見出し画像

抗わない

パンデミックとともに生きる、ということは、先の予定が立たないということでもある。

私の場合、大きな命題のひとつに、次に日本にいつ帰ることができるか、という問題がある。ロックダウンの初期の頃、母に「秋くらいまでは会えないかもねえ」というと、「あら、何言ってるの、来年まで会えないわよ」とあっさり言われて、その頃の空気感でいえば、数ヶ月もすれば、という感じだったので、今思うと、私のまわりでそこまで読んでいたのは、母だけだったということになるのだが、そのときに「最悪のケースに気持ちの照準を合わせていったほうがあとあと楽そうだぞ」と、腹を括ったことでやきもきするのをやめた。

今アメリカでは、ちょっと前まで、コロナウィルスの脅威を矮小化してきた保守州で感染が遅れて爆発し、全米の感染者数のレベルが、5月1日の時点を越えて増えている。都市部でわかっていたことを「うちは大丈夫」と、経済再開を進めてきた結果であるので、悪政による被害としか言いようがないが、悲劇になることをわかっていて、それを目撃しながら何もできない、という状況を、ここしばらく経験してきた。

ここから先は

1,375字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?