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あなたをもっと知りたいな

三択の問題です
副市長の仕事「ではない」ものは次のうちどれでしょう
①市長が悩んだ時の相談相手
②市長がやらないことの代行
③市長の尻ぬぐい
#ジブリで学ぶ自治体財政

先日投稿した「王様の耳を語れ」で,「統治能力を十分に備えていない首長」を頂点に据えた自治体が抱える闇について,私たち自治体職員は「こうすればもっと良い自治体運営ができる」と役所の外で勇気をもって語るべきと書きました。

昨日の投稿「対話がくれる勇気」では,自治体職員が役所の外側で職場や立場の垣根を越えて語り合える場を一緒に作ってほしい,そんな場があるのなら,私たちにもお声がけいただき,呼び込んでほしい,と書きました。

とはいえ「はい,わかりました。では対話の場をつくりましょう!」というわけにいかないのが私たち自治体職員と一般市民を隔てる深い溝。
私たち自治体職員が一般市民と直接対話する機会を避けがちであるという話は以前書きました。
市民の心の奥底に常にある「役所への不信」への恐れと,公務員として民間人と距離を置かなければならないという私たち自治体職員側が抱く過剰な自己規制の意識。
職員が市民との接点を持とうとしないのは行政の公平性や無謬性を過剰に意識せざるを得ない世間の目があるのです。

以前,こんな話も書きました。
自分が勤めている自治体の取り組むある施策について、親しい友人からその評価について尋ねられた場合、あなたはどうしますか。
「管理職でもないのに意見を述べてそれが自治体の見解ととられてはまずい」
「所管外なのに意見を述べれば所管課に迷惑がかかる」
「個人で意見を述べていると組織の中で浮いてしまう」
「首長や議員、人事課などから変なやつだと目をつけられる」
「一般市民から個人的に意見されたり誹謗中傷されたりするのは御免だ」
などなど、自分が意見を言うことのリスクが頭の中を駆け巡り、結局何も言わないのが無難と口をつぐんでしまう経験、自治体職員なら誰でもあると思います。

こんな臆病な自治体職員に「さあ,対話しましょう!」と役所ムラの外に誘い出したところで,そこに出てくることができるのはある程度役所ムラの外との関係性を作り,自分なりの立ち位置を定めることができる人だけ。
多くの自治体職員は,市民を過剰に恐れ,自分が背負う看板の重みに耐えることができず,その強固な「立場の鎧」を脱ぐことができないのです。

私はこれまで,自治体職員に対して「立場の鎧を脱いで身軽になろうよ」と声をかけ続けてきました。
変革の必要性を感じた公務員がそれぞれ自分の感じる危機感や変革意欲に応じて自分の殻を破ること。
あわせて、周囲がその行動に賛同できるのであれば同じ行動をとることができなくても歓迎賛同の意を陰ながらでも示し伝えること。
その積み重ねで少しずつ実際に公務員の職場風土や仕事のやり方、市民との関係性が変わり、「対話」や「自己開示」が組織文化として定着する世の中がくるのではないかと書きました。

この動きを役所ムラの外側にいる一般市民がどう支えるか。
ありがたいのは我々自治体職員のことを「知りたい」というラブコールです。
我々「中の人」が当たり前のように知っていることでも,役所ムラの外では全く知られていないことがたくさんあります。
「王様の耳」に代表される,外に出せないオフレコ話前提ではなく,そもそも自治体職員が日々どんな仕事をしているか,市民とはどう接しその中でどんなことを感じているのか,など,我々自治体職員の生態に関することであれば,気軽に尋ねてくれたら答えることができ,その中には豆知識として明日誰かに伝えたくなる話も結構あります。
このnoteの記事で書いている「自治体財政よもやま話」もそういった関心に対応しながら書いており,その中で,政策や予算は誰がどのように決めているのか,なぜ役所の組織は縦割りなのか,議会や首長はちゃんと仕事をしているのか,などなど,市民が「知りたい」と思う役所ムラの実情を盛り込み,よりよい自治体経営に向けた次の一手を打つのに役立てほしいと思っています。

我々自治体職員が知っていること,経験していることについて一般市民の皆さんがちょっと興味関心を寄せていただくことで,役所ムラの中と外の距離がグッと近づく。
その情報の開示共有を通じて互いの心理的な距離が縮まり,聴いてもらえた,知ってもらえたという安心感から,我々が頑なにまとい続けている「立場の鎧」を脱ぐことができるようになる。
そんな場が役所の外にあり,市民の皆さんが役所のこと,公務員のこと,財政のこと,政策のこと,政治のことを知りたがる。
そこに我々「中の人」がやってきて「それはね・・・」と気楽に気軽に語り始め,その語りを肴に対話の輪が広がっていく。
そんなことが当たり前になったらとても楽しくなりますよね。

多くの自治体が自らの施策事業を市民に説明し理解してもらうために出前講座やワーショップ,セミナー,シンポジウムなどの場をつくり,広報誌やパンフレット,ホームページなどの媒体を通じて情報を発信していますが,その具体的な施策や事業への理解という段階の一歩手前に「役所ってどんなところ?」「役所の人って毎日何をしてるの?」「役所,役場とどんなふうにつきあえばいいの?」という基本的な理解を共有するフランクな場をこしらえ,臆病な自治体職員でも立場の鎧を脱ぎ捨てて市民との対話の輪の中に足を運ぶことができるように
なる。
自治体職員と一般市民を隔てる深い溝を埋め,気軽に対話できる雰囲気をつくり,そんな場や仲間を増やしていけたらいいなと思っています。
皆さんは,自治体のこと,私たち自治体職員のこと,役所ムラの中で起こっていること,どんな話に興味がありますか?

★自治体財政に関する講演、出張財政出前講座、『「対話」で変える公務員の仕事』に関する講演、その他講演・対談・執筆等(テーマは応相談)、個別相談・各種プロジェクトへの助言・参画等(テーマ、方法は応相談)について随時ご相談に応じています。
https://note.com/yumifumi69/n/ndcb55df1912a
★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/
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