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「短歌人」2023年3月号掲載作品

ミニバザー

礼拝の後にときどき開かれる「桜教会いつでもバザー」

大規模なバザーのできぬ時世にて会員のみの小さきバザー

手づくりのすこし酸つぱい梅ジャムの大きな瓶が二百円なり

絵を描きし女性信徒の遺品ありデッサン用の鉛筆二本

散歩するときに便利なポシェットを三百円にて入手したりき

たくさんの本ならべられ小春日のバザーに心浮きたつてゐる

帰るさのバッグは肩に重たくて銀杏紅葉を踏みつつ歩く


(同人2 冨樫由美子)

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