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「短歌人」2019年7月号掲載作品

花橘の香りをかげばからだからすこしはみだしかけるたましひ

薫風が十四歳のわがこゑをはこびくるとき皐月はきたる

ちひさくて綺麗なものをあつめたしたとへば五才半児の乳歯

渡りたかつた橋のすべてを渡り終へ静かに老いてゆくこの庭に

倍音の響き聴かうとするやうにうるんだ星のそらを仰げり

さはやかな朝だつたらうマグダラのマリアききたるノリ・メ・タンゲレ

※「ノリ・メ・タンゲレ」にルビ「我に触るるな」

会員1欄 冨樫由美子

#短歌 #短歌人

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