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「短歌人」2020年5月号掲載作品

冨樫由美子

善き魔女のごとく微笑むジジといふヲスの黒ねこ飼つてゐるひと

両面の刷られた名刺いただきぬ児童文学者は小児科医

さういへば幼き日々にかかりゐし永木医院に黒ねこ居りき

はるけき日おもひてあれば寄りてきてわが手の匂ひひとしきり嗅ぐ

思慮ぶかきさまに見えたるみどりの眼ぱたりはたりとうごく長き尾

ぬくもりに触れてゐたきを抱かんとすればするりと逃げてゆきたり

(会員1 冨樫由美子)

#短歌 #短歌人

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