業時まで、せめて毎月1万円は出すべきです。

組織をどう作るかは重要ですが、それは政権を担っていれば当然やるべきことであって、「組織作るんですよ、すごいでしょう」なんてそもそもおかしな話です。スポーツ庁ができてあなたの暮らしは良くなりましたか?大事なのは「何をやってくれるのか」その1点です。

選挙の争点は、子育て分野でいえば、児童手当は高校生まで延長されるのか?給食は無償化されるのか?共通テストは無償化されるのか?給付型奨学金は中所得世帯まで拡充されるのか? そう言う「実」のある公約になるはずです。

こども庁創設などと言う、内部の組織改編が選挙の争点になるはずがない。重要なのは、どれだけ子ども支援を手厚くしてくれるのか?いくらお金を出してくれるのか?具体的な公約です。だまされてはいけません。

子ども庁と旧民主党の子ども手当は全く別物

なぜ、「子ども庁」という、まだ何をやるのかもよくわからないものが、急に「選挙の争点」などと言われ出したのか?

私が思うに、第45回衆議院議員総選挙で民主党が「子ども手当」をマニフェストとして提示し歴史的な圧勝で政権交代した、そのイメージが国民に残っているからではないでしょうか?

「子どもを大事に」それは、国民みんなの願いですし、それに異を唱える人はいないでしょう。だからこそ、長く続いた自民党政権を打ち倒すことができたのでしょう。

しかし、子ども庁と子ども手当は、言葉は似ていますが、次元の違う話です。子ども庁は先にも述べたように単なる組織改編であり、何をしてくれるのかは今のところまったくわかりません。待機児童の解消や虐待対策などどれも大事ではありますが、今もすでに予算をつけてやっていることであり、現状では、看板の架け替え感は否めません。

それに対して、当時の子ども手当は、子ども一人につき26,000円を支給、所得制限もつけずすべての子どもに、26,000円を支給するというものです。その予算は5兆3000億円。日本の国家予算はだいたい100兆円ですから、5%を子どもに直接支給しようという、大規模なものでした。子ども手当に関しては色々な評価がありますが、とにかく5兆円を子どもに配りますという公約でしたし、実際半額にはなりましたが配られました。

これぐらい大きな話なら、当然選挙の争点になりますが、子ども庁は、現時点では組織を作りますよ、というだけの話です。この先、さらに具体的に話が進んで、民主党政権の子ども手当にも並ぶ、大きな目玉が出てくることを大いに期待していますが、残念ながら現時点では、「組織ができる」以外のなにも見えません。

ですから、私たちは間違っても、「子ども庁を作った方がいいか、どうか?」などという国民には何の利益があるのかさっぱりわからない話に巻き込まれては行けないと思います。

子ども庁創設は、「へぇ、そうなんだ」くらいにスルーして、「ところで、各政党は、実質どんなことをしてくれるの?」という、身のある部分の衆院選の争点が出揃うことを待ちましょう。

どれだけ、各政党からいい公約を引き出すか、国民も頑張って注視していきましょう。

ちなみに、今、私が運営するNPO法人キッズドアの姉妹団体認定NPO法人キッズドア基金が、困窮子育て家庭の大学受験を目指す高校3年生や浪人生に、受験のための5万円の奨学金を給付するためのクラウドファンディングを実施しています。「お金がなくて共通テストをあきらめた」という受験生がいます。ほんと、子ども庁云々の前に、この状況を何とかして欲しい、せめて共通テストの受験料ぐらい無料にして欲しい、と心から願います。目標達成まであと700万円ほど。よろしければぜひご寄付や拡散をお願いいたします。

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