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異質に触れる

ライフステージが変わるとき、いろんな戸惑いがあります。
出産、育児などもその一つですが、一生懸命になるが故に
価値観が凝り固まってしまう
ときがあります。

大分たってから私もそこに気づきました。
いろんな人と会って価値観に触れて、ようやく外れていったのですが、
そんな機会がもっと、いろんな形でつくれないものかなと思ってきました。

「異質」に触れる

ネット情報も、普段見ているものに近いものが自動的に表示されたり、
住まいも同質性が高い人向け(ファミリー向けマンション等)に設計されていたり、と何かと同じような感覚価値観に近い人と接することが多くなります。共感しやすくされやすい、違和感少ない。

でも、同時に自分が「当たり前」と思っていることが
全く当たり前じゃないことに、気づく機会が減ります。悩んでいることそのものが、自分自身が作り出している「ねばならぬ」に縛られているからだと気づく機会も減ります。だからはっとする機会、疑う機会、そんな時間が実はとても大事です。

こまちぷらすでは毎月お店を閉めてスタッフミーティングをしていますが、子育ての豊かさを2018年にその時間を活用しながら団体全体で定義しました。ホームページでも書いていますが、
・自己肯定感があること
・役立ち感があること
・外出動機や外出場所があること
・豊かなソーシャルサポートがあること
・社会参画の機会があること
・身近な社会問題を自分事のように感じたり、多様性や個性を受け入れ見守れる状態であること
と定義しています。

この最後の点「みぢかな社会問題を・・」は、なかなか難しく今でもどういうことばがよいのかわからないです。
でも、安心の中での異質との出会い、みたいなことは大事なキーワードだと思っています。


それをどうつくれるか

その安心の中で、異質と出会っていく、をどうつくっていけるか、というのを従来の福祉やアプローチにとらわれずに考えてきたときに、ヒントはこれまでの実践にあると思ってきました。


2018から2019年頃、国際NGOや団体の方のご協力を得ながらザンビア・デンマーク等にに日本で集めた課題をもっていってもらいました。持っていってもらった日本の声は
「こどもたちの放課後の居場所がない」
「どこにいったら孤独な子育てがないのかわからない」等などです。

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現地でワークショップをしてもらい、そこでの発言を持ち帰ってきてもらったのですが、その持ち帰ってきてもらった発言は、「??」というものばかりでした。

まず「日本ではそんなに孤独なの?」と逆質問されたとか。

ザンビアでは困った時には兄弟家族に頼っている。
保育園はないけど夫と協力しあってみている。
村全体が子どもの居場所といった声がかえってきました。

印象に残っているのは、「こどもの放課後の居場所がないという意味が分からない」「暗くなったら家に帰ってくるし、近所の人が大体どこにいるか知っている」「何故家にひきこもることが悪いのか」等といった声です。

日本で課題だといっていることの「意味が分からない」という反応が海外から返ってくるということ新鮮でした。

「これが課題だよね」「そうだよね」「どうしようね」といっている会話から生まれない対話がそこから始まることが気づきました。
「何故そうなのか」「どうして私たちはそれを課題だと思うのか」という問いを遠くから投げかけられることが、今渦中にいる当事者にとっても周りにいるたくさんのまちの人にとってもとても大事だと思ったのです。

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*当時のチラシ


もう一つ。ザンビアのお母さん声を見ながら、戸塚で子育て支援に関わる方が「これは、昔の日本だね」といっていました。

ザンビアの中の声を見ながら、少数ではありましたが産後うつになった親戚がいるという声も混じっていました。若くして妊娠し戸惑ったり望まない妊娠をする人の声も。また、ザンビアでは過去のしきたりや迷信の力も強く
整備されたところでの出産で救えた命も救えない現状もあります。


そうか、あたたかい支え合いがありつつもしきたりも息苦しさもあり。

その一言を聞いたときに、失ったことと得てきたこと、今既にあることを
「外」の存在があることで感じられると思いました。

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*写真はそのフューチャーセッションの様子。

そうした対話の場をどうやってつくっていけるか。

こまちカフェでは、「世界のお菓子企画」を12月からめました。
世界各国の人とオンラインでつなぎながらお菓子を開発をする、
それをこまちカフェの工房でアレンジしてつくってみなさんにお届けする、そんなちょっと、はちゃめちゃな企画です。

12月・1月・2月の3ヶ月にわたって、毎月異なる中東(イスラエル・ヨルダン・トルコ)の国のお菓子をこまちカフェで開発しオンラインショップと店頭で販売開始しました。
購入してくださった方は、お菓子を食べながら現地の方とオンラインでお話できるチケットがセットになった商品が届きます。
販売するにあたって出した、プレスリリースはこちら

先述したような気付きの場を、課題から出発するのではなく、国問わず平和な時間を感じられる「お茶の時間」から出発しようと思いました。


初回は2021年12月に実施

初回12月実践、イスラエルに住んでいる方とつないで開発しました。
開発途中も、現地でのお話を聞きながら知らない世界が一枚また一枚と剥がれるように見えてくる知る面白さ、共に作る面白さがありました。


しかし発売開始したものの、全く最初は売れず。。。店頭販売も追加したり、小売り販売もしたりしながら、なんとかスタートした感じでした。

なんとか無事発送終え、各ご自宅に届いた日やその翌日にオンラインでイスラエルとつなぐ会を実施しました。実際に注文してくださった方々と現地をつないで共にお菓子を食べながら、いろんなお話をしました。メディアで知る世界とは全く違う景色が見えてきます。

短い動画にまとめたので、よかったらご覧ください。

https://youtu.be/1kEa_izaEQo


イスラエルからは開発に携わってくれたAdiさんが、まず20分イスラエルの食について歴史や文化、宗教や民族の話を交えながらお話をしてくれました。
・イスラエルには七草があること。ぶどう・オリーブ・ざくろ・いちじく・なつめやし・大麦・小麦。七草そのものも七草でつくったお菓子食べ物もたくさんあること。
・子牛と牛乳(牝牛)は一緒に食べてはいけないと聖書に書いてあること。
 乳製品たべてから1時間あけないと肉製品とれない。肉製品たべてから6時間あけないと乳製品食べれない。と厳格なユダヤ教の人は守っている。シンクも分けていたり、お皿やカトラリーも分けている人も。
・交易の中心で、アフリカヨーロッパアジアのいろんな文化の通り道だったこと。だからありとあらゆる国の料理が食べられること。
・安息日は、金曜と土曜日で、仕事をしちゃだめな日。厳格な家庭はご飯をつくることすら仕事とみなすため、ご飯も全部つくりおえてから安息日に入ること。
・もともと砂漠の国だった。そこに緑を植えて、水も知恵を絞って通るようにした。今は野菜ふんだんに育てて野菜は大好きな国であること。
・お買い物はキロ単位。きゅうり1キロ200円。チェリートマトも1キロ300円。なんでもキロで買う。
などなど、とにかく面白い。

調味料はどんなのがありますか?おすすめの場所は?クリスマスやお正月について。。。など質問もたくさん出てきました。
最後はちょっとヘブライ語や英語でもお話しをしてくれて、ちょっぴりその国を意味はわからないけど違う言語を通しても感じる時間も。

終わってみて参加した方は「面白かった!」「なんだか当たり前に思っていたことがガラガラと崩れた」という感想を聞くことができました。

一緒にお菓子を食べながらこうやって交流ができていることに、感激でした。


自分の中の当たり前を柔らかくほぐしていく。
その中心に「食」があることでそれが、ぐっと身近にできることになる。
そして、お菓子という共につくれるものがある。
こまちカフェ、こまちぷらすならではの、できる実践だと思いました。

現在、ヨルダン編を販売中。是非お試しください。(注文は2022年1月11日(火)23:59まで)
https://comachiplus.stores.jp/items/61adc322fadad474f4ebcd22