見出し画像

大人のバレエ(その2)

(「大人のバレエ」のつづきです)

 私はお試しレッスンの後、同じ先生の教えていらっしゃる「初心者用大人のバレエ」のクラスに通い始めることにした。「初心者」という名前はついているが、クラスのほとんどはバレエ経験者である。そんなところにいきなり私が入って、ついていけるはずがない。

 それでもよーく見ると、「いかにもバレリーナ」な動きをしている人と、ちょっとだけ私に近いような動きの人の、2種類の人間がいることに気がついた。まあ、後者は少数派であったけれども。それで少しホッとしたのと、レッスンのない日にYouTubeなどで小さい子がプリエの練習をする姿を真似してみたりして、なんとかかんとか毎週通っていた。

 そんなある日、「朗報」が届いた。先生が、もう1つ「超初心者用」のクラスを作ってくださるという。やった!これで私はもう、劣等生のままでいなくて済むぅぅぅぅぅぅぅ!!

 と喜んでいたのが約2年前のこと。その後どうなったか?「超初心者」のクラスは人数が少なく、そしてやっぱりみんな私よりバレエが上手だ。先生の動作を真似る時も、周りの人はすぐにできるのに、私は「えーーーっと、右手を伸ばして、左足を前に上げて…」なんて考えているうちに、すでに次の動作に進んでいる。だから、みんなには永遠に追いつけない。そういえば私は中高生の時、数学の「立体図形」を使った問題が苦手だった。バレエの振り付けは、言わば「全身立体模型」が次々とその形を変えていっているようなものである。1つの模型を認識するのに何分もかかる私が、どんどん変化する動作を認識できるはずもなかろう。

 そういうわけで、「超初心者」のクラスで先生が横につきっきりになるという、とてつもない「贅沢」をさせていただいている私です。先生、みなさん同額の月謝を払っていらっしゃるんだから、どうぞ、均等にご教授ください。

(とりあえず、「首がない」と言われることだけは、なくなりました。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?