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少ない絆を手繰り寄せたり自ら切ったり

誰かのタイムラインでこの本「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(ニコラス・A・クリスタキス、ジェイムズ・H・ファウラー、2010)について流れていてこれはなんとなく読まないとと思い購入しました。どういうわけか新品のものが手に入らず、中古を購入。

1回目は睡魔に襲われながら読み、2回目はかいつまんでひょいひょい読んだのですが、肥満や笑い、孤独や幸福まで人から人へいかに伝染するかなど、おもしろいことがいろいろと書いてありました。

備忘録として、今印象に残った言葉たちを書いておきます。

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・生まれたときから所属しているネットワークよりも、自由に選べる社会的なつながりのネットワークのほうが、孤独感との関係がはるかに密接。

・世の中には協力者とフリーライダー、つながる人とつながらない人(一匹狼)の混在する集団が生まれる。どの時点でも、異なるタイプの人々が異なる割合で存在する。世界が協力者ばかりになるとフリーライダーが生まれやすくなり、フリーライダーの割合が圧倒的になれば利用する相手がいなくなるので、一匹狼が優勢になる。協力者はより多くのモノをつくるためにつながり、フリーライダーはつくりだす人から搾り取ろうとしてつながり、処罰者はフリーライダーを追い払うためにつながる。集団への帰属傾向が多様な世界では、協力関係が頻繁に気づかれる。

・ネットワークの周辺部にいる人は友人が少ない。そのため孤独だけど、同時に残っている数少ない絆を断ち切ってしまう傾向も持つ。社会的な組織は、セーターの袖口の毛糸がほどけるように端からほつれてしまいかねない。

・社会的ネットワークは空気と同じように、「公共財」、誰かが吸うことによって減ったりはしない。でも、誰もが利用できるわけではない。この格差の程度をはかるのは非常に難しく。多くの絆を持つ人がさらにつながりを増やし、持たない人はさらに持たなくなる。恩恵が集中する。経済・教育・健康・収入の格差に立ち向かうならば、まずは一人一人のつながりに向き合わないといけない。

・幸福も孤独も、物理的な近さが重要な意味を持っている。会う機会が多いと感情がいっそう感染しやすくなる。

・社会的ネットワークは、環境への適応に有利な機能を果たすかもしれない。情緒的状態、物的資源、情報などを人から人へ伝える機能。

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関係性を一旦築けると、情緒の安定を得られるだけでなく物的資源や情報までもが集まるようになる。その先に集まり続ける循環もうまれやすくなる。

築きやすく、ほつれにくく、でも縛られず。がいい塩梅ですね。