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移動の自由度が低い今

子どもが小さかった頃、
「ベビーカーで移動できる範囲はこのくらいまでかな」
「抱っこ紐だったらこのくらいまでかな」
「授乳やおむつ替えやお昼寝を考えると移動と滞在含めるとこのくらいまでしかいけないかな」
「保育園幼稚園のお迎えの移動を考えると、会議やイベントには
参加はできないかな」
と一つの選択、一つの移動をするために
「時間」×「距離」×「子どもの状況」で一つ一つかけあわせ考えていました。


でも、その後こどもが大きくなってこの掛け算が少しずつ楽になってきました。移動の自由度があがり、接するコミュニティの多様性も増えました「シン・ニホン」(安宅和人、株式会社ニュースピックス)という本にも書いてありましたが、知覚を広げる「経験」には、

・日常生活や学習などで新しいものに見聞きする「知的経験」
・人との付き合いや関係などを学ぶ「人的経験」
・それらの経験の深さの上で多面的、重層的にものごとを見て、関係性を整理する「思案」

の3つがあるそうです。

百聞は一見に如かず。といいますが、自分の目で見て聞いて、見聞や視野を広げることにやはり勝ることはありません。いろんな人に接することが増えるにつれて、「移動の自由度が高い人」がそうだこんなに世の中にいるのか、と思い出し、あーあんな風に動ける身体がもう一つあったらなと無理な妄想もしたものでした。住んできた世界が違うかのような不思議な感覚です。

移動の自由度が低い状況の今

今は、社会全体的に物理的な「移動の自由度」は低い状況です。その中で、人が求めてきた「知的経験」「人的経験」「思案」の場がオンラインの土俵に移動しています。結果、「オンライン自由度の高い人」内での交流が盛んです。支え合いも支援も、その中で広がる動きもあります。そこで会える人たちの顔ぶれが変わってきているなぁと実感しています。


こうした移動自由度高い人たちの緑圏域からオンライン自由度高い青圏域へと移行している人たちと、どうにも今移行がかなわない人たち、もともとどちらにも入らない人たちが今いるのが現状です。(下記図参照)

交流圏


こうすると何が起きるか

同じ地域に住んでいる「支援」を今必要としている人「支援」をできる人違う圏域に属する状況が生まれます。専門家やいろんな支援団体がオンラインや電話相談も含めて様々な支援を個別に始めています。私たちのような居場所は、プロフェショナルでもなく専門家でもないけれども、幸いちょこっとずつ、どちらにも、つながりがある。居場所の役割は今、ここの橋渡しなのではないかと思います。

例えば、各家庭で多くの親が少しの時間も家事育児仕事が途切れず、外に出れない子どもたちのストレスマックス状態による超絶ぐずぐず状態と親自身への自己嫌悪とが見事にミックスして「もう限界!!!!」となっている世帯もたくさんいます。産前産後の家庭は特に大変ですー出産後必要なことを学ぶ両親教室も産後の新たな世界について学びを得る場や関係をつくる場も今全て閉じています。ホルモンバランスが崩れてただでさえ不安定な中で、下手したら里帰りもできず、産院でも家族の面会もかなわず、とても不安な状況かと思います。

加えて、地域の子育て支援の関わる専門の方々も今は支援活動ができていません。(人と会う事訪問することもNG)オンラインでつなげられないかと検討しても、固定電話とガラケーしかなかったりパソコン作業に大きな心理的ハードルもあったりします。医療にかかわる人も、産前産後の家庭に関わりたいと思ってもなかなか難しいことでしょう。

このように、地域の大きな財産と専門性があるのに、そして今この瞬間すごく必要とされているのに、つながっていかない。そのギャップに橋渡ししていかないといけません。

新型コロナとどう長く付き合い、共存しながら人間的に生きていけるか少しずつ議論がシフトしはじめました。まずは自分たちがなれるよう少しずつスタートしていきます。

今こうした居場所の役割や、それを踏まえてこまちぷらすが考えたり動こうとしていることを、5月7日15:30-オンラインでお話しします。GW明けのとっても忙しい中日に設定をしてしまいましたが、ご関心がある方は是非どうぞ!