「短歌人」2024年6月号掲載作品
影
雨水きて庭に二月のひかりさし暫し忘れるこれの世のこと
中途退職教師のわれにもう来ない新学期とは四月のひかり
五月のひかり溜まれるメイル・ボックスに〈ヘアサロン虹〉移転の通知
街並は姿を変へる六月のひかりは耳のなかにもおよぶ
十月のひかりの道をたれもたれも今日がいちばん若き影曳く
十二月 影がひかりを駆逐して雪のひとひらづつがこゑあぐ
ふりつもる雪の晴れ間の一月のひかりを踏んで郵便局へ
※同人2欄 冨樫由美子
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