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巫女さんをやっていた話

上京してカルチャーショックを受けたことは意外にも少ないのだが、専門学校の同級生が「私たまに巫女さんのバイトしてるよ〜」と話してくれた時はまあまあショックだった。

巫女さんってバイトがやるの???

というショックである。
や、よくよく考えたら年齢もびっくりだった。当時20歳の子の発言だったので。

どうやら東京では、繁忙期に巫女さんアルバイトを雇うらしい。採用されるとなんかお祓い?お清め?みたいなことをしてやっと業務に関われる。期間限定らしい。

私の生い立ちの中で一際珍しい巫女さん時代の話をここに掘り下げておく。

広島県神石郡神石高原町という場所で、私は子供時代のほとんどを過ごした。

広島県のホームページより

このように、我が地元は【消滅可能性自治体】という称号を与えられた"ド"のつく田舎である。

3000人ほどしか人口がおらず、高齢化率は脅威の49%(高齢化率とは、総人口に対して65歳以上の割合)

冬は雪が降るが、夏は涼しくカラッとして、のんびりとした所だ。見渡す限りの国道と山、田んぼ、畑、山。
だけど地味に名産品があり、バイデン大統領が来日した時に召し上がった「神石牛」はうちの地元の牛である。

何の話だっけ?
ああ巫女舞の話か。とにかくクソど田舎だったけど何故かとてつもなく立派な神社があって、初詣や秋のお祭りでは町内のみんながそこへ集まった。

東京に出てきてから「屋台は全部ヤクザのシノギ」と聞かされた時にも結構ショックを受けた。でもうちの地元、田舎だからわざわざヤクザも来ないと思うw
参考までにうちの地元の神社の情報↓

鶴亀山八幡神社

めっちゃ緑
立派な神社だな
これが神儀

wikiがないので各自神社の名前で調べてみてください。お祭りの時にやる神儀は広島県の無形文化財にもなってます。

この神社では、お祭りの時に地元の小学生女子が「巫女舞」をやる習慣があった。巫女舞とは、巫女の衣装を着て、鈴、サカキ、扇を使って神様に舞を奉納する。それ以外やることはない。巫女舞は大抵2人で行う。
小学校1年生〜3年生くらいの2、3年間務める。それをすぎたら下の子に交代する。
私にお鉢が回ってきた理由は「いとこのおばちゃんもやったから」というだけで、小遣いが貰えると聞いたので多分やると言ったのかもしれない。(写真探したけど見つからなかった)

舞を教えてくれたのは、そこの神社の宮司さんだった。グウジという名前の人だとずっと思っていたけど、大きくなってから真壁さんという人だとわかったw
同級生の村上ゆりえちゃんと一緒に巫女舞をやった。宮司さんは怒ると怖かったけど、ユーモアのある人だったから平気だった。

祭の行事は長く退屈で、自分たちの出番まで1時間以上正座しないといけなかった。足が痺れたり眠くなったりそれはもう大変だった。
祝詞を聞くと眠くなる。

巫女舞は畳の角を目印に正方形を意識して、4つの角に向かって礼をしたり舞をするのだけど、緊張したりぼーっとしたりするので、さっきやったことをもう一度やってしまうなど、失敗もした。楽ではなかったけど、生まれながらの厨二病なのでこのような役割を与えられることは嬉しかった。
禰宜さんか誰か忘れたけど男の人が太鼓を叩いてくれて、それに合わせて舞う。私たちが間違えると、太鼓の人は合わせてくれるw
ネギさんも変わった苗字だな〜と思っていた。

ギャラは高い時で1日15000円、少なくても8000円だった。お祭りでは町の男たちが神儀というパレードみたいなことをやるのだが、それはみんな5000円とかだったようで、子供ながらに優越感に浸っていたw
ただ、神儀は歴史が長く、無形民俗文化財に指定されているらしい。

詳細は割愛する。
東京にきて早17年になるが、あのド田舎でこんなに立派な祭りが行われているのはやはり不思議な感覚である。あまりにも立派すぎる。今度地元に帰った時に写真を撮りたいが、参道は本当にまっすぐで、脇に生えている杉の木も樹齢100年くらい行ってるんじゃないか?っというくらいでかい。荘厳な佇まいがある。

写真見つけました

亀鶴山八幡神社のまとめ記事をいくつか読んだが、正直パワースポットと書いてあるのをみると違和感がある。都内のパワースポットは、そうやってもてはやしてグッズを売ったり観光客を呼んで収益をあげたいという場所に思えるが、この神社は祭りでもなければひっそりとそこに佇んでいるだけなのだ。

もしこの神社が日本を守る結界を張るための五芒星の一角だと言われたら、普通に信じるレベルである。(そんなのは多分ない)

話を戻す。事件とかは別にない。平和に1年に2回ほど巫女舞をやって、お小遣いをもらって終わる。
私たちが巫女の役目を終えた日があった。
確か、小学校3年生くらいだったと思う。
巫女舞の練習をずっとやっていた社務所に呼ばれ、ゆりちゃんと一緒に並んで正座をした。

宮司さんは
「横山さんと村上さんのお二人は、この数年の間【神に舞を奉納する】という巫女としての役割を立派に勤めあげられました。これからの人生、神が守ってくださいます――」

と仰いました。他にも何か言ってたかもしれませんが、忘れたわ。この言葉だけはずっと記憶に残ってます。幸い?大きな怪我や病気はしたことがありません。

私は他人に宗教的な思想を広めたいと思ったことは仏教しかないし(以前書いた記事にある仏教徒ちゃん)それは人生に直接関わることだから良いと思っただけで、特別信仰心が強い方ではないと思っている。

ただ田舎であればあるほど宗教はかなり身近に存在していて、意識することもないほど染み付いているのかもしれない。

「人に見られたら、知られたら見っともないと思うようなことはやっちゃいけないな〜」的な思想ってあるじゃないですか、そういう意識こそ、宗教というか、信仰心なんだと思う。

なんの話だっけ?
ああ、巫女さんの話か。
神道の当事者?意識のある私でさえこんな感じなので、宗教とは熱心に入れ込む必要は全然ないのかなと思う。ただ参拝する時は、目を瞑ってその神社の神様にたくさんお話するようにしている。お願い事も、たくさんするw

物を大切にして、隣人を大切にして、家族を特に大切にして、自分を大切にする。そんなことでいいのかな〜〜と思いつつ、神に守られている保険にもたれかかって生きている。

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