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こんな予算査定は嫌だ

財政課が予算査定で言ってはならない“滅びの言葉”
「直近決算同額でお願いします」
#ジブリで学ぶ自治体財政

10月1日投稿の「潮が引いている間に」から始まった“ジブリで学ぶ自治体財政”も今日で50本め。

同じようなネタを,手を変え品を変え書き連ねてきましたが,皆さんはどの辺がお気に召したのかな,とこれまでのfacebookでの投稿に「いいね!」をいただいた数を見てみると,シリーズ初期の10月2日投稿の「こんな予算要求は嫌だ」が最高でした。

そういえばこれ,すぐに続編を書くつもりだったのに他のネタに行ってしまって戻ってきてなかったなと思い出しましたので,今日は続編です。
当初予算編成もいよいよ大詰め。年内または年明けに内示があった際に,こんな査定を受けたら苦情を申し立ててください(笑)

① すべての積算根拠をチェックされる
当たり前と言えば当たり前ですが,予算査定は数字との闘い。
市民から預かった貴重な税金の使い道を決める大事な作業ですから,1円たりとも無駄にしてはならないと積算根拠を詰めていくわけですが,「そこまで詰める必要ある?」と言いたくなることも多々ありますよね。
大事なのは金額の積み上げではなくその金額で何を実現するのか,目的と手法との関係性のほうに議論の重きを置くべきでしょうし,積算根拠についても神様じゃないんですから1年先のことなんてある程度の推測でしかありません。
「積算根拠の迷宮」でも書きましたが,財政課は,事業の手法や経費の内訳といった“箸の上げ下げ”は現場に任せ,具体的なやり方や細かい積算よりもあらかじめ共有した「何を達成したいのか」に沿って成果が出たかどうかをチェックしフォローする,そんな関係であってほしいと思います。

もし,あまりにも積算根拠の資料要求が多い場合は,財政課に言いましょう。
「もっと効率的な方法はないですか」


② 枠配分予算なのに査定される
これ,何度も書いていますが,絶対にダメです。
これをやったら枠配分予算ではありません。
「誰が枠配分を殺したか」にこう書きました。

枠配分予算の真骨頂は「信じて委ねる」。
現場は財政課から信用されていないと感じた瞬間に,委ねられた権限を「ただやらされてるだけ」と感じ,その責任を放棄します。
後から査定されることがわかっているなら「だったらお前が最初からやれ」というだけの話です。
だからシーリング(要求上限額)方式はうまくいかないし,現場の徒労感がハンパないんですよね。
枠配分予算は財政課の下請けを現場にさせることではありません。
互いの相互理解と信頼関係に基づいた役割分担と連携です。
単なる下請けでないことはわかっていながらもそうなってしまう,あるいはそうであると現場から受け止められてしまって機能不全に陥る,それは枠配分予算制度の死を意味します。
もし財政課からそのような仕打ちをされたら,私のnoteの記事を読ませてやってください(笑)

③ 直近決算同額で査定される
財政課の査定にもいろんな無理筋の査定があります。
それはそれで財政課にも一定の判断があってのことでしょうからここではその内容や背景もわからずに切って捨てることはしませんが,「直近決算同額」これだけはダメです。
たぶんいろんな自治体で横行しているはずですが,これは万死に値します。
詳しくは「予算が余るのは悪いこと?」に書きましたが,これは単に積算根拠を詰めることを放棄しているからダメということではなく,「使い切り」「囲い込み」を財政課自らが容認し,それを助長してしまうからダメなのです。

現場からすると、もともと過大な予算要求をしているつもりはないのですが、不測の事態が生じても予算を増やしてもらえる保証がないので、予備的な経費をこっそり隠して取っておきたいと考えるのも人情です。
また、予算を余らせると次年度の予算を削られるから、なるべく余らないように使いきってしまおうと現場が考えるのも無理はありませんよね。
しかし、これこそ当初予算編成時に本当にお金が必要な施策事業に回すお金が足りなくなるという窮状を生み、また予算執行時には必ずしも緊急性の高くないものに余った予算を使ってしまうことにつながります。
むしろこちらのほうが、財政課が声を大にして怒るべきことだと私は思いますけどね(笑)

「信じて任せてくれれば」にはこう書きました。

福岡市では,これを防ぐために枠配分額の算定の基礎は前年度予算額とし決算額は採用しないことにしています。
また,不測の事態に備え,少しずつ自分たちの予算に余裕を持たせる「囲い込み」を各課が行うことで全体として必要以上の予算が必要になってしまうという弊害を排するために,予算の編成過程で枠予算として現場の裁量を認めたものについては,その執行にあたっての流用についても財政課との合議を可能な限り簡素化し,現場に権限を委ねています。
そうすることで,予算を効率的に執行し,与えられた権限と財源の範囲で可能な限り自分たちのパフォーマンスを高めようという意欲がわいてくるのです。

以上,ざっとですが,これまでのnote記事に書いていた財政課の「してはならない査定」を書き出してみました。
財政課から理不尽な仕打ちにあっている皆さん,よかったらご活用ください。
また,これ以外にも「ちくしょうめ!なんでこんな仕打ちを受けないといけないんだ!」と思ったことがありましたら,私に情報をお寄せください。
逆に財政課側に立っている皆さん,この記事を読んでいかがお感じですか?
胸に手を当てて現場の気持ちを考えてみてください。
そしてもし異論反論あれば,ぜひ私と意見交換しましょう!

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